失敗作です ( No.6 ) |
- 日時: 2011/07/17 00:24
- 名前: 片桐 ID:WXVvW6ag
うだるような熱帯夜に白湯を飲んでいた。当たり前のように汗が額に背中にと滲み出し、ハンドタオルで何度となく拭う。腹を下しているから、冷たい水を飲むわけにもいかないが、脱水気味の身体に水分をいれないわけにもいかない。我慢して白湯を一口一口と飲み下していき、ふらつく足で寝室に向かった。 夏風邪でもひいたのか、ここ数日体調が良くない。今日は仕事を早退して、床につく羽目になっていた。 シャツを着替えて寝室に戻り、部屋の明かりを消して布団をかぶっていると、今最も聞きたくない羽音が聞こえた。歳喰うほど蚊の羽音は、耳が拾える周波数の関係から、聞こえなくなっていくらしいが、はたして幸いというべきか今の私には、近く遠くまた近くとあの耳障りな羽音が聞こえてくる。 「よりにもよってこんな時に」 声にならない声で呟いてしまう。体調不良のこの夜に、追い討ちをかけて蚊が紛れ込んでくるとは。蚊帳でもあれば拡げて難を逃れたいが、あいにくそんな古風なものは持ち合わせていない。起きて退治するべきか、無視を決め込むべきか。仮に一箇所なりと刺されたところで、虫刺され薬を塗ればすぐにかゆみなど退くだろう、そう思ってしばらく様子を見ていたが、耳に蚊が当たる感触がしたときに、おもわず「うぎゃ」と叫んでいた。 「くそ、成敗してくれる!」 息巻いて立ち上がり、明かりをつける。案の定だ。やつの姿がない。耳をすませても、あれほどかましかった羽音が聞こえてこない。どこかの隙間から出て行ったのかと思い込むようにして、また明かりを消して布団をかぶった。 聞こえる。やはりいる。ええい、刺すなら刺すでことをすまして早くどこかへ行け。そう思って布団から手足を出してみるが、まるでこちらの意志が理解できているように、蚊は近づかず、いなくなったのかと布団をかぶりなおすと、耳元に例の羽音が聞こえる。 私は頭をかきむしって立ち上がると、居間に殺虫スプレーを取りにいった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ……むー、ちょっと無理ですね、これでは。 エアコン効いてる寝室から出ると、ものすごく暑くて、それが夏への扉――なんて感じにして強引に仕上げようと思ったけど、さすがに無理矢理すぎるので、今回は失敗例としてあげておきます。 また今度リベンジします。
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