ホームに戻る > スレッド一覧 > 記事閲覧
RSSフィード [62] 即興三語小説 ―とりあえずしばらく難易度低めでいきましょうか―
   
日時: 2012/02/19 23:20
名前: RYO ID:sBkrKukM

しばらく難易度低めにして、参加者を動向を把握してみよう。

--------------------------------------------------------------------------------

●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「ふきのとう」「革靴」「内緒」
▲縛り: なし
▲任意お題:なし

▲投稿締切:2/26(日)21:59まで
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週土曜日の22時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

--------------------------------------------------------------------------------

○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

--------------------------------------------------------------------------------
 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

メンテ

Page: 1 | 全部表示 スレッド一覧 お気に入り 新規スレッド作成

『水底のひかり』 ( No.1 )
   
日時: 2012/02/21 20:48
名前: 沙里子 ID:ZM6KeOts

 
 水無月さんは箸のつかいかたがとても上手い。いつも持ち歩いているという漆塗りのうつくしい箸を、男の人の割にほっそりした指で器用にあやつり、どんな食べものもこぼさず口まではこんでゆく。
「てる子さんの指は箸よりもペンを握るのに適しているんですよ」
 飴色のカウンターテーブルにちらばった天ぷらの衣を見ながら、水無月さんはなぐさめるように言った。
「それより、どんどん食べましょう。大将、山菜てんぷら盛り合わせもうひとつお願いします」
 てる子さんも好きなもの頼んでくださいね、と言われ、わたしは熱燗とひれ酒をふたつずつ注文した。時間帯のせいか客はまばらで、カウンターの奥の厨房から皿を洗う水音がしずかにきこえてくる。
 店の暖簾をくぐるときに水無月さんが、いつもひとりで来るお店なんです、と言った。
「他の人にはずっと内緒にしていました」
「どうして?」
「行きつけの隠れ家みたいなお店って、なんだか素敵だと思いませんか」
 そんな隠れ家にどうしてわたしを連れてきてくれたのだろう、と思った。けれど深くは考えない。無理やり思考を停止させて、目の前にどんと置かれた山盛りの天ぷらに意識を集中させた。
 ふきのとうの天ぷらにさっと抹茶塩をかけて、ほおばる。香ばしいにおいが口のなかに広がった。衣を噛みしめるとさっくりとくずれ、春の植物のまろい苦みがじわりと染みだしてくる。
「うまいですか」
 お猪口をかたむけながら横目で頷くと、水無月さんは微笑んだ。

 池のある庭つきアパートに引っ越してからもう一年が経つ。庭のあるアパートを探していた。十冊目の自著の売れ行きが順調だったおかげで貯金もある程度貯まり、この機会に実家から出ようと決心したのだ。幸い、建物はすぐに見つかった。しかも庭だけでなく池まであるという。半径五メートルほどの小さな池で、錦鯉の飼育が趣味の大家が何年か前につくったものらしい。その日のうちに契約を交わし、翌日わたしは両手に持てるだけの荷物をかかえて部屋を訪れた。
 トラックで届いたダンボールの包みを剥がしていると、チャイムが鳴った。大家かと思い、出てみると知らない男性が立っていた。大人の男性がもつ雰囲気、としか形容できないなにかを彼はまとっていた。すらりと背が高く、目は細い。あっけにとられていると、頭を下げられた。堂々とした、完璧なお辞儀だった。
「大家さんに、新しい入居者さんが来られたと聞いて挨拶に参りました。隣の部屋の、水無月と申します」
 挨拶はこちらから行くものだと思っていたわたしが慌てて名乗ると、彼はおどろいたように目をひらいた。
「あの、そのお名前、本名ですか」
「ええまあ、一応」
「本物の、作家の方にお会いするのは初めてです」
 握手された。うろたえながらもなんとかお礼を返すと、彼は何事もなかったかのようにごみ捨ての曜日や回覧板の順番、その他諸々を説明してから帰っていった。それからも彼はたびたびわたしの部屋に訪れた。夕飯ののこりものだというやけに凝ったおかずを持ってきてくれることもあれば、立ち話だけして帰る日もあった。
 他意があったわけではない。すくなくとも、わたしの方ではそのような類のことは全く考えていなかった。何よりも仕事が忙しくて、毎日それ以外のことはほとんど考えていなかった。だから水無月さんに別居中の奥さんがいると聞いたときも、驚いたものの動揺はしなかった。
「その、いろいろあったんです。たいしたことではないのですが」
 そのときわたしたちは、池の側にあるベンチに腰かけて月見をしていた。わたしは何か気の利いたことを言おうとしたけれど、何も浮かばなかった。肝心なときに言葉が出てこないというのは物書きとしてどうなんだと自問しつつ、かといって軽々しく慰めの言葉を口にすることもためらわれ、仕方なく、持ってきた鞄から缶のお酒をとりだして水無月さんに手渡した。
「今度、きちんと飲みにいきましょう」
 わたしが言うと、水無月さんは「楽しみにしています」としずかに微笑んだ。それから長編に行き詰まったりエッセイのネタが尽きると、わたしは水無月さんを誘ってお酒を飲みに行った。水無月さんの方からもときどきわたしを誘ってくれた。けれどそれ以上わたしたちの関係は進むことはなかった。互いに細心の注意を払っていたのだと思う。境界はとても曖昧で、ふとしたことでくずれてしまう。あからさまに不自然な均衡を見ないように、けれど丁寧に保ちつづけた。
 おいしいものを一緒に食べる相手がいるのはいいことだ。そう思いながらも、毎回わたしは水無月さんのうつくしい手元から目を離すことができないのだった。

 お酒でほてった体を冷やすため、河沿いを歩いて帰った。
 満月の夜だった。蜜色にかがやく月の輪郭は薄雲に滲み、そのやわらかいひかりを河の水面に映していた。対岸にずらりと並ぶ工場の煙突が、赤い光を瞬かせながら、澄んだ夜空にむかって白い煙を一心に吐き出している。風もないのに、煙のすじが大きく曲がっていた。
「てる子さん、あれ」
 ふいに水無月さんが立ち止まった。ひっそりと夜に沈んだ商店街で、一軒だけぽつんと黄色い光が灯っている。果物屋だった。
 わたしたちは吸い寄せられるように近づき、店頭をのぞきこんだ。裸電球の光の粒を浴びた果物たちは、どれも濡れたようにあざやかだった。眼鏡をかけたお爺さんがひとり、奥の帳場机で書きものをしているのが見えた。
「なにか、買いますか」
 言うと、水無月さんは腕を伸ばして檸檬をえらんだ。
「果物屋といえば、これでしょう」
「そうなんですか」
「ええ。いいですよ、檸檬は」
 そこでわたしと水無月さんは置いてあるだけの檸檬を買った。少なからず、わたしは酔っていた。紙袋を抱えたわたしたちは、わたしたちのアパートに向かって歩き出した。ひと気のない大通りを信号の光がひそやかに照らしていた。
「てる子さん、僕は文章を書く人の手が好きです」
 唐突に、水無月さんが言った。足取りもしっかりしているし頬も紅潮していないけれど、たしかに彼も酔っていた。わたしはうつむいたまま黙っていた。水無月さんの履いている革靴が、一歩踏み出すごとに黒くつやめいた。
 アパートの部屋の明かりは、六つ中四つが消えていた。わたしと水無月さんは檸檬の袋をかかえたまま、夜露で湿ったベンチに座った。黒く円い鏡のような水面に、ぽっちりと橙の月が揺れていた。粘度のありそうな暗色の水をかきわけるようにして、鯉たちがゆったりと泳ぎぬけてゆく。そのたびに月がこまかく震えた。
 突然、水無月さんが立ち上がった。両手にひとつずつ檸檬をにぎっている。そのままずんずんと池の縁まで歩いていき、そこでしゃがみこんだ。
「水無月さん?」
 思わず腰をあげかけると、水無月さんは右手にもった檸檬をそっと手放した。あまりに自然な動作で、一瞬、彼が何をしたのか分からなかった。支えを失った楕円の果物はそのまま落下し、ぼちゃんと音を立てて池に落ちた。おどろいた鯉たちが、ざわざわと隅に逃げてゆく。
「てる子さんも」
 手渡されたもうひとつの檸檬は、ほのかに温かかった。縁に立って池を見下ろしながら、大家さんに見つかったらどうなるんだろう、などとぼんやり考えた。きっとどうにでもなるだろう。水無月さんがいるのだから。
 わたしは腕に力をこめ、檸檬を遠くに放った。つもりだったが、案外手前の方で、飛沫だけを派手にあげて沈んでいった。水中に落ちてゆく檸檬は、それでもあざやかさを失わない。昏い水底から淡い燐光を放つ果物はうつくしかった。
 ふたりで檸檬をどんどん池に沈めていった。最後のひとつを投げた水無月さんは、そこで立ち尽くした。わたしもそのすこし後ろで、池を眺めた。夜をそのまま抽出したような、こっくりと澱んだみずたまりのなか、たくさんの檸檬が月からうけた光を反射して光っている。色味はすでにほとんど消え、どの檸檬もただ白くぼんやりとかがやいていた。
 投げ入れたとき飛沫をうけたのか、水無月さんの手は濡れていた。白い指の先から、ほたりほたりと透明な雫がしたたっている。腕を伸ばせば、届きそうだった。今、その手に触れたら、彼は何を言うだろう。きっと黙って握り返してくれるにちがいない。なのに、いつまでたってもわたしの手は固まったようにうごかなかった。うごかす気も、なかった。何しろ、わたしの指は、人の手をにぎるのに適していないのだから。水無月さんの大きな背中をじっと見つめる、それだけで、本当に精一杯だった。これ以上、幸福にも不幸にもなりたくなかった。
 水底の檸檬は、すこしずつひかりを失くしてゆく。


-----------------

約3500文字。
構想半日・執筆二時間程度です。
読んでくださった方、ありがとうございました。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―とりあえずしばらく難易度低めでいきましょうか― ( No.2 )
   
日時: 2012/02/22 12:16
名前: zooey ID:ufvTE9y2

 朝起きて、私がまずすることは、掃除だ。掃除機を使うと埃が舞い上がるので、クイックルワイパーで部屋の隅々まで拭いていく。角のところはワイパーの先が届きにくいので、何度か向きを変えて、三角形の白い埃を掻きだしていく。それを一通り終えると、今度はハンディモップでもって、本棚、タンス、パソコンデスク、テレビとその台などの汚れを絡めとるのだが、パソコンのキーボードの隙間や本棚のガラス戸の溝は、やはり埃がたまっていて――特に本棚の溝は白い埃が若干黒みを帯びるほどにたまっていることもあった――濡れティッシュを使って、丹念に溝をなぞっていかなくてはならない。それから、食卓テーブルを布巾でざっと拭いてから、台所へ行くと、昨晩洗って乾かしておいた食器を、音をたてないように、そっと、棚に並べていき、朝のひと仕事は終了する。
 それから、料理に取り掛かりながら、コンロのまわりが、はねた油で黄ばんでいるのに心が留まり、胸にぽつんと黒い染みが生まれる。あ、今度きれいにしなくちゃ。その思いはぽつんとしていたが、しかし、鮮やかに心の片隅で、私自身を見つめている。
 こういう類の染みが、私にはいくつもある。昨日は風呂場の排水溝に髪の毛がたまっていて、すぐにとったのだが、気が付くと、また一、二本の細くて柔らかいうねった髪の毛が、排水溝の入り口にへばりついているのだ。それに、家の外の花壇に植わったパンジーも、一列にきれいに植えて並べたつもりだったのに、なぜか四方八方から芽が出てしまい、その上色もばらばらで、何とも格好悪い。これを外から見る人がいるのだという思いが頭をかすめると、心の染みは、まるで白い紙にインクが染み広がっていくように、大きくなった。
 だが、最も大きな染みは別のものだった。小学校二年生の息子だ。いや、息子のことが嫌いなわけでは、決してない。彼はおとなしそうなたれ目をしていて、その目は笑うと三日月形になり、何とも人懐っこい表情になる。笑窪も、ぽち、ぽちと二つ、くっきりと出て、周りの大人を笑顔一つで和ませてしまう力を持った類の子供だった。
 しかし、彼が学校で休み時間にトイレに行きそびれて、授業中に漏らしてしまったとか、面白がって隣の席の女の子の前髪を鋏でざっくり切ってしまったとか、そんなことで学校に呼び出されると、周りの先生や生徒たちの視線が胸を貫くくらいに心に沁みて、いつも顔を下に向けて息子を連れて帰るのだった。
 掃除を終えて、私が料理をしていると、階段の方から、とんとんとん、と軽い音を立てて息子が降りてきた。
「もう起きちゃったの?」
 私が言うと、彼は耳に響く、ちょっと張り上げた声で、
「うん、だって、お母さん、うるさいんだもん」
「お掃除してたんだから、しょうがないでしょう?」
「でも、うるさいよ」
 彼はそう言うと、私の返事など待たずに、すぐ脇をすり抜けて、ストーブの前にぴったり座る。
「あー、あったかい」
 もっと大きい子を真似するような、どこかわざとらしい口調で彼が言った。そのちぐはぐとした感じが何とも愛らしく、私は頬を緩めながら、再び、台所へ向かう。
 朝ごはんの支度が整うと、食卓テーブルに皿を並べていく。まずは、薄桃色に桜の花模様があしらわれた底の浅めの御飯茶碗と、それよりひとまわり小さい『ワンピース』のチョッパーの絵がプリントされた子供用のそれ。それらの隣には、浅皿を。乗せられているのはさんまの塩焼きだが、チョッパー柄の茶碗の方に置かれたものは、骨をきれいに取り去られていて、細かくなった魚の身が、こんもり、山を作っている。それから、深皿に盛られ、つややかに光を反射するふきの煮物をテーブルの真ん中に置き、最後に明るい茶色、もしくは濃いオレンジ色にてらてらとした、なめこの味噌汁をそれぞれの席に並べたら、朝の食卓が完成する。
 息子は、うれしそうに三日月形に目を細めて、小さな箸を持つ。
「ちゃんと、いただきますしてからでしょう?」
 私が言うと、彼は一瞬箸を手に持ったまま手を止め、それからふきの煮物に視線を置いたまま、惜しむような、仕方なさそうな様子で、テーブルに戻す。そして、そのまま拭きを見ながら、私が、
「はい、じゃあ、いただきます」
 と言うのに少し遅れて「……ただきます」と、口をもごもごさせて言うと、パッと箸をとり、ふきを挟むとぱくりと口に入れる。もぐもぐと口角を上下させながら、だんだんに目が三日月形に細められていく。
「ふきは、おいしいねえ」
 彼はまた、二年生らしかなぬ、大人をまねたような言葉を、変に大きく響く声で言う。
「そうね、おいしいね」
 私はそう言いながら、ふと、昨日息子の宿題に付き合っていた時のことを思い出す。
 宿題は、国語の『ふきのとう』の音読だ。彼が妙にふきを意識しているのは、このためだ。彼は真剣な眼差しで、教科書に顔をうずめるようにして、読み始めた。
「よが……あけました。あさのひ……ひ……ひ、じゃない『こう』をあびて、たけやぶのが……」
「ちがうよ、もうちょっと落ち着いて読みなさい」
「ちゃんと、読んでたよ」
「ちがうでしょ? 朝の『こう』じゃなくて『ひかり』。『たけやぶのはっぱが』。」
 彼は声を大きく、いかにも不当に非難されたというように、
「そう読んだじゃん」
「読んでない。じゃあ、もう一度、はじめから読んでみなさい」
 彼は子供らしく頬を膨らませて、挑むような目で、再び教科書に向かうと、口調を強めて、
「よがあけました。あさの……ひ……かりをあびて、たけぶやが……」
「ちょっと待って、違うじゃない。ちゃんとひらがなは読めるのに、どうして勝手に言葉を変えちゃうの?」
「変えてないよ」
 そんな風にして、結局、音読は最後まで終わらなかった。聞いているうちに私の胸にはピリオドのようなぽつんとした黒点が打たれて、それがだんだんに染み広がって、心を侵食していったのだ。次第に、彼の大きく響く声が、その鋭さを増したように胸を貫くようになっていったのだ。私は「もう、ご飯を作るから」と適当な言い訳をして、彼を子供部屋に連れて行くと、ぱたりとドアを閉めた。
 昨日のことを思い出すと、私の心はきゅうと縮まった。幼い息子を拒むために、私はドアを閉めた。それは母親として、あまりにも身勝手な行為だろう。あのぽつんとした黒い染みが、じんわり広がってくる。この染みは、きっと、息子のせいなどではないのだ。私自身の――母親や、妻や、主婦としての、私自身の不甲斐なさのせいなのかもしれない。息子を受け入れられない、自分の家を美しく保つこともできない、不完全な母親なのだ。完璧でない私は、家も、息子も、完璧にすることは、できないのだ。
 食事が終わると、私は皿を流しにおいて、お湯につけ、洗濯を始めた。グワン、グワン、グワン、と音を立てて、洗濯機が回る。その間、本でも読もうと、スタインベックの『赤い仔馬』を手に取る。
 その傍らで、息子はこの間買ったばかりの革靴の空箱に、マジックで落書きをしている。彼は赤や青や緑の色で、箱を塗りつくしていき――塗り方が雑なので、いたるところに隙間があり、地の色がのぞいている――何を思ったのか、今度はその紙の箱を手でちぎって、色とりどりの破片を床に散らし始めた。私は叱ろうとして、彼の方を見た。すると――
 私は息をのんだ。硬直したように視線はそこから動かなくなった。その先にあるのは――黒真珠のように輝く瞳で、目の前のものをただひたすらにむさぼる純粋さだった。そのあまりの美しさに、私は声を失っていた。
 それに続けて、今度は熱さが胸いっぱいにせりあがってきた。洪水のように感情が溢れて、目の中が熱くなり、視界がにじんでくる。目の前のその純粋さは、私がいつの間にか、どこかで、落としてしまったものだった。ただ、ただ、無心で、言葉の分からない洋楽を、サリンジャーの繊細な世界を、悲しくて甘い失恋を、胸をときめかせた会ったこともないアイドルを、心躍らせる活劇を、大好きで常に身に着けていたスヌーピーやなんかのキーホルダーのコレクションを――とにかく、恰好なんて関係なく、目の前にあるすべてのものをむさぼった、あの純粋さはどこへ消えてしまったんだろう?
 そんな思いが胸の内から、今にも溢れ出しそうだった。が、息子を見つめていると、あることが、ぽつんと、芽を出した。そう、あの、冷たい雪の中から顔を出した、ふきのとうのように。
 私はあの子の純粋さに、感動することができるんだ。その程度の純粋さは残ってるんだ。
 その小さな思いは、もはやそうであってほしいという願望でしかないかも知れない。しかし、それでも、私はその願望にしがみついているしかない。小さな、小さな、純粋のかけらを、私は胸で温めていよう。
 私は息子に近づいて、ささやくように、こう言った。
「ねえ、これから、一緒に、クッキー作って、食べようか?」
 息子は顔をあげて私を見ると、黒い瞳をてらりと輝かせて、三日月形に細めながら、
「うん」
 本当は、夫から甘いものは食べさせるなと言われている。子供のうちに甘いものを食べすぎると、肥満体型になる可能性がぐっと上がるそうだ。しかし、そんなこと、関係ない。
「お父さんには、内緒だよ」
 そう言って、私は、彼の子供らしい、膨らんだ頬に、ちょん、と人差し指で、触れた。
-----------------

二時間くらいです。
スタインベックの『赤い仔馬』好きです。
最近にしては落ち着いた文章が書けて、良かったなと思っています。

メンテ
名もなき影のうた ( No.4 )
   
日時: 2012/02/26 18:01
名前: HAL ID:YSEvtE6s
参照: http://dabunnsouko.web.fc2.com/

 なにか、ふきのとうの話がなかったっけ。教科書に……。

 ほとんどうわごとのように、哲哉がいった。
「あったね、いわれてみれば。低学年のころじゃなかったかな」
 わたしがそういうと、哲哉はいっとき黙り込んだ。それから、床にあおむけで転がったまま、悲しげにつぶやいた。「どんな話だったか、中身が思い出せないんだ」
 いっとき記憶の中をたぐろうとして、わたしは部屋の天井を見つめた。手抜き工事の産物か、天井板がひずんで、細く隙間が見えている。小さな子がこの部屋で寝たら、さぞ怖い空想に悩まされることだろう。
 たっぷり一分は考えんだと思うけれど、教科書にあった物語のかけらさえ、よみがえってはこなかった。
「さあ。教科書なんて、とっくにまとめて捨ててしまったもの。テツのお母さんなら、どこかにしまってるんじゃない? 几帳面そうだし」
 わたしがそういうのを、哲哉はまるで聞いていないようだった。酔っているのだ。寂しげに、ただただ繰り返した。どうしても思い出せないんだ。
 その声の語尾が、部屋のどこか湿った空気に溶けて、消えそこなって漂っているのを見つめて、わたしはため息をついた。
「一度、帰ったら?」
 そうだね、といって、哲哉はまた黙り込んだ。


 かえりたい。一度だけ、哲哉がいったことがある。
 帰る? あの町へ? わたしは口に出してはなにも否定しなかったけれど、沈黙は言葉よりもなお雄弁だっただろう。
 小さな漁港の町だった。日本海側の海は暗く、波が高くて、いつでも寒々した暗い色をしていた。町のどこにいても、生臭いにおいばかりがしていた。魚か、そうでなければ、昼から酒をくらっている酔っ払いの、息のにおいが。
 わたしは何があっても帰るつもりはない。親が死んだら、ここでひとり祝杯をあげるだろう、この都会のせまく薄暗いアパートの部屋で。
 故郷なんて美しい言葉とともに語りたくはない、いい思い出なんて、ひとつもない場所だ。二度と足を踏み入れたくもなかった。
 スローライフ、なんていう優雅な言葉で語れるような田舎は、いったいこの日本のどこかに、実在しているものなのだろうか?
 ひとはよく都会の孤独をうたうけれど、田舎には孤独がないとでも思っているのだろうか? たしかに小さな集落では、誰もが互いの何もかもをよく知っている。内緒ではない内緒話はあふれる水のようにまんべんなく浸透し、世話を焼くふりをして詮索の目を向ける人々は異分子をめざとく見咎める。悪いうわさが立てば、けしてそれは忘れられず、十年経とうが、五十年経とうが、繰り返し繰り返し、飽かず語られつづける。共同体の輪を乱すものは嫌われ、穢れたものは見て見ぬ振りをされる。たとえば実の父親とのあいだに子を産んだ、わたしの母親のように。


 一緒に、ここを出よう。この町にいたら、佑子はだめになる。
 いつか哲哉がそういった、あのときまで、わたしには町を出るという発想はまるでなかった。なぜだろう。わたしこそ真っ先に、それを考えてもいいはずだったのに。
 哲哉は間違っていた、と思う。わたしはだめになろうとしていたんじゃなくて、とっくにだめだったのだ。
 わかっているのに、二人で見ないふりをした。
 町を出て、都会にしがみつくように暮らしはじめた。借りたアパートは古く、狭く、早足の雑踏にはいつも気分が悪くなったけれど、何があっても二度とあの場所に戻るよりはいい。
 知らない人ばかりの中で、不安がなかったといったら嘘になるかもしれない。知らない町、ちっともおいしくない高いばかりの食べ物、嘘くさいぴかぴかした建物と服と革靴、よそよそしい言葉づかい。まるでものを知らなくて、人に笑われても、わたしはそれを些細なこととして受け流すことができず、くだらないことで羞恥心に焼かれることが日に何度もあった。だけど、自由だった。
 その自由を孤独と呼ぶ都会の人間に、どうしてもなじめなくても、そんなことはかまわなかった。わたしは名前のない一人になりたかった。
 そこにいてもどこにもいないのと同じ、いてもいなくても変わらない、消えても数日後には忘れられる影になりたかった。


 だけど哲哉は違う。
 わたしを助け出そうなんて思うくらいだ。他人との距離が狭く、底抜けに人のいい哲哉には、都会の喧騒はいっそ、毒だった。
 わたしはそれを知っていた。はじめから、知っていたように思う。だけど見ないふりをした。そのほうが自分に都合がよかったからだ。
 一度帰ったら、きっと哲哉は、もうこっちには戻ってこない。予感があった。哲哉の両親も、お兄さんも、正直で面倒見のいいひとたちだ。周りから頼りにされて、愛されていた。
 哲哉のお兄さんは、足を悪くして、漁にはもう出なくなった。酒の量が増えたらしいと、田舎からの電話を切った哲哉がいった。
 心配なら、一度、戻ったら。わたしはそういったけれど、自分のその言葉が嘘だということに、とっくに気付いていた。
 うん、そうだねと、哲哉はいった。それもまた、わかりやすい嘘だった。


 わたしは名もなき一人になりたい。ひっそりと死んでも誰からも顧みられず、三日後には忘れられて名前ものぼらないものになりたい。だからわたしに哲哉は必要ない。上京した初めのころはともかく、いまなら一人で働いて、自分の食べていくだけならなんとかできる。いまの会社の給料はあまりよくはないけれど、余分なものを欲しがらず、家族を持とうとさえ思わなければ、あんがい少ないお金で暮らしてゆけるものだ。
 わたしに哲哉は、いなくていい。いないほうがいい。そのほうがよほど気楽だ、こうやって鬱々と顔を突き合わせているくらいなら。お互いに気遣いあうふりをして、それでかえって傷ついたりしているくらいなら。ひとりきりのほうが、ずっといい。
 嘘ばっかりだ。


 哲哉は眠ってしまった。鼾の音を数えながら、電気を消す。今日は月明かりだけでも、部屋の中がよく見える。暗くよどんだ雨の日よりも、よく晴れて月の明るい晩のほうが寂しくなるのはなぜだろう。
 わたしはとっくにだめだったんだよ。胸のうちではもう何百も、何千も繰り返してきたそのつぶやきを、哲哉に向かっていったことはない。悲しい顔をさせるだけだから。だけど哲哉も、ほんとうはわかっている。わかっていて、気付かないふりをしている。
 哲哉は帰ったほうがいい。
 だってあなたがいると、わたしはいつも、あの場所のことを忘れられない。生まれた土地で自分がどんなふうに見られていたか、人の噂にどんな形でのぼり、どう避けられてきたか、口に出さなくても、意識の表層に上らせなくても、ずっとそのことから逃げられない。
 わたしはひとりがいい。もしも孤独に耐えられなくなって、また誰かと一緒に過ごすことがあるとしたら、その相手は、わたしのことを知らない人がいい。わたしの心の奥のふかいところなんて、何一つ知ろうともしない人のほうがいい。
 いつも嘘ばかりだけど、本当はちゃんとわかっている。今度はわたしがいう番だ。
 テツ、帰りなよ。一緒にいたら、わたしたちは、だめになる。
 たったその一言を、わたしはいつも呑みこんで、押し黙ってしまう。
 けれどいつまでも、そうしてはいられない。わかっている。だからいまは、じっと勇気をたくわえている。この古くて狭い部屋のなかで、月明かりを浴びながら。


----------------------------------------
 久しぶりの定例三語参加です。しかし、えらいこと暗い話になってしまいました……。
 3000字ちょっと、2時間弱でした。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―とりあえずしばらく難易度低めでいきましょうか― ( No.5 )
   
日時: 2012/02/26 22:12
名前: 紀之下 葉 ID:CEC4t/GE


「あ……」
「お……」
 目を見合わせて1秒くらい固まった。
「ここ……?」
「そう……そのはず」
 と言って太一は自分の受験票と机の右肩に書かれた受験番号とをもう一度じっくりと見て確かめて、うん、と頷いた。
 まさか同じ学校の友達と席が隣になるとは。この学部の志望者数は確か500人くらいじゃなかったっけ。奇遇、まさにそれだ。ちなみに受験番号が続きってことは、合否がどうだったか訊ねなくても分かってしまうーーいや今それはどうでもいい。ていうかそんなもの内緒でも何でもないから別に構わない。……うん。
「寒いな、今日」
 太一が呟く。
「雨降ってるしね……太一、ズボンの裾、びしょ濡れじゃん」
「まぁそのうち乾くだろ」
 そうかな。そういう私もスニーカーが浸水して気持ち悪くて、さっきからずっと半脱ぎ状態だし。私も太一みたくローファー履いてくればよかった。でも私の持ってる私服の中にそんな革靴と合うやつなんて無い。じゃあ太一みたく制服着てくればよかった。そしたらほら、上半身だけでも、紺のおそろいで、二人並んで……え。
 待って何今の思考大丈夫かしら私ほっぺた火照ってないかしらいやそうじゃなくてあああだめだめ集中集中勉強に集中隣の人なんか気にしないでこれは私の人生が懸かってるのよえええと最初の科目はえええと
「英語かぁー」
「!?」
「え、何、どうしたの、急にこっち振り向いて……僕何か間違ったこと言った?」
「いや……ねぇ、私、今何か言った?」
「は? さぁ」
 たまたまか。
「あぁ、そう、それなら」
「?」
「いやあの別に気にしないで。太一、英語苦手?」
 むりやり話題を逸らしてみる。
「苦手意識はあんまり無い。得意でもないけど」
 そういえばそう言ってた。ていうかこのやりとりももう何回もした、ととっさに気が付いて、またほっぺたが火照りそうになる。思えば、いつもこういう状況に陥った時同じような手でごまかしてたかも……。
 太一の方をちらと横目で見る。別にいつもと変わらない様子で、ふきのとうの形をしたお気に入りの筆箱から鉛筆とか消しゴムを取り出して机に並べている。私の方はというと、手元の単語帳に目を戻しても、全然内容が頭に入ってこない。なんか目に映るもの全てが紺色に見えて仕方がない。あああ私ったらこんな時に何を動揺してるのかしら。
 あ、試験監督の先生がマイクを手にして「そろそろ参考書等をカバンの中にしまってください」とか言ってる。カバン? カバンってどれだっけ。あれ、今私何してたんだっけーー
「おい、大丈夫か?」
 太一の声で、我に返る。うん、大丈夫。自分に言い聞かせるように小さく声に出す。
「平常心でな」
 お願い。こっちだって平常心を保ちたいんだから、もうそれ以上話しかけないで。



--------------------------------------------------------------------------------

はじめまして。国公立前期試験終えたての現役受験生キノシタです。
飛び入りですがよろしくお願いいたします。

1時間半くらいだと思います。
あと、ちょっとだけ〆切をオーバーしてしまったことに対してお詫び申し上げます。

ちなみに、友人が隣の席だったという部分だけ、事実に基づいております。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―とりあえず難易度低め― 感想 ( No.6 )
   
日時: 2012/02/27 00:34
名前: 紀之下 葉 ID:ROrk1K.k

>沙里子様
「裸電球の光の粒を浴びた果物たちは、どれも濡れたようにあざやかだった。」あたりで、私の中の何かが反応しました。
 現代文の授業でやりましたよ! 誰かが教卓の上に国語辞典とか英和辞典とか積み重ねてその上にレモン乗っけたりしてましたよ先生が来る前に! それで先生わりと喜んでましたよ!
 ……そんな事は今どうでもよろしくて。
 幻想的ですね。静かで、濁っていてかつ澄んでいて。水底の檸檬がもし一度に爆発でもしたら、丸善が吹っ飛ぶどころの騒ぎではない気がします。鯉さんが可哀想です。

 ちなみに例の果物屋はまだ存在するそうですね。近くに住んでる友達が言ってました。丸善は今はありません。残念です。


>zooey様
 子どもの頃から低温やけどを恐れてストーブのすぐ前には座り込めないですね私は。親にそう刷り込まれてきたのです。
 ……そんな事は今どうでもよろしくて。
 子どもの持つ、対象への興味・好奇心の純粋さというのは、うらやましいものがありますよね。もちろん世の中への興味関心を全く以て捨ててしまったわけではありませんが、なにかと計算高くなってしまっていけません。どこかに、そんな小さな純粋さに思う存分のめり込める余裕を作っとかないとな、などと思ってみたり。

 そういえば、私は教科書で「ふきのとう」をやった記憶がありません。


>五月公英様
 読んだ覚えがないばかりか、食した覚えもない「ふきのとう」。思い出すとその味が舌に上る、というような経験を共有できないことが悔やまれます。


>HAL様
 申し訳ありません、どこを取り上げて感想を言えばいいか、何だかよく分からないままです。沈黙は言葉よりもなお雄弁、ってことでーーいや駄目ですよね。
 あ、7行目で「たっぷり一分は考えんだと」とありますが、これは誤字でしょうか?
「わたしは名前のない一人になりたかった。」今のわたしとはまるっきり逆だな、という感想をとりあえず置いておきます。何が出来るか分からないけど、出来るだけのことをして、何らかの形で、自分の名前を後世に残したい。漠然とですが、そんな心持ちでいます。


>
 何かを書いたこと自体、久しぶりでございました。約1年ぶりでございます。
 実を言うと私、高校3年間でローファーに自分の足を嵌めたのはただの一度きり、数十分間のことでございまして。革靴を履いてる感触なんてほとんど覚えていない状況での執筆でございましたから、もし何か読者様方の経験と一致しないニュアンスが含まれておりましたら適当に脳内補完なり何なりなさっていただけると有り難いです(逃
 セリフの運びが何だか巧くないな……。それと、プロットさえろくに作らずにいきなり書き始めたので、話の仕舞い方はこんなので良かったのか、などと考えるべき所は残されましたね……。まぁ、いいや。これから精進いたします。やっと暇ができましたから。束の間ではありますが。

メンテ
感想と反省文です ( No.7 )
   
日時: 2012/02/29 20:52
名前: HAL ID:M/L3bMoc
参照: http://dabunnsouko.web.fc2.com/

> 沙里子さま
 いいなあ、いつもながら、いつまでもうっとり読んでいたくなる美文に惚れぼれしながら読了しました。小道具のすてきさも、これももう沙里子さまに申し上げるのはいまさらすぎるところではありますけれど。
 文章のあいだににじむ色気や儚さもですが、、
> これ以上、幸福にも不幸にもなりたくなかった。
 こういう描写ににじむ甘やかな切なさ、それから臆病さ。いいなあと思います。
 堪能させていただきました! ごちそうさまでした!

> zooeyさま
 あぶなっかしい母親の心のバランスに、これは大丈夫なのかな、もしかして怖い展開になるのかなと、はらはらしながら読み進めましたが、読み終えてみるととても素敵な結末でした。
> たけぶやが……
 子どもってこういう読み間違えしますよね。ふきが好きという渋ごのみなところとか、子どもの描写がいちいち可愛い……!
 いつの間にか忘れてしまった、純粋さへの憧憬。胸に迫りました。

> 五月公英さま
 はじめまして、ですよね。三語板へようこそ! またお気が向かれましたら、ぜひご参加くださいませ~。
 それにしてもミナコちゃん、ひどい(笑)タツヤ君、可哀そう(笑)
 でも子どもって、しばしこういう自分本位なところありますよねー。ここまでではないけれど、しばしば友達に理不尽なことをいっていた、かつての自分を思い出して、少々反省してみたり。なんだかちょっと懐かしいような気持ちになりました。

> 紀之下 葉さま
 はじめまして。可愛いですね……! なんていうかこう、ついニヤニヤしながら読んでしまいました。受験のことより隣の席の男の子のほうが気になって緊張している主人公の、受験の結果が少々心配です(笑)
 ふきのとう型の筆箱ってちょっとかわいいかも! 使い勝手はどうかわかりませんが(笑)
 受験生さんなのですね。前期試験おつかれさまでした! ぜひまたお時間のあるときにでもご参加くださいませー。

> 反省文
 ふと気を抜くと暗い話ばかり書いてしまう性分です。即興の掌編でも、とっさに明るい話を書けるように人格改造をしたい。
 状況説明と主人公の心理だけで話が終わってしまいました。情景なり登場人物の動きなり、もう少し入れられなかったものかと思います。
 たっぷり一分は、は誤字ではないですが、前の文章からの流れが悪くて意味がとおりづらくなっていますね。いっぷん、も漢字で表記すると紛らわしいし。ほかにもところどころ日本語が乱れていて恥ずかしいのですが、戒めとしてそのままにしておきます……。

(追記)
 ごめんなさい、せっかく指摘していただいたのに理解してませんでした。「考え込んだ」の「こ」が抜けてますね(汗)お恥ずかしい! ご指摘ありがとうございました!

メンテ
感想 ( No.8 )
   
日時: 2012/02/28 16:59
名前: 沙里子 ID:1OgHC0eY

>zooeyさま

すてきな文章がたくさんあって、読み終えたとき、ほっと息を吐きました。
>言葉の分からない洋楽を、サリンジャーの繊細な世界を、悲しくて甘い失恋を、胸をときめかせた会ったこともないアイドルを、心躍らせる活劇を、大好きで常に身に着けていたスヌーピーやなんかのキーホルダーのコレクションを
たまりません。この言葉のチョイス、とてもすてきです。センスわけて頂きたいです、本当に……。
読ませて頂いてありがとうございました。


>五月公英さま
ときどきくすっと笑えたり、おもしろかったです。
わたしも「花とゆめ」のコミックス、一時あつめていました……(遠い目で
ありがとうございました。


>HALさま

本当に、さすが、というしかないです。胸がしめつけられるような切なさ。
ぴんと張りつめた孤独の糸が切れてしまいそうにあやうくて、苦しくて、でも好きです、このお話。苦しくなるのに、きっとまた読み返すと思います。何度も。
読ませて頂いてありがとうございました!


>紀之下 葉さま

きゅんきゅんしました。たまらないです、こういうの。もっと読みたいです。
主人公ちゃんは合格できたのか、気になります(笑)
ありがとうございました。

メンテ

Page: 1 | 全部表示 スレッド一覧 お気に入り 新規スレッド作成

題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail 入力すると メールを送信する からメールを受け取れます(アドレス非表示)
URL
パスワード (記事メンテ時に使用)
投稿キー (投稿時 投稿キー を入力してください)
コメント

   クッキー保存