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RSSフィード [123] 即興三語小説 ―来週だけで残業が20時間オーバーな予感―
   
日時: 2013/06/02 22:48
名前: RYO ID:jIgrooAg

今週の例は、体調が整わないので、お休みです。
主催者は忙殺されています。

ヒューガルンデンホワイトは、白ビール。美味しいよ。
岩絵具は、誤変換ってことで、使えないか?
娘は、どうとでもなるんじゃない?

縛りは異性にこだわるか、ほかに性を作るか、……二次元に突っ走るか、あえて三次元か、道はあるな。人類なんていないなら、それはそれでありでしょう。

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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「岩絵具」「娘」「白ビール」
▲縛り:「異性が作中の現実には登場しない(現実として登場するのは、男性のみ、もしくは女性のみであること)」
▲任意お題:なし
▲投稿締切:6/9(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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二人 ( No.7 )
   
日時: 2013/06/09 01:36
名前: tori ID:MpHcHAt6

 美術室はテレピンの臭いが染みついていた。
 油絵がほとんどの中で、彼だけが日本画をやっている。油の絵具とは違うあざやかな岩絵具を白い皿にいくつも並べ、白い紙のうえに儚い娘の絵を描いている。
 冬の放課後で、窓の外はすでに暗い。他の美術部の部員はさっさと帰ってしまっていて、美術室には彼とぼくとだけがいる。ぼくは彼のそばに椅子を持ってきて、小説を読むふりをして、彼の絵を描く姿を盗み見ていた。
 彼は少し長めの髪を頭の後ろに撫でよせて縛っている。制服が汚れないように青や赤の染みのついたエプロンをつけている。右手に持った筆、下書きのされた紙に向ける眼ざし。研ぎに研いだような、透明に近い顔つき。
 帰りのHRが終わったあと、部活にいく彼について美術室に入ったときのことを思いだす。
 彼は画材を準備したりしながら、

―― 待たなくていいんだぞ。
―― べつに、構わないよ。ていうか、駅前に新しいバーガー屋ができたんだよ、そこ行こうぜ。
―― 遅くなるぞ。
―― そのほうが腹へっていいでしょ。
―― そうか。

 彼は嬉しさの混じった困り顔をしていた。それと絵を描いているときの顔。どちらもぼくは好きだけれど、嬉しさと困ったのが同居したあの顔は、ぼくだけに向けられた顔で、ぼくしか知らない顔で、と思うと、ぼくが関係しないいまの彼の表情は惚れぼれするのだけど少しだけ、ほんとうに少しだけ恨めしく思う。
 じっと見つめすぎた、のか。彼が表情をくずし、筆を絵皿に置いた。
「今日はここで切りあげよう。お腹もすいたし」
 ぼくのことを見て笑いかけてくれる。ぼくは頬が赤くなるのを感じながら、椅子から立ちあがって彼のそばに寄る。彼の背に抱きつくようにしながら、
「いいの?」
「横で、そんな顔されていたら描けるものも描けないさ」
「ちょっと……それはごめん」
「お腹がすいた、それはほんとうだよ」
 ぼくは彼の肩に顎をのせながら、少しずつ完成にむかっている娘の絵に目をむける。下町の平屋のならんでいるようなところの舗装されていない道、そこに家々が小さな台をだして涼んでいる。軒先からつるされた電球をたよりに将棋に興じている中年の男が二人、彼らにグラスに入った白ビールを渡している娘がいる。その娘が絵の中心だ。
 湿気の多い夜の光景。肌寒さを感じる冬の美術室のなかにあって、彼の描いている絵のなかには夏が息づいている。
「あいかわらず、すごいね」
「まだまだ届かないよ」
「モデルいるの?」
 ぼくは絵の女を指さす。
「おばあちゃんだよ」
「そうなんだ」
「おばあちゃんの昔話とおばあちゃんの昔の写真から描いているんだ」
「その写真は? どこにも見当たらないけれど」
「頭の中にだけ」
「いいの?」
「なんというか、目の前の光景を筆で描きなおすことが絵じゃないと思うんだ」
「そういうもの?」
「俺にとってはね」
 彼はそういって立ちあがり、後片付けを始める。それを手伝って、美術室を出る。そのあとは予定どおり、駅前に新しくできたバーガー屋に行った。
 バーガー屋は、ダイナー風の作りをしていて、夜はお酒をだしている。高校生の二人では少し入りにくい雰囲気だった。彼と顔を見合わせてから、まあ、と彼がさきにお店のなかに入った。
 少し高めのハンバーガーは、思ったよりも美味しかった。ハンバーグは肉の旨味があったし、ソースも食欲を刺激した。濃い味つけで、きっとお酒に合うんだろう、と思った。
 ハンバーガーを食べながら、彼と来年の話をした。受験がある。気の早い同級生はもう受験勉強を始めている。芸大にいくのか、と彼に聞くと、彼は分からないと答える。あんなに絵がかけるのに? ―― ぜんぜんだよ、もっとうまい人はいっぱいいる。―― 自信もってよ、ぼくはすごく好きだよ。―― 俺の絵は自分の知り合いしか喜ばすことができない、それが自分の限界なんだと思うんだ。
 そういった彼にぼくはあとを続けられなかった。
 彼は彼の描いている絵の中の娘と同じように儚い雰囲気で、ハンバーガーの付け合せのフライドポテトを口に運んだ。

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白ビールがキレイに入らなかった・・・orz

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