Re: 即興三語小説 -猫対ブタ対決ですね? ( No.1 ) |
- 日時: 2012/07/02 01:17
- 名前: 水樹 ID:mMq.3i/E
お題は、「四時起床」「猫」「蚊取りブタ」です。 縛りは書き出しを使う、です。
ブタ対決
毎日四時起床のブタ猫はとりあえず、玄関先でうずくまる蚊取りブタをライバルと決めた。蚊取りブタは昨日飼い主が買ってきたものだ。どっちが飼い主からもっとも愛されるか、家に二頭もブタは要らない。この勝負に負けは許されないのだ。そんな意気込みで臨む。それでも、敗者は出て行くとかこれと言った罰はない、退屈な日常を打開するための暇潰しでもあった。
ブタ猫の名はクリス、雌の豚。豚とは思えない程身が軽く、肉球も無いのに猫のように木に登り昼寝する、豚カツにするには至難の豚。その潤んだ瞳と目が合ったら最高級の黒豚も瞬時に発情期を迎えるだろう、自称クールビューティーな豚。最近、猫の集会に参加するようになり、にゃぁと鳴くようになった。猫達にはドSのメス豚とも言われている。
蚊取りブタの名はまだ無い、特技は蚊を取るというのだが、クリスは蚊を捕まえるのを見てはいなかった。
「私はクリス、あなたの名前は、シンゴ、シンゴに決めた」 「名前を付けてくれてありがとうございます。でも、なぜシンゴですか?」 「蚊取りシンゴ・・・ そんな事よりも私と勝負よ、正々堂々、今を生きているって私を実感、楽しませて頂戴。飛べない豚はただの豚よ、豚カツになりたくなかったら私に勝つ事ね」 「豚カツですか!? 揚げたての衣はサックリ、中は肉汁ジュワぁだけは御勘弁を、是非、是非に寛大な処置をお願い致します」 「ウフフ、冗談よ、それより、勝負はどうする? 五本勝負にする? 十本勝負?」 「いえ、それは作者も頭にないと思うので、今日の所は一本勝負で良いと思います、オチもまだ無いはずです」 「そうね、一本勝負も危うい所ね、じゃぁ、今日は相撲にしましょう」 手探りでゴメンナサイ。即興でゴメンナサイ。なぜ相撲? オチは? これからどうなる? 地面に描いた円から、相手を押し出す簡単な勝負。 はっけよいドンッ! と二頭の豚はぶつかり合う。 「キャッ」 身軽なクリスは瞬時に円の外に押し出された。 「イタイ・・・ グスン、傷モノにされた・・・ もうお嫁に行けない・・・」 鼻をすりむいたクリスに近寄るシンゴ。 「ゴメンナサイ、大丈夫ですか?」 クリスの潤んだ瞳が見上げる。即座に心奪われたシンゴ。 「僕が、僕が責任を取ります。僕が責任を持って貴女を大切にします!」 「う、うん、これからもよろしくね」
ウヘェ♪
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Re: 即興三語小説 -猫対ブタ対決ですね? ( No.2 ) |
- 日時: 2012/07/04 01:01
- 名前: マルメガネ ID:KYrC/Hcs
猫が買いたての蚊取りブタを興味津々に前足で触り、それが横に転げると驚いて部屋から出て行った。 四時起床のために目覚ましをセットする。 猫が転がした蚊取りブタを拾いあげ、中に垂らされた針金に蚊取り線香を取りつけて火を点ける。 蚊取り線香の特有の匂いが煙と一緒に立ち込める。 蚊取りブタを蹴倒した猫は部屋に戻ってこない。いくら呼んでも戻ってこない。 気ままな奴だ、と思っていると部屋のどこかに潜み、うずくまってこちらを見ていた。 目を離した隙に、また這い忍び寄り、蚊取り線香の煙を吐き出す蚊取りブタを前足でちょいちょいと触り一声、にゃぁ、と鳴いた。 蚊取りブタが木端微塵に陶器の欠片となり果てたのは、それから間もなくのことだった。
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