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|  Re: 即興三語小説 ―どうでもいいゴシップは平和の証― ( No.7 ) |  | 日時: 2013/06/16 22:57名前: マルメガネ ID:aiNWcI3g 漢方薬の効き目
 タツキが挙動不審に陥りそうなほど激しく苦い飲み薬を飲み下し、深いため息をつく。
 「ああ、失敗したかなぁ」
 あまりの激烈な苦味に何杯もの水を飲んで、力なく彼がぼやく。
 口の中には激烈な苦味がまだ残っていて、当面消えそうもなかった。
 彼が何の飲み薬を飲んだのか、という経緯を話せば長い話になるのだが、その飲み薬が処方されたところは、コウが見かねて紹介した漢方調合薬局だった。
 散々に症状を尋ねられ、結局できあがった飲み薬がそれであり、それならば、通常の薬局に行けばよかった、とタツキは後悔し始めた。
 「飲んだのか?」
 「ああ、飲んだ。本当に効くんだろうな?」
 いつの間にか入ってきたコウに聞かれて、怪訝そうにタツキが答える。
 「ああ、効くぜ。ダイナマイト級に」
 コウが自信ありげに言った。
 「それは、効果絶大、ってことか?」
 「そのとおりだ」
 コウがそう行って立ち去った。
 激烈な苦味のある漢方薬が効いてきたのはそれから何時間も経ってからだった。
 「眠れん…」
 目が冴えて眠れなくなったタツキはしょっちゅう寝返りを打った。
 そのうちなにやら耐え難い衝動にかられてきて抑えようもなくなってきたのだった。
 「慰めてあげようか?」
 そう耳元で囁くキリトの言葉がなにかしら悪魔的な囁きに聞こえた。
 ダイナマイト級の効き目とはこういうことだったのか、と今更ながらに気づいてしまったタツキがいた。
 
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