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RSSフィード [42] 三語いいとこ一度はおいで
   
日時: 2011/08/06 23:47
名前: 片桐秀和 ID:bAHnLEhE

やります三語。今回のお題は、以下の八つ。

「清純派」「召集令状」「エニグマ暗号文」「スカトロ」「初経」「それはわしのじゃ。返せ」「賞味期限」「硫酸頭からかぶって皮膚がただれて苦痛の中、悲痛な叫びをあげて死んじゃえっ! もう私知らないっ!」

この中から三つ以上使用して、作品を仕上げて下さい。
なお、縛りとして『奇人・変人・変態が出てくる』が今回設けられます。この縛りを踏まえて執筆して下さいね。ま、お題選びによっては、自動的にクリアされるかもしれませんがw。

とりあえずの締め切りは深夜一時。多少遅くなっても問題ありませんので、楽しんで執筆してください。

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動画流出系 ( No.4 )
   
日時: 2011/08/07 01:18
名前: tori ID:EOGe/Rvc

■ R18 ■

 ミヤコは先月、初経を迎えたばかりである。そのミヤコをぼくは動画の中に発見した。友達の家に集まって、お酒を飲みながら「おじさん秘蔵」の動画を鑑賞していたときのことだ。
 夏休みで、花火大会があって、ぼくたちの誰も彼女がいなかったから夜店で、焼き鳥とかじゃがバターとか買って集合した。そいつの家の二階からは花火が見える。そうやって、クーラーの効いた部屋で窓越しに花火を見ながら、
「エニグマ暗号」
「ういちょう」
「そりゃ、しょちょうって読むんだぜ?」
「なんかさ、カレンダーに意味ありげに毎月だいたい似たような日に青い丸をつけてあると、わくわくするよな」
「死ねよ」
「十歳が賞味期限」
「ロリコンはきめぇ」
「っていっても、俺たちまだショタだけどな」
「きめぇ」
 こっそりと買った焼酎は臭くて飲めなくて、ビールは苦い。ジュースみたいなチューハイは何だかプライドが許さない。我慢して飲むワインは頭がくらくらしてくる。赤ワインは血に見える。一口飲んで、先月あったお風呂場の惨事を思いだした。あれは見ちゃいけないものだった。
 うちに親戚の家族が泊まっていた。家の建直しをしていて、その間だけのことだ。ミヤコは従姉妹で、昔はいっしょに遊んでいた。久しぶりに会ったミヤコはませた女の子になっていて、澄ましていた。ミヤコは初経を迎えた、お風呂場は淡い色の経血で赤くなっていた。見つけたのはぼくだ。おばさんの表情は忘れられない、母さんの顔も忘れられない。というか、ぼくもぼくで悪くない、と言いたかったけど仕方がない。ミヤコはぼくから距離をとる。ぼくに近づかない、逃げる。話しかけることもできない。
 そうしたまま家の建直しが終わって、ミヤコたちは帰っていった。先月のことだ。いまは夏休みで、今日は花火大会で、花火は夜空にあがって、きらきらと大量の蛍が散るみたいに綺麗ではある。
 ぶん、と鈍い音がする。部屋にあったパソコンが起動する。花火大会は終わって、家の外をぞろぞろと帰っていく観光客の気配がする。部屋のカーテンを一人が閉めた。いつものことで、手馴れていて、50インチの大画面のディスプレイに表示されるのは「おじさん秘蔵」のフォルダだ。ずらりと並ぶ動画ファイルは圧巻で、
「ひひひ」
 と誰かが笑う。ごくり、と、誰かが唾をのんで、それを笑う。バカじゃないの、と言いながら、ぼくも誰も固唾を飲みたい。目は画面に釘つけで、マウスのカーソルをじっと見つめる。
「お」
 と誰かが言う。
 カーソルが一つのファイルをダブルクリックした。全画面表示にされたプレイヤーのタイトルは、
「スカトロかよwww」
「やめろよ」
「見たい」
「へんたい」
「操作権は俺にあるし」
「この叔父あって、お前ありかよ。ていうか、誰得だよ」
「俺得」
 ビニールシートの敷かれた部屋が映る。手ぶれが酷くて、素人が撮ったのかな、と思う。いざ始まりだすと、急に静かになる。何もない部屋で、窓から白い光が入ってきていた。ボイスチェンジされた声が、
『ミヤコ』
 と呼んだ。一瞬、ぼくは身構えた。同じ名前だろうし、こういう動画で本名ってことはないだろう、と、緊張を解くけれど、実際に画面に出てきた女優はミヤコだった。
 服は何も着ていない、一糸纏わない姿で、下に毛も生えていない。異様な熱気が部屋を包んだ。誰も身じろがない、声をあげない。裸に目をうばわれている。西洋人のきつさとは違う、大人の女とは違う。頭の芯のところが痛んでくる。動画の中で、ビニルシートに四つん這いになったミヤコはお尻をカメラに向ける。何もかも露出していて、隠すモザイクすらない。
 動画の流れは、浣腸して、愛撫して、何だか色んな液体がミヤコの下半身から垂れる、というものだった。本番はなし。見終わったあと、一人がトイレに行った。
「鬼畜だなあ」
 と誰かが言う。それに誰も返事をしない。
 マウスカーソルは画面をすべっていき、今度は違うファイルをダブルクリックした。今度はアイシャドウのきつい金髪の白人がでてきて、ティバックを股間のところで前後させていた。指をなめて、下半身に持っていく。
 おお、と歓声がもれる。ぽっかりと広げられた陰部の暗い穴は、色んなものを吸いこんでいる。
 そうやって夜が明けるまで動画みたり、お酒を飲んだり、深夜のお笑い番組みたりして時間が過ぎていった。
 昼過ぎまで寝て、みんなでラーメンを食べにいった。そうして解散する。今日も夏休みの一日だ。眠さがじっとりと残っている。昨日連続して見た動画の内容が頭にこびりついている。そわそわする。別れて、それぞれの家に帰ると、トイレにはいった。トイレの中で目を閉じると、色んな光景がうかぶ。ミヤコの姿がちらついて、それが離れない。他にも色々と見たはずなのに、忘れてしまったみたいに。
 一度、抜いてみると色んなことがどうでもよくなる。トイレを出て、シャワーを浴びて、自分の部屋のベッドに飛びこむ。母さんの小言が聞こえてくる。まぶたを閉じる。誰があの動画を撮ったんだろう、と、いまになって疑問に思った。

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