Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.6 ) |
- 日時: 2013/05/05 04:02
- 名前: 霙 ID:i0CsPwwM
懐中時計は思う
スマホにアイフォンにテレビにパソコン、その他もろもろ。今は多機能が当たり前の時代。 ただ時間を進めるだけの私達の需要は低い。とは言え、それほど悲観しているわけでもない。毎日がそれなりに楽しいから。チッチッチと私達は小さな声で会話する。
黄色と黒の縞が鮮やかな、早口な彼が買われて行った。みんな元気でねと、ケースから出され、リボンを着けた包装紙に包まれて、外の世界へと出て行った。羨ましくも皮肉交じりに、誕生日に時計なんて、せいぜいデート三回がいい所ね、別れたら二度と使って貰えないわと。この店で、一番豪華な宝飾で綺麗なアンナさんは、自慢の鼻を震わせ笑っていた。私達の鼻と言えば短針。そんなアンナさんが売れ残りのお局様だなんて、秒針が折れても決して言ってはいけない。安くてそれなりのデザインのは入れ替わりが激しい。彼らを何個見送ったのか、そんな機能は私に付いていないので分からない。
飽きられて、どこかに仕舞われたら、二度と出してはもらえないだろう。闇の中で他に追いやられた小物に時間を教えるだけだろう。それならまだしも、止まったら、私達は無口になる。この思考も失うのだろうか、それを思うとちょっとだけ時間が狂いそうになる。 そんなとき、一番大きい百年時計の青柳さんの笑い声を聞くとホッとし、修正できる。これからも青柳さんとアンナさんの売れ残りは鉄板間違いなし。
なぜ蓋が付いているのかよくわからないが、私は閉じられるその日を夢見る。ああ、眠ることなんてなかった。その日まで、まだまだ死ねないと言い変えよう。私達は、秒針が止まるその時まで、小さな声で会話する。
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Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.7 ) |
- 日時: 2013/05/05 18:48
- 名前: 葉月あや ID:CQBcgD1U
カエリタイ
青ちゃんが僕を捨てたのはついこの間のことで、僕にはこれが本当にあったことだとはまだ信じられない。 だって僕らが出会ったころ、彼女はいつでも僕を見て、微笑んで、時には撫でてくれていたんだ。彼女はあんなにも僕のことを好きだったのに。
「時間よ戻れ、時間よ、止まれ」 「もう止まってんじゃんねえ」 がらくたの上から腕時計が言った。 だから、俺らこんなところにいるのさ。いぶし銀の腕時計は一人ごちた。 僕の荒れ果てた心は一瞬、奇妙に澄んだ。 もう会えない、もう会ってはいけない。だけど会いたい。 僕はこれから死に損ないの爺にどうにかされてしまうのだから、一目、一目だけでも。 ああ、足があれば走っていくのに。 こんなところで分解されて、僕は、僕は……まだ死ねないんだ!
「で、どうすればいいですかねえ」 薄暗い時計店にて、店主である初老の男が、若い女性につぶやいた。 「ねえ。青柳さん。これ、いわく付きなんですかね」 「いや、そんなことは」 青柳と呼ばれた女性は店主の持つ懐中時計を震えながら見下ろした。 修理に出してていたその懐中時計からは、二本のひょろりと細い足が生えている。 それは無言のまま、彼女に向かおうと店主の手のひらの上で、ばたばたと不気味にうごめいていた。 店主と女性は神妙な面持ちで言う。
「捨てましょう」
完
飛び入りです。
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Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.8 ) |
- 日時: 2013/05/06 03:10
- 名前: 昼野 ID:G2PDC5Bo
僕は懐中時計を地面に叩き付けて、バラバラになったそれに放尿をした。メタリックな懐中時計はさらに尿できらきらと光った。 「おい、馬鹿野郎」 と声がかかった。振り向くとそこには青柳がいた。思い出したくないが、こいつとは中学生の頃、好奇心で何度かアナルセックスをした。いまでは「馬鹿野郎」とか「この野郎」とかを、ふつうに言い合う、ふつうの仲だ。お互いに27歳のニートであった。 「何してんだ馬鹿野郎」と青柳。 「みればわかるだろこの野郎」と僕。 「どうでもいいか馬鹿野郎」 「そんなことより酒でも飲もうぜこの野郎」 そうして僕たちは酒場へ行った。焼き鳥が一本80円のところだった。あまり客はいなかった。 「最近どうだ馬鹿野郎」 と青柳は言った。 「死にたいぜこの野郎」 僕はそう答えた。 「まだまだ死ねないぜ馬鹿野郎」 「そうともこの野郎」 そう僕は答えた。 複雑な事も、青柳と会話することで、解消され、救われると思った。こいつを大切にしようとつくづく思う。
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Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.9 ) |
- 日時: 2013/05/06 22:53
- 名前: マルメガネ ID:jBicHP1M
垂れた青柳の枝が障子に影になって映り、ゆらゆらと揺らめく。 午後の日差しは既に夏の様相をみせ、日もまだ高く懐中時計で時刻を見ると、思いのほか時が経っていることを知らされる。 孫たちが帰ったあとの大きな農家の家は静まり返り、ひとしおの寂しさもやってくる。しかし、家の軒下では燕が子育てに勤しみ、親鳥と雛鳥の声がする。 まだまだ死ねない、とその老人は懐中時計の蓋を閉じて思う。 「おじいさん。燕のヒナが大口開けて、待っとる」 老妻が「青柳」という名の煎茶を入れながら言った。 「知っとる。あとどれくらい見られるかのう」 老人が茶をすすり、呟くように言った。
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感想です ( No.10 ) |
- 日時: 2013/05/06 22:59
- 名前: 霙 ID:SwbJT/Xw
卯月 燐太郎様 長編小説の出だしですよね。Aの過去などを深く掘り下げてと、真相を期待してしまう内容でした。
Azu様 ループ物、怖いですよね。形にできて羨ましく思います。
Zooey様 青柳、やはりこれがネックですよね。私と同じ気持ちかなと思ったりしました。
しん様 見事ですね。オチも素敵です。素晴らしいですと感動してしまいました。御馳走様です。
葉月あや様 不気味ですけど面白味がありますね。切り捨て方も素敵です。
昼野様 前後の前が気になりますが、知ったら後悔してしまいそうな手腕が窺えます。
マルメガネ様 雛と孫、老人の心情が短いながらも上手いなと。
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Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.11 ) |
- 日時: 2013/12/11 18:20
- 名前: は ID:08TatnZY
近所に湖がある。汽水湖である。 さっさといってしまえば浜名湖である。 この浜名湖でバガガイを食った。むかしから潮干狩りの客を誘致しているところで、本来の目当てはむろんのことアサリである。ところが今となって憶えているのはただただバカガイのことだけで、その外のことはなにひとつとして鮮明でない。もう十四、五年も前だ。頃日のことではない。 つい先日、さる短篇を読みかえしていてそのことを思いだした。ややこしい連想のうちにまろび出てきたのであるから、煩雑と退屈をさけて詳らかには書かない。要するにありがちな郷愁である。 バカガイのこと、というのは二、三の光景について。 浜は貝掘りの行楽客でごったがえしていた。 そのなかに混じってクマデをつかっていると、私のすぐ傍で「そんなもん捨てろ捨てろ」という声がする。 ふいとそちらをみると三〇いかぬ男が息子らしい小さい児にむかって笑っている。笑いながら顎で「捨てろ」のしぐさを繰りかえしている。 子どもの手には掌からあふれんばかりのおおぶりなバカガイが握られている。 父親がなおも顔に笑顔を浮かべていると、子どもの方も嬉しそうな顔になって、近くの海面へおもいきりそのバカガイを叩きつけた。飛沫が口のなかへ撥ねかえってきたらしく、異様に興奮したふうでけたたましく笑った。 それからまた、場所をもう少し移して掘っていると、子どもが十数人も連れだってやってきた。なにか遠足のようなものとみえて、引率の大人が三、四人ほど、舟を曳きながら随行していた。うち一人が、ポロシャツの胸ポケットから懐中時計を取りだして時間をみていた。それがずいぶん偉そうな態度にみえ、また水辺に持ってくるなんて迂闊な、という気がした。迂闊な、とおもい、なんだか気の毒のようにも感じた。 十数人の子どものうちの一人が、これまたいやにでかいバカガイを見つけて得意になっていたのだが、懐中時計の男とはべつの大人の屈強そうなのにそれを見せびらかすと、男は 「貸してみ」と子どもから貝を受けとり、 「寿司屋じゃこれを青柳っちゅうだに」 得意げに言って、曳いてきていた舟のへりに叩きつけた。 卵の殻が砕けるようにして中身を覘かせたそれを海水でざぶざぶと洗うと「舌べろのところを食べるだよ」とつけ加えながら子どもに突っかえした。子どもはそれを食い入るようにしてみていた。 それをみていた私も、つられてバカガイを獲って、食った。 彼らの舟をつかうわけにもいかず、水際まで戻って石蓴まみれの岩にぶつけた。海水で滌いだ。 それからたしかに食ったのだ。
――ところが味を憶えていない。 青柳の握りを食えば思いだすか。そうともおもわれない。けだし、感傷のせいである。なんでもないような記憶が、肝心なところを憶えていないせいでかえって気にかかる。たまらなく忘れがたい出来事であるような気にさせる。思いだしたくて仕方がないのに、思いだしてしまえばそれっきりこんな記憶はどうでもよくなって、消えてしまうにちがいない。 もちろん、ほんとうは消えたってかまわないのである。いまはそれがなんとなく惜しい気がするというだけだ。ふとした瞬間、舌にその記憶がよみがえる。それで満足してしまう。いいじゃないか。ふいとそういうときが訪れるかもしれない。望むところだ。まだまだ死ねない。
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Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.12 ) |
- 日時: 2013/05/07 00:31
- 名前: しん ID:VBFmkCB.
感想をば
・霙さん とある老人の日常
ストーリーの一部分という感じですかね。 ストーリー性がないですね。個人的には、三つの言葉を使用しつつただ文章描写するのではなく、ストーリーがほしいです。
懐中時計は思う
こちらもストーリーの一部分というかんじで、ストーリー性がないですね。ただこちらのほうが、何かを期待してしまいます。なにか少し肉付けすると、ストーリーになりそう。
・卯月 燐太郎さん 死刑執行
纏まっていていいですね。最後少し謎めかしながらも、それが答えだとにおわす終わり方もいい感じです。 描写について、自分もうまくないですし、時間制限も一応あるのでチェックミスなのでしょうけど一箇所だけ気になったので書きます。
夏にもなると葉が青くなり青柳が風にゆらゆらと揺れて
『葉が青くなり青柳が』 青がかぶっているので『葉が色づき青柳が』くらいのほうがいいかな? 見直すと自分のものもミスだらけなので、いえたものではないのですが。
・Azuさん ドリーム・タイム・デット・トラベル
こちらも纏まっていていいですね。世にも奇妙な物語 みたいでよかったです。
・zooeyさん
時間について、老いについてですかね。 ストーリー性がないですね。個人的には、三つの言葉を使用しつつただ文章描写するのではなく、ストーリーがほしいです。
・葉月あやさん カエリタイ
コミカルですね。短いからこそ、いい感じに面白いのですが、ちょっとわかりにくかったです。状況を説明する文章がもう少しだけほしいかもしれません。
・昼野さん
ストーリーの一部分という感じですかね。 ストーリー性がないですね。個人的には、三つの言葉を使用しつつただ文章描写するのではなく、ストーリーがほしいです。
・マルメガネさん
ストーリーの一部分という感じですかね。 ストーリー性がないですね。個人的には、三つの言葉を使用しつつただ文章描写するのではなく、ストーリーがほしいです。
・はさん
もう一つ何かアクセントがあれば、すっきりすると思います。死んだ肉親にすすめられたり、あこがれていた異性にすすめられて、思い出すなどであると、綺麗にはまるのですが、ただの郷愁だと、個人的に少し足りないです。
総評 個人的には「小説」と「文章」をわけるのはストーリー性だとおもっていますので上記のような感想になりました。ストーリーの一部分を抜き取ったような描写だと読んでいても私はあまり良いと思えません。そこらへんのイメージが違う方には申し訳ありません。 みなさん「青柳」でとくに苦戦されたようですね。
個人的感想でありました。
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Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.13 ) |
- 日時: 2013/05/07 00:36
- 名前: 卯月 燐太郎 ID:vSjIZM8Q
「三語」感想9人分」
霙様 「とある老人の日常」読みました。
近未来の物語で「尊厳死」に近い物が描かれていますね。 SSなので、ABのようなユーモアが描かれるのでしょうか。
A>老人の額から補助灯が照らすと、老人は起動し体を起こす。< B>懐中時計を口の中にしまい<
C>老人は既に止まっていた。どんな夢を見たのだろう。または過去の回想。苦痛のないその表情は安らかともいえる。繰り返しロッキングチェアーに揺らされると、腕は垂れていた。<
Cは、よく、出来ていました。 この時点でオチに気が付きませんでした。
>まだ、まだ死ねないのか…… 機械化した体の自分を呪う。長生きしてねと老人に勧めた家族にも恨みが込み上げてくる。<
これは、「尊厳死」とかを考えると、よくわかります。 また老人は「味気ないオイルの残りを流し込むと」と言うことで、体をスムーズに動かすためにオイルが必要なのですね。 いかにも、家族は老人を長生きさせたいようですが、自分たちはどこかに出かけ、老人には「留守番」を頼んでいる。 >ロッキングチェアー型充電器に座り、一人揺られる。< この締めが近未来型を思わせます。 短いのに、よく描きました。
――――――――――――――――――――
●霙様への返信 (私の作品「死刑執行」) >>長編小説の出だしですよね。Aの過去などを深く掘り下げてと、真相を期待してしまう内容でした。<< ●掘り下げたら、どんどん深く掘れそうですね。 長編は自分の実力では無理でしょうね、短編(100枚以内)とまりと言うところです。
お疲れ様でした。
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Azu 様 「ドリーム・タイム・デット・トラベル」読みました。
>お題小説初めてですし、時間制限もオーバー(75分)し、内容むちゃくちゃかもしれません。<
話の展開のさせ方がうまいですね。 次々と、主人公が危機に陥る。 そして白い光と共に脱出。 また、この作品の良いところは、説明ではなくて、エピソードで描いているところです。 だから、迫力があります。
―――――――――――――――――――――――
●問題はラスト近くのAのあとですね。
A>>目が覚める。俺の部屋のベッドだ。体は健康そのもの。刺されたことが嘘のように。 刺した男はいないか目回してみるが、いなかった。 終わった。そう感じた。懐中時計は引き出しの奥深くに押し込んだ<<
――――――――――――――――――――――――――
●Aのあと、こうすると、ドラマはまとまると思います。
主人公は危険を感じて懐中時計を質屋とかに売る。 なかなかの骨董物で高く売れる。 それからは平和な日々が続いていたが、テレビのバラエティ番組で「世界の変わったニュース」という特番で、殺人事件のニュースを知る。 殺人事件がテレビで「再現」される。 それは人が殺されるのだが、その前に犯人は別の者を殺そうとしていた。 ところが、殺すその瞬間に相手は白い光とともに消えて、別の者が現れたが、すでに銃の引き金を引いていたので、間違った相手を殺した。 そして犯人の実際の写真がテレビに映る。 その番組を観ていて主人公は驚く。 これは俺が経験したことではないか。 俺は確か、この写真の男に追われていた……。 しかし、その事件は50年前のことだった。 自分の年齢はまだ30歳。 計算は合わないが、太平洋戦争の爆撃直後の火災も経験している。 どうも、不思議だが、すでにあの懐中時計は売り払って手元にないので、もう何も起こらないだろうと思っていた。
●ところが、すっかり忘れたころに街を歩いていると横断歩道の方で悲鳴が上がった。主人公とは30メートルほど離れている。 見ると大型トラックが信号を無視して突っ込み、歩行者を跳ねようとしていた。 次の瞬間歩行者が白く光り消えたと思うと、主人公がその場にいた。 主人公は亡くなるわずかな時間に「少女の呪われた時計の真相を聴く」。
――――――――――――――――――――――――――
こんなところで、いかがでしょうか。
お疲れ様でした。
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zooey様 作品読みました。
時間に対する観念と言うところでしょうか。
私たちは同じ時間の中を生きていますが、一〇歳の子供が感じる一年と三〇歳の大人が感じる一年とは違うのですよね。もちろん七〇歳の老人が感じる一年も違う。
どう違うかと言うと、脳科学の問題だと思いますが、一〇歳の子供の脳は物を吸収するのが早いです。ところが三〇歳の大人になると、子供のころと比べると、物覚えが悪くなる。 七〇歳の老人になると脳が老化しているので、ますます物覚えが悪くなる。 その結果どうなるかと言うと、時間の感じ方が子供と大人、そして老人とは違ってくる。 子供は一年を長く感じて老人は短く感じる。 「もう、一年たったのか……」 てな、感じです。
―――――――――――――――――――――――
御作は、そういった時間と年齢の関係を描いた作品だと思います。
>>時がたっぷりあると見せかけ、奪い去った後、その残された僅かの時間を、スローモーションで進めていく気だ。<<
だから、これは逆ではないですかね? 年を取るほど、時間の経つのは早くなるので、早送りで時間が動いているような感じではないですかね。 子供のときは時間がスローモーションでなかなか前に進まない。
お疲れ様でした。
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しん様 「優しい柳」読みました。
なるほどとラストまで読んで納得しました。 たしかに優しい柳ですね。 話の入り方から展開の仕方と柳を中心にしてドラマが見事に進みました。 太くて、折れるはずのない柳の枝がなぜ折れるのか……。 とうとう最後の一本も折れてしまい、柳は丸裸になりますが、それには筋の通った理由がありました。 ある紳士が柳を丸ごと買い取り再生させるために努力をする。 町の者が次々に柳の再生に協力してくれる。 >一人の身なりの貧しい男が近づいてきます。体格が細く、頬もこけていて、満足に食事もできない立場であることがわかります。< こんな男まで柳の再生に力を貸したいという。 ラストまで読んで驚きました。 この作品は、構成がよく出来ています。 タイトル通りの作品でした。 小学校高学年の国語か道徳の本にでも掲載されるような作品でした。
お疲れ様でした。
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霙様 「懐中時計は思う」読みました。
小説と言うよりもエッセーという感じかな。 主人公が「懐中時計」のエッセー。 時計店での彼らの会話が聴こえてきそうですね。 アンナさんは目立ちますね、売れ残りのお局様か(笑)。 豪華な時計はそんなところでしょう。 一番大きい百年時計の青柳さん。 >青柳さんとアンナさんの売れ残りは鉄板間違いなし。< これが結構笑えるなぁ。 ラストで主人公である懐中時計の「蓋が付いている」の話。 「私は閉じられるその日を夢見る。」なるほど、たしかに、時計店ではふたは開いているでしょうね。 「眠ることなんてなかった。」そりゃあ、時計が止まったのでは役目が果たせないけれどたしか時間を確認する時だけ時間がわかる時計があったような気がします。 普段は止まっているのですよね。
全体に温かみが伝わる作品でした。 それにしても、よく観察していますね。
お疲れ様でした。
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葉月あや 様 「カエリタイ」読みました。
この作品はタイトルの「カエリタイ」がどんぴしゃですね。 修理に出した懐中時計が捨てられたと勘違いしているのですよね。 「いぶし銀の腕時計」のお兄さんが一発かましてくれるし(笑)。 「ああ、足があれば走っていくのに。」で、ラストで懐中時計からは、二本のひょろりと細い足が生えている。
>それは無言のまま、彼女に向かおうと店主の手のひらの上で、ばたばたと不気味にうごめいていた。 店主と女性は神妙な面持ちで言う。<
>>「捨てましょう」<<
なかなか、想いは伝わりませんね(笑)。
●気が付いた点 懐中時計の持ち主は女性なのですよね、それで修理に出されているわけですが、女性で懐中時計を持っている方は少ないと思いますので、そのあたりの説明はしておいた方が作品に奥行きが出ると思います。 話はユーモアがあり、面白かったです。
>>飛び入りです。<< また、「飛び入り」でご参加、お待ちしています。
お疲れ様でした。
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昼野様 昼野ワールド全開――――(笑)。
しかしこの書き手の良いところは、作品が壊れているように見えるが、うまくバランスを取って、逆立ちしてチンチンを見せている。それにも意味があるところが、立派です。
ちなみにわからない人がいるといけないので説明すると「逆立ちしてチンチンを見せている」というのは、この作品でいうところの、「A」と「主人公と青柳の会話文のやり取り」になります。
主人公と青柳との友情の深さが「B」で伝わるようにオチている。 HNを書かなくても、だれの作品かわかってしまう、個性の持ち主だ。
A>>「おい、馬鹿野郎」 と声がかかった。振り向くとそこには青柳がいた。思い出したくないが、こいつとは中学生の頃、好奇心で何度かアナルセックスをした。いまでは「馬鹿野郎」とか「この野郎」とかを、ふつうに言い合う、ふつうの仲だ。お互いに27歳のニートであった。<<
B>>複雑な事も、青柳と会話することで、解消され、救われると思った。こいつを大切にしようとつくづく思う。<<
お疲れ様でした。
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マルメガネ様
老夫婦の田舎での生活ぶりがうかがえますね。 青柳の枝が障子に影を映して揺れていたりで初夏を思わせます。 先ほどまでうるさかった孫たちの声。 それが軒下での燕が子育に代わります。 「まだまだ死ねない」という老人は燕のひな鳥のことを思っての発言でしょうか。 老婆との会話は孫の話から「おじいさん。燕のヒナが大口開けて、待っとる」と燕のひなの話に代わる。茶とすすりながら残りの人生を数える。
なかなかよか、話ですたい^^ なかなかええ話でんな^^ ええ話でおますがな^^
お疲れ様でした。
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「は」様、読みました。
「バカガイの記憶」というタイトルにしたらよいかな。 この文体は味がありますね。 書いてあることは日常のから非日常の話で取り立ててどうと言うことはないのですが、人間という者は、頭の片隅にある記憶をふとしたことで思い出す時があります。
この作品はそんな話です。 浜名湖でバガガイを取って食うのですが、それにはいくつかの伏線が張られていて、子供がバカガイを取り、30いかぬ父親が笑いながら捨てろと言う。子供は捨てるときに湖面の飛沫が口のなかへ撥ねかえってきて、驚くがそれが笑いにつながる。 こういうのって、想い出としてはごく小さなものですが、ふとしたことから思い出すことがあるのですよね。 きっとこの子供は30の父親とバカガイを取ったことが想い出になることでしょう。 また子供の団体を引率してきてうんぬんの話では懐中時計が出て来るので湖水に落とす可能性とかいろいろと考えさせられました。 どちらにしろ、ここに出て来る大人たちはみんな優しいですね。 主人公もバカガイを取って食べるのですが、味を覚えていない。 >肝心なところを憶えていないせいでかえって気にかかる。< が、本当のところは、人生にとっては、大した問題ではない。 ふとした瞬間、舌にその記憶がよみがえる。それで満足してしまう。いいじゃないか。ふいとそういうときが訪れるかもしれない。望むところだ。 >まだまだ死ねない。<がラストに来る。 これって、人生は小さな記憶の積み重ねから創られるからなのだろうか……。
時間ぎりぎりに創りましたね(笑)。
お疲れ様でした。
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感想、終わり。
>>私の作品の返信(しん様以降)は、後程入れます^^<<
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Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.14 ) |
- 日時: 2013/05/14 19:41
- 名前: 卯月 燐太郎 ID:WEufP3Cc
感想の返信
■しん様
>>・卯月 燐太郎さん 死刑執行
纏まっていていいですね。最後少し謎めかしながらも、それが答えだとにおわす終わり方もいい感じです。 描写について、自分もうまくないですし、時間制限も一応あるのでチェックミスなのでしょうけど一箇所だけ気になったので書きます。
夏にもなると葉が青くなり青柳が風にゆらゆらと揺れて
『葉が青くなり青柳が』 青がかぶっているので『葉が色づき青柳が』くらいのほうがいいかな? 見直すと自分のものもミスだらけなので、いえたものではないのですが。<<
―――――――――――――――――――――――
>>纏まっていていいですね。最後少し謎めかしながらも、それが答えだとにおわす終わり方もいい感じです。<<
作者の狙い通りに作品をお読みいただきありがとうございます。
というか、オチを考えてから作品を書いたわけではありません。 以前は三語だけでなく他の作品も導入部とラストを考えてから書き始めていました。近頃は導入部を書き始めてから成り行きにまかせてラストまで書くようにしています。 それの方が意外な展開になるものですから。 だからラスト近くになってからオチをひねり出して、作品を書きあげます。 そうすると、構成上無理が生じてくることもあります。 そこで、伏線を後からつじつまが合うように挿入します。
>>『葉が青くなり青柳が』<< 言葉がダブらないように気を付けていたのですが、これはまずいですね。 ご指摘、ありがとうございました。
●しんさまの作品の内容のよさには驚かされました。
今後も、がんばってください。
それでは、ありがとうございました。
======================= 5月14日19時40分
■は様
ご感想ありがとうございます^^
>>卯月燐太郎さん 屋台のおやじさんがものすごく物腰穏やかそうです。
●たしかに屋台のおやじは人生経験が豊富という感じですね。 この屋台のおやじを主人公にして作品が作れそうです。
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●今後、他の方から「ご感想が入った場合は」、このレスに追加して返答したいと思っていますので、よろしくお願いします。
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感想 ( No.15 ) |
- 日時: 2013/05/13 23:09
- 名前: は ID:jY4phvCQ
>>霙さん 「とある老人の日常」 過充電には気をつけてほしいなあとか思いました。 口の中にしまい、というのがなんとも。 「懐中時計は思う」 百年時計ってどんなふうなのでしょう。あっおじいさんの時計みたいな。
>>卯月燐太郎さん 屋台のおやじさんがものすごく物腰穏やかそうです。
>>Azuさん てんやわんや!ですね。
>>zooeyさん 「禿げで老いぼれの詐欺師」がカーショ、カーショ。そういう擬音もあるのかと新鮮に思いました。
>>しんさん うーん。優しいのでしょうか。よくわかりませんでした。
>>葉月あやさん おもしろかったです。 笑ってしまいました。 捨てましょう。
>>昼野さん おもしろかったです。 やっぱり笑ってしまいました。
>>マルメガネさん スマートでいいなと思います。
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