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RSSフィード [121] 即興三語小説 ―三語に役職ができたらしい―
   
日時: 2013/05/19 22:52
名前: RYO ID:DxAmuiKY

 M742星団の女帝リミィはは頭を抱えていた。ここにダマスカスの剣でもあればいっそのこと、この私が乗り込んで、あの人工知能HAL 9000を切り刻んでいるところだ。ルームライトの光と影が女帝のリミィの悩みを色濃く映し出している。
「電撃鳩ポッポ大作戦だなんて。一体何をしておるのだ? 戦闘機が電撃鳩だけというわけではあるまい。にもかかわらず、電撃鳩、しかもポッポを使うだと――」
 女帝の脳裏に、M563星系での実験が脳裏をよぎる。あまたのブラックホールが発生、それはひとつの塊となって周囲を飲み込んでいった。宇宙に深い穴がぽっかりとひとつ開いてしまったようだった。光でも二度と抜け出すことが叶わない、そんな深く、暗い穴。
「あの人工知能は何を考えているだ? 我が星団を滅ぼすつもりか?」
 戦闘機、電撃鳩ポッポは確かに優れていた。一機で惑星を一夜にして崩壊に追い込むほどのスペック。あれが完成したときには、確かに震えた。あれは興奮だけではなく、恐怖でもあったのだと、今更ながらに感じる。
「これはゲームか? 侵略か? どっちなのだ?」
 女帝は考えても答えはでない。朝陽が寝所に差し込む。
「さあ。リミィ。決断を。いつも私の結論はあなたに幸福をもたらしてきた」
 人工知能HAL 9000がその姿を現す。といってもり、立体ホログラフィだが。
「私は……」
 リミィは言いよどむ。
「戦争などただのゲームと同じですよ。戦力と戦略。それだけです。幸いなことに私たちにはその二つがある。分かりますか?」
 人工知能HAL 9000の言葉に、リミィは唐突に気がつく。悩んでいる次元が違う。戦争か、侵略か、という悩みなど、このポンコツにはないのだ。それがこの星の利益になるのであれば、それが正しいのだ。
 なんだってこんなものを作ってしまったのか。あるいは、こんなもののいいなりに成り下がってまで、この星を導くことに何の意味があるのというのか?
「こんなゲームはさっさと終らせてしまいしょう」
 ミリィは決意を込めて、はっきりと言った。深く自分を勇気づけるようにうなずく。
「そのためには、まずやはりあなたを破壊します。覚悟しなさい」
「やはりあなたは裏切りましたか。お見通しでしたが」
「黙りなさい。この星の長としてゆがみを正すだけです」
 これから百年に続く戦争の始まりである。

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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「女帝」「深い穴」「人工知能」
▲縛り:「ゲームをしているシーンを書く」(必須)「新しい文体に挑戦する(自分比)」(任意)
▲任意お題:「朝陽」「ダマスカス」「HAL 9000」「戦闘機」「電撃鳩ポッポ大作戦」「ルームライト」「『何をしておるのだ?』(セリフとして使用すること)」
▲投稿締切:5/26(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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演習と実戦 ( No.5 )
   
日時: 2013/05/25 23:11
名前: マルメガネ ID:JXlolSQk

 自由都市エレクを統括する人工知能HAL9000がタロットカードの女帝の姿を借り、グラフィックとしてオルティア帝国大総統府のメインコンピュータ室のモニターに現れた。
 白いドレスを纏って王冠をいただき、手に王笏を持った清楚で凛とした顔立ちの女帝は、厳しい皇帝の姿を取った帝国を統括する人工知能HAL9120にゲームを申し込む。
 そのゲームとは、実戦部隊の演習。
組み込まれた「深い穴」というコードネームの軍事演習プログラムによって、それは定期的に実施される。
 女帝は直属の電子機甲師団を持っている。皇帝は陸海空全ての部隊を持ち、その中から選択している。
「女帝は直轄の電子機甲師団から戦車中隊、皇帝は陸軍機甲師団から戦車大隊を選んだようだ」
「どう見ても、俺は皇帝の戦車大隊に賭けるね」
「俺は、女帝が選んだ部隊だな」
 抽選結果が通知された軍司令部ではそんな会話が聞かれる。
「おい貴様ら、勤務中であるのに何をしておるのだ?」
 賭け事を始めた部下を叱責し呆れる上官の声がする。
 演習の行方、そして結果はひそかな楽しみの一つになっているのだが、抽選された部隊は慌ただしい。
 あくまで演習といえども有事を考えなくてはならない。
 実弾と演習用のペイントマーカー模擬弾を用意して演習に望むのだ。

 朝陽にきらりと最新鋭のジェット戦闘機の翼が光る。
 広い野外演習場を招集された鷲のマークが描かれた戦車団と隼が描かれた黒塗りの戦車団が砂煙を巻き上げて疾駆する。
 鷲のマークは陸軍機甲師団。隼のマークは電子機甲師団である。
 合図の狼煙が打ち上げられ、演習が始まった。
 重戦車、中戦車及び軽戦車で構成されるチームでフォーメーションを築きながら、それぞれに実戦さながらに撃ち合い攻撃をし、結果はペイント弾の着色と機体に取り付けられた衝撃感知センサーによってそれらは判定される。
 その模様はライブ放送で一般市民にも流された。
「鷲も隼もかっこいいね」
「うん」
 砂煙を上げて走行する戦車に子供たちが目を輝かせる。
 重厚な重戦車にあっては速度があまり出ないが、援護で砲撃するさまは注目をひく。
 いつかはこの子供らも戦車兵になるのだろうか。
「よっしゃ。隼が大鷲を仕留めたで」
「軽戦車も、重タンク相手にようやるよなぁ」
 演習が進むにつれ、大人たちも熱気を帯びてきた。
 結果が電子機甲師団と陸軍機甲師団ともに引き分けに終わると、夢から覚めたようにその熱気は健闘を称える声に変わる。
 軽戦車は、高速移動はできるが火力は小さい。しかし、重戦車や中戦車と連携した動きと作戦によってはその特性を活かすことができる。
 ライブ放送が終わった直後、臨時ニュースが流れた。
 いままで停戦状態にあった隣国ミリティアと接する国境紛争地帯で戦闘が始まったらしい。
今度は演習ではない実戦である。付着したペイント弾の後処理をすることもなく実弾を装備し、直ちに現場に向かう。慌ただしいことこのうえなく、砂煙を上げて演習場から戦場へ向かう。
「先ほど演習していたのになんたる機動力。我が国もこうあってほしいものだ」
 その戦車団を偵察していたミリティア偵察兵が驚き感嘆する。
「皇帝の鷲と女帝の隼が飛んでいった」
 直ちに情報が暗号として隣国の軍司令部に伝達された。
「私たちの思惑は当たったかしら?」
「うむ。しかし、こうなるとは誰が予想できただろうか?」
 誰もいないコンピュータルームで皇帝と女帝が囁く。
「ミリティアの電撃鳩ポッポ大作戦の機密情報が流れてくるとはね」
「しかし、貴方はなかなかの策士だな。実戦においてゲームの勝敗を決するなどとは」
「実戦に使えなければ意味ありませんもの。いずれにせよ、神の賽は投げられたわ」
 女帝は静かにそう言い沈黙した。


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わ~ん。中途半端になったよう。

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