三連休、もう一日くらい休みがあったらなと思うわけです。先週がやたらと長く感じたせいでしょうか?今週の合間に一日くらい休みたいけど、休めない ------------------------------------------------------------------------------- ●基本ルール 以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。 ▲お題:「ラム酒」「散歩のための散歩」「赤レンガ」 ▲縛り:なし ▲任意お題:「くさやバーガーが大ブーム」 ▲投稿締切:1/19(日)23:59まで ▲文字数制限:6000字以内程度 ▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません) しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。 ●その他の注意事項 ・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要) ・お題はそのままの形で本文中に使用してください。 ・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。 ・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。 ・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。 ●ミーティング 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。 ●旧・即興三語小説会場跡地 http://novelspace.bbs.fc2.com/ TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。 -------------------------------------------------------------------------------- ○過去にあった縛り ・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など) ・舞台(季節、月面都市など) ・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど) ・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど) ・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど) ・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など) ・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など) ------------------------------------------------------------------------------
足腰がなまってきた。最近、散歩のための散歩をしようと思う。つまりは、シェープ・アップだ。赤レンガの街並みを歩く。 ある店の前で人垣ができていた。 人の間をかき分けると立て看板がどうどうと立てかけてある。『くさやバーガーが大ブーム 一個1000円』 一瞬、目を疑った。もう一度なぞるように見る。何かの間違いか、それともハンバーグのパン生地にくさやが挟まっているのだろうか? それに、ちょっと高額である。多くの疑問が胸を掠めた。くさやって、魚を腐らせて発酵させたあれか? 横を見ると女子高校生がキャーキャー言っている。「くさやバーガーだって。ここのお店、最高においしいんだって、それに匂いもいいのよ」「そうなんだ」 隣の女子高生を疑った。もしくは、自分の耳を疑った。 わたしは、わたしで、わたしなりに興味が沸いた。 夢遊病者の足取りで、神様を目指すように店内に入る。「いらっしゃいませ。何になさいましょう」 店員がにこやかな笑顔で声をかけた。「く、くさやバーガー1個。それと、オレンジジュースをラージサイズで」 わたしは、もしものときのために、心配であったのでオレンジジュースLサイズを強調して云う。もしものときは、ジュースで補って飲みこなせば、薬局の胃散にお世話になることもないだろう。「お会計1500円です」 わたしはなけなしのお金をレジに出して、一目散で空いている席に着席をする。辺りを見回すと、カップルや女子高生、主婦や会社員などが、美味しそうにハンバーガーを食している。 これは、悪意か、はたまたパラレルワールドか、私は背中にたまのような汗をかいた。 息を整えてから、一気にハンバーガーを口に運び、頬張る。(うまっっ) 肉が柔らかく舌の上で溶けた。それに、香りがどこか違った。「ここのお店ね。ハンバーガーに高いラム酒を使っているみたいよ。そうそうCalvados use Server Yellow Amusement 略してクサヤで、ラム酒にカルバドスっていうブランデーが混ぜてあるの」(なんのこっちゃ) 私は、近く少女の会話に、頭を抱えた。だが、美味しいので全部を食べきりジュースも飲みこなす。 そして、気づいた。シェープアップのためのダイエットはどうなってしまった、とーーーーーーーーーーー食べたことないが、くさやは美味しい食い物らしいです。
夜中にふと酒が尽き、どこかに買い置きがなかったものかと部屋をうろうろすると、床に堆積した雑多な色々の影から、なにやら見知ったような見知らぬようなものが、微震しながらこちらを覗いているのが視界の端にちらちらと見える。女は、ねえ、なに、あれ、と私に尋ねてくるのだが、そんなものは私だって知らない。答えずに無視(シカト)していると緊張のためか女も身体を震わせはじめたので、おい、おまえ、なんだかあれに似てるぜ、と言って笑った。気が緩んだのか女も笑って、一緒になって「あれ」らも笑った。冗談がうけるのは心地いいことで、なんだか気分が高揚したような気がした。あるいはアルコールの作用かも知れない。 さて、やがて部屋の隅にラム酒の瓶を見つけて、女と一緒に飲み始めた。サンタマリアというホワイトラムだ。瓶にはちいさく船の絵が描かれていた。船は黄昏を背景に東へと進んでいる。雲が厚くかぶさった空は、しかしなお青く、海との接点はわずかに暮れていて、どうも不穏な気配があった。これはどこの海だろう。私達の知っているニッポンの海とも、どこの国の海とも違う気がする。それは我々の国の海だよ。と、「あれ」らは言う。なるほど、と私は思う。一方で納得のいかないところもある。というのも、先ほどとは言っていることが真逆のようだが、そもそも海に国境はあるのだろうか。どうだろう、国と国との取り決めの上ではあるようだけれど。と、女は言う。国と国との取り決めとはなんだろう、それは海と関係するものなのだろうか。さあ、知らないよ、そんなこと言ったら、そもそも国ってなんなのさ。国とはなんだ。たとえばこのラムは海を渡って遠い国からやってきた。西から東へ。あるいはこの絵のような船に乗って。西から東へ。サンタマリアの原産国はフランスで、女は仏文科を卒業していた。女がそこでなにを勉強していたのかというと、なにひとつ勉強をしてこなかった。勉強をしないかわりにただひたすらに考えていたのだ。それも、フランスと仏(ホトケ)の関係について。女は、どうしてフランスがこの仏という文字と結びついてしまったのだろうと、あるいは、どうしてこの仏という文字がフランスと結びついてしまったのだろうということを、四年間ひたすらに考え続けた。そのようなことを大学は教えてくれなかったので、たったひとりで考え続けてきた。例えばフランスにはマルキ・ド・サドがいて、それからジョルジュ・バタイユがいた。彼らは神を否定したが仏は否定しなかった。つまり彼らは仏教徒であったのです。と、出会った当時の彼女は言った。なるほど。と僕はうなずいた。確かに彼らの思想と仏教とは似通うところがあるかも知れないね。どのあたりが? と、これは「あれ」が聞いてきた言葉で、私は「あれ」らに、快楽と死とを同一視してるところなんかだね、と答えて、ラムを一口すすった。我々もそれが欲しい、と「あれ」らは言うが、残念ながら、きみたちはそれを飲むことができないのだ。 飲み過ぎた女がついに眠ってしまうともう明け方で、飢えて青ざめた夜はいずこへと去ろうとしている。朝の気配が色濃く漂っていて、その匂いや味、手ざわりさえも感じられた。私は散歩に出るのもいいかもしれない、と思った。というのも、私は散歩をしたいような気分になっていたからで、いわば散歩のために散歩を行おうという心づもりで、散歩に出るのもいいかもしれない、と考えたのである。そういった行為は自分が無垢な存在であるような気がしてきていいよね。ところが一方で、その無垢性はほんとうに無垢であるのか、とも考えている。散歩のための散歩とはどういったものだろう、というか、私がいまから散歩を敢行したとして、その散歩は散歩そのものに捧げることのできるものなのだろうか。私は部屋をうろうろしながら考えこんた。このうろうろ、というものは明白に散歩だとは呼ぶことができず、すなわち散歩とは歩行の総称ではなくもっと狭い領域の分野であることが分かる、少なくともそれは屋外にて行われるものでなくてはならない。女は散歩するときには近所に建っている赤レンガのビール工場の脇を通るのが常で、どんなルートを通っても最後にはその道を通過して家へと帰る。彼女の散歩は赤レンガのビール工場に捧げられている。供物、であるよね。我々への? と、「あれ」は問う。どうしてそうなるかな、きみたちはおなかがすいているのかな。そうかもしれない、と「あれ」は言う。続けて、違うかもしれない、とも言う。空腹とはとても悲しい状態で、私たちは腹を満たすために生きているのかもしれないね。フランスと仏との関係を考え込むことなんて、生きるためにはまったく必要がない。散歩のための散歩など。そうかもしれない、と「あれ」は言う。違うかもしれない、とも言う。微震する。 そう微震している。それだけではない、大きく揺れてもいる。窓から外を覗くともう朝で、空には厚い雲が堆積し、にもかかわらず宇宙じみた青さを有し、端のところはうっすらと橙に染まっている。どこかで見た光景だと思えば、先ほど飲んだラムの瓶の絵の光景で、私は、女は、そして「あれ」は、我々があの船の中にいたことにようやく気がつく。なるほどあの船は、というかこの船は、夕暮れではなく暁の裡を進んでいたのだ。外の空気をすいたくて、甲板に出て、皆でうんとのびをした。我々は西に進む。背後には朝焼け。波をかきわけ、雄々しく進む。遙かに進む。その先には何があるのか。西にはフランスがあるよ。と女は言う。フランス……。そう、フランス。女が煙草をふかすと、煙は遠く置き去りにされて、ああ、彼らはフランスへは辿り着けないのだな、と「あれ」が呟く。ーーーーーhttp://item.rakuten.co.jp/likaman/600125/#600125
冬のある日 冬とは思えない小春日和の暖かさに誘われて、とある港町へと出かけた。 そこには赤レンガの建物群が立ち並んでいて、ちょっとした風情がある。 散歩のための散歩ではないが、ぶらぶら歩いているとどこからともなく糖蜜の甘い香りが仄かに漂ってきた。 赤レンガの壁に挟まれた細い路地を進んでいくと、巨大なタンクが見えてきた。 糖蜜の香りに誘われてそのタンクから伸びるパイプをたどってみると近くのレンガ造りの立派な建物に行き当たった。 立派なレンガ造りの建物はかなり大きく、さらに興味をそそられて正面に回ると、立派な鉄の巨大な門扉に『株式会社 ラム酒蒸留所』と看板が掲げられていた。 ああ、こんなところにラム酒を製造している醸造所があったのか、とちょっとした発見だった。 甘い香りのする糖蜜よりどんな製法でラム酒ができるのか。それについて私は全く知らない。ただ、どこかでその原料となる糖蜜を貯蔵した九百五十万リットルの巨大なタンクが破裂して、貯蔵されていた大量の糖蜜が溢れ、想像を絶する津波になって町に押し寄せて町に大被害を与え、夏になると糖蜜まみれから復興した町に糖蜜の香りが漂うという伝説の事故が過去にあったということだけは伝え聞いている。 立派な蒸留所の門の前にいると、重い音を立てて門扉が開いたので慌ててその場を離れると、中から数台の大型トラックが走り去っていった。 完成したラム酒を運ぶのだろう。 私はそのトラックを見送った後、またぶらぶらと赤レンガの町を歩き、老舗と思われる酒屋に立ち寄ってみた。 なんとなくラム酒が飲みたくなってきたのである。 巷ではくさやバーガーが大ブレイクしているようなので、もしかするとそれに合うかもしれなかった。 ラム酒ばかりが並んだ棚を物色する。 どれもいいものばかりでかなり迷った。 アルコール濃度もほぼ消毒エタノールに近いものもあれば、果実酒を作るためのホワイトリカー程度の濃度までいろいろだ。 ようやく手ごろな物を見つけ出して買い求めて店を出ると、よかった天気は一変して冷たい風が吹き始めていた。 私はそのラム酒の瓶を大事に持ち、寒い風に震えながら暖かい我が家に急いだのだった。