万葉集 (垂水) ( No.63 ) |
- 日時: 2013/04/21 16:52
- 名前: うんこ太郎 ID:ss/5XHkM
石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
2011年の11月の意訳詩で、志貴皇子のこの歌をとりあげました。当時私は米国に住んで おりましたが、今はこの歌の舞台である垂水神社の近くに住んでいます。 ただの偶然とはいえど、私の生活に意味を見ようとすれば、これも何かのご縁だと思えます。 私はてっきりこの歌の「上」を「うえ」と読んでいましたが、正しくは「上」と書いて 「おか」と読むようです。垂水神社の石碑にはそのように書かれています。 神社には水が石を走る滝があり、木々の茂るおかのうえに、志貴皇子はさわらびをみつけたのでしょう。 いまでも垂水の森の空気はかすかに水に湿っており、土のにおいをかいでいると、1000年以上前 に生きていた古代人と、こころが通じあうような気がしてきます。詩はやはり、草や花の ように、土地に根付いて生きてきたものではないかと思います。
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ランボー ( No.64 ) |
- 日時: 2013/04/29 19:49
- 名前: うんこ太郎 ID:O61MdAgQ
家出した子供たち
雪と霧とのなかに浮かび上がる黒い姿 灯りのさす格子の通風窓に向かって 尻を並べ、ひざまずいた五人のちびたち パン屋がずっしりとしたブロンドのパンを 焼いている姿を見つめている
白くて力強い腕が生地をこね 燃えるかまどへと 押し込む様子を見る
おいしそうにパンの焼ける音がきこえ、 パン屋はにやにやとしながら 古い歌など口ずさむ
ちびたちは しゃがみこんだまま身動きもせず 鉄の格子を赤く照らす おっぱいのような熱気を吸い込んでいる
真夜中のパーティーの バターを塗ったタルトのようにこんがりと、 かまどからパンが引き出されると
煙に煤けた梁の下では パンの皮は、ぱりぱりと コオロギと一緒になって歌いだす
あの熱いかまどから、いのちが溢れだすと ぼろ着をまとったちびたちの魂は、 鷲づかみにされ
うっとりと幸福につつまれ このあわれでちいさなイエス達は
赤い鼻面を窓の格子におしつけて 何事かをぶつぶつと呟き いったい馬鹿げたことだろうが お祈りなどをあげている!
天国からやってくるような 明るくうつくしい やさしい光に向かって
必死の祈りにぼろ着は破れて はみでた下着は ひらひらと 冬の風に揺れている
***
The Runaways/ Les Effares
Dark against the snow and fog, At the big lit-up vent, Their butts in a huddle, Five urchins, kneeling - wretched! - Watch the baker making Loaves of heavy blond bread.
They see the strong white arm knead It and shove the raw dough Into the oven's bright hole.
They hear the good bread baking, The baker with a fat smile Growling an old ditty.
They crouch there, not one budging, At the red grating's breath Just as warm as a breast.
When, shaped like buttery tarts For some midnight party, The bread is brought on out,
When, under smoke-stained beams, The fragrant crusts are singing Along with the crickets,
When life breathes out from that warm hole, Their souls are so enraptured Under their ragged clothes,
They feel such lively bliss, those Poor frostbitten Jesuses, That they all gather close
Gluing their pink little snouts To the grating, mumbling Such nonsense round about,
All foolish, at their prayers, Hunkering toward that light From heaven bright and fair,
So hard they split their pants, And their shirt-tails flutter In the winds of winter.
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ウイリアムカルロスウイリアムス ( No.65 ) |
- 日時: 2014/07/06 18:54
- 名前: うんこ太郎 ID:dkbabrUQ
ウイリアム、カルロス、ウイリアムスのTHIS IS JUST TO SAYです。 かわいい詩です。
怒らないでね、(This is just to say)
アイスボックスにあった プラムだけど 食べちゃったんだ
きっと朝ごはんに とっておいたものだろうけど
怒らないでね、 美味しかった
甘くて とても冷たくて
***
This is just to say
I have eaten the plums that were in the icebox
and which you were probably saving for breakfast
Forgive me they were so delicious so sweet and so cold
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失礼致します ( No.66 ) |
- 日時: 2014/08/08 06:58
- 名前: 逃げ腰 ID:aomllNq2
初めまして! 逃げ腰といいます! 失礼があればおっしゃって下さい
過去に闇の吟遊詩人(闇雅人)という方と一緒に意訳をされていたそうですね 現在は個人でやられているのでしょうか。
もし、
>>参加は自由です。ちなみに「外国の詩」を「教科書的に直訳」せず、「意訳して日本語の詩」にする「意訳詩」というジャンルはあります。
が現在も有効なら私も参加したいです!
ご返事お待ちいております。
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Re: 意訳詩 ( No.67 ) |
- 日時: 2014/08/09 07:29
- 名前: うんこ太郎 ID:FcHoR7Zk
逃げ腰様
はじめまして。 みんなの掲示板ですので、どうぞご自由にご投稿ください。
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Tara Betts ( No.68 ) |
- 日時: 2014/08/11 18:04
- 名前: うんこ太郎 ID:uodZRsh6
For Those Who Need a True Story, Tara Betts 本当の話がききたいひとへ
大家はレイモンドのマザーに言った 一匹の鼠を殺したら、12ドル家賃から差し引くと レイモンドはマザーの命令で5ポンドの挽き肉とパンとを買ってきた マザーは金属のボウルのなかで、パンと肉をこね、 流しの下から取り出した毒をまぜる ウエルダン! キッチンの床の真ん中で肉が湯気をたてる すると、キイキイと鋭い声が、ボウルの方にむかってくる
レイモンドは鼠が津波みたいだったという、 鼠は次から次へ、互いを押しのけながら ボウルに向かって飛びかかったのだ
鼠の悲鳴が、レイモンドの耳に響く 仰向けになり、緊張した足裏を見せる鼠たち 一時間も過ぎて、ぐったりと、床に横たわると 静けさが死の足音で部屋を満たしていく マザーの声は少し震えている レイモンド、数えるのを手伝ってちょうだい、 マザーはゴム手袋をして小さな死を数えるのだ プラスチックのバッグに入れるたび、ぼさっという音を聞きながら レイモンドは数えることをやめたかった だけどママはお金を節約しないとならない 最後の一匹まで数え終わると、レイモンドはバッグを大家に渡した
三ヶ月の家賃分に十分な量の鼠だ そしてレイモンドの夢を恐怖に変えてしまうほどの鼠の量だ
他の子供たちに分かるだろうか、レイモンドの鼠への恐怖が 夢のなかで、鼠は腐った毒の匂いを身体から出しながら 壁を必死に引っかくのだ
こういう子供たちは、 子犬とか、子猫とか、ちいさな命をみつけるべきだ 夢のなかで癒しとなるような、ちいさな命を
そして、鼠のことはさっさと忘れてしまうことだ レイモンドが大人になって、 母親のように 自分自身の手で鼠を数える日が来るまでは
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音読のサイト http://www.reverbnation.com/tarabetts/song/675644-for-those-who-need-true-story?fb_og_action=reverbnation_fb%3Aunknown&fb_og_object=reverbnation_fb%3Asong&utm_campaign=a_public_songs&utm_content=reverbnation_fb%3Asong&utm_medium=facebook_og&utm_source=reverbnation_fb%3Aunknown
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Re: 意訳詩 ( No.69 ) |
- 日時: 2014/08/11 22:41
- 名前: 楠山歳幸 ID:C8y39uUQ
うんこ太郎様。お久しぶりです。 仕事に趣味にと勢力的にご活躍なさっているのでしょうね。
紹介していただいた詩、凄まじいですね。 本当に久しぶりにうんこ太郎様とTCの良さを見た気持ちです。 当サイトがあまりに閑散してしまったため「ご」のつくサイトを覗いてみましたが、改めてTCは良かったと再認識した始末です。
よろしければいつかまた詩か小説を投稿してください。
では。
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お久しぶりです ( No.70 ) |
- 日時: 2014/08/17 09:46
- 名前: うんこ太郎 ID:3TUgwrx6
楠山さん、お久しぶりです。返信遅くなりすみません。 なかなかサイトに来る頻度も減ってしまって……。 楠山さんは相変わらず創作欲と鳥への愛情に満ちているようで、脱帽です。 好きなことや表現を続けられるっていうことが、本当にすごいと思います。 意訳詩は根強く続けていきたいので、またちょくちょく投稿させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 ご感想をありがとうございました!
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Re: 意訳詩 ( No.71 ) |
- 日時: 2014/10/17 00:35
- 名前: A ID:VTJBCxs6
The KinksのWaterloo Sunsetです。
Dirty old river, must you keep rolling Flowing into the night People so busy, makes me feel dizzy Taxi light shines so bright But I don't need no friends As long as I gaze on Waterloo sunset I am in paradise
Every day I look at the world from my window But chilly, chilly is the evening time Waterloo sunset's fine
Terry meets Julie, Waterloo Station Every Friday night But I am so lazy, don't want to wander I stay at home at night
But I don't feel afraid As long as I gaze on Waterloo sunset I am in paradise
Every day I look at the world from my window But chilly, chilly is the evening time Waterloo sunset's fine
Millions of people swarming like flies 'round Waterloo underground But Terry and Julie cross over the river Where they feel safe and sound And they don't need no friends As long as they gaze on Waterloo sunset They are in paradise
Waterloo sunset's fine
→
昔から汚れてるテムズ川 お前は夜に向かってうねり流れ続ける みんな忙しそうにしていて目眩がするほど タクシーのライトも何だか眩しすぎる 僕は友達なんかいらない ワーテルローの陽が沈むのを眺めているだけで楽園にいるようだから
毎日、窓から外を眺めている でも夕方になると凍えそうだ ワーテルローの夕陽が身に沁みる
毎週金曜の夜、ワーテルローの駅で テリーはジュリーと待ち合わせする 僕はと言えば怠け者で、ぶらつきたくないから 夜には家にいる事にしてる
怖くなんかないさ 陽が沈むのを眺めているだけで 僕は楽園にいられるから
毎日、窓から外を眺めている でも夕方になると凍えそうだ ワーテルローの夕陽が身に沁みる
沢山の人がワーテルローの地下で虫の大群みたくうじゃうじゃしてる だけどテリーとジュリーは川を越える 安らぎと流れの音を感じる川を 二人に友達はいらない 陽が沈むのを眺めていれば 二人は楽園にいられるから
ワーテルローの夕陽がきれいだ
youtubeで歌が聞けます。テリーとジュリーの幸福を願う「僕」の思いやりが美しい。
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Re: 意訳詩 ( No.72 ) |
- 日時: 2014/11/07 10:35
- 名前: kboxing ID:sMF6EUNs
- 参照: http://www.rolexjp888.com/
春はもしかしたら手のようなもの (どこからともなく注意深くやってきて) 並べていく手のようなもの みんなが覗く窓のなかに (よくわからないものを向こう側に 知っているものをこちらへと ならべていく)手のようなもの
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