日系人たちの詩 ( No.26 ) |
- 日時: 2012/03/04 12:11
- 名前: うんこ太郎 ID:TunnvVAE
ブラジルに住む日本人や日系人向けに、伯国日経新聞(たしかこういう名前の新聞だったと思う)という日本語の新聞があって、そこでは最近の日本の政治や経済、日本で流行となっている芸能ニュースや、ブラジルに進出している日系企業の情報が載っています。その新聞の投稿欄に、詩歌の雑誌が紹介されていたことがありました。それは「ふろんていら」(これは良い名前だと思ったので、しっかり覚えている)という名前の詩の同人誌で、俳句、短歌、自由詩を掲載しているということでした。 思えば国際化などと言われる随分昔から、多くの日本人が外国へと移住しており、取り分け北米、南米には多くの日系人(と日本人移民者)が住んでいます。 彼らはいったいどういう詩を書いているのか、調べられる範囲で調べて、訳していきたいと思います。 最初に紹介するのはJOY KOGAWAです。日系二世。カナダ在住の小説家で詩人です。子供の頃に第二次世界大戦により、日系人強制収用所へ入ったことがあります。
(ジョイコガワWIKIPEDIAリンク) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%82%AC%E3%83%AF
タイトル:壁があるところには 作者:JOY KOGAWA
壁があるところには 道がある 壁のまわりに、壁を越えて、もしくは ゲートを通じて もしかしたら梯子も 扉もあるかもしれない 歩哨は ときどき眠ってしまうし 秘密の暗号を盗み聞きできるかもしれない 拷問という方法だってある 地下の抜け穴の地図のてがかりを 聞き出すのだ 飛行船も ヘリコプターも、ロケットも、爆弾も 槌もあるし、トランペットを持った兵隊もいる トランペットの一斉のひと吹きは 壁の土台を粉々にしてしまう
壁があるところには 言葉がある レンガの隙間で交わす囁きや 口からもれる慟哭と祈り 暗号を打ち鳴らす音 足につけた メッセージを運ぶ鳥 書くべき手紙がある 小説だって
壁のこちら側で 私は雲にまで続いている 壁の頂上を見つめている あなたが生む音がすべて聞こえる だけどあなたの姿は見えない
あらぬ方向に耳をかたむければ ゆめのような かすかな、さけび声が聞こえる 壁の 腹の中から
※ ※ ※ ※
WHERE THERE'S A WALL Joy Kogawa
where there's a wall there's a way around, over, or through there's a gate maybe a ladder a door a sentinel who sometimes sleeps there are secret passwords you can overhear there are methods of torture for extracting clues to maps of underground passageways there are zepplins helicopters, rockets, bombs bettering rams armies with trumpets whose all at once blast shatters the foundations
where there's a wall there are words to whisper by a loose brick wailing prayers to utter special codes to tap birds to carry messages taped to their feet there are letters to be written novels even
on this side of the wall I am standing staring at the top lost in the clouds I hear every sound you make but cannot see you
I incline in the wrong direction a voice cries faint as in a dream from the belly of the wall
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