Re: 即興三語小説 ―五月病なんて幻想です― ( No.7 ) |
- 日時: 2013/05/21 00:34
- 名前: 卯月 燐太郎 ID:FkUt0O5.
[120] の感想。
■マルメガネさま 「軍の島の休日」読みました。
「溶岩台地」と「石切場」では、もう一つ合わないような感じがしますが、いかがな物でしょうか? 「明日は石材を使った」うんぬんとも、言っているし。 「溶岩」と「石材」は違うでしょう。
作品の中身自体は、タイトル通り「軍の島の休日」らしい雰囲気で語られていました。 落ち着いた文章で部下と上官とのやりとりにも人間味がこもっていていいですね。 時代背景は、はっきりとさせておいた方がいいかな。 それの方が、読み手のイメージがわきますので。 たぶん「太平洋戦争」だと思いましたが。
>>将官が片方に義眼が嵌った涼やかな目を細め苦笑いする。<< ただの美形ではなくて、なかなかのキャラクターですね(笑)。 人物も出来ているようですし。
―――――――――――――――――――――――――――
■「は」様。
なかなかの文体でした。 読んでいるうちに作品の世界観に溶け込んでいました。
大陸の遥か東方にある孤島に、荒ぶる神の顕現、来臨。それを鎮撫するために高僧が島へわたり、神に祈りをささげた。 その後、幾代にもわたり高僧が島にわたっていたが、今は邪魔者の僧が送られるようになったというお話で、孤島の洞穴に閉じ込められ、昼夜がわからぬ暗闇の中で生き、そして亡くなっていく。 まあ、時間は鳥の鳴き声で昼か夜かはわかるらしいが、洞窟に閉じ込められた僧には、そんなことはどうでもよい事であった。 この話の中で最後に送り込まれた僧は洞窟の中で赤い物を見てそれが経文の「字」が流れていることを知る。 僧は経文を誦えるが、それとは別の響きが「あさましい、あさましい……」と流れてくる。
御作を読んでいて、美形の僧もこの孤島に送り込まれるのだが、けっしてその僧が主人公ではなくて、孤島に送り込まれた僧たちすべてが主人公であり、最後に送り込まれた邪魔者の僧は、洞窟で赤く流れる経文を見て、それを誦えることにより、自分の仕事をするが、「あさましい、あさましい……」という別の響きが神であるならば、洞窟の僧をなんとかするも神の役目ではないかと思う。
「この話はもちろんこのままでも成立します」が、話に抑揚がないので、面白さという点ではもう一つです。 やはり高層などが洞窟に閉じ込められたりしたときに飢えと苦しみにお経を誦えるのを休んでいる心の隙に、邪心の神が現れて、惑わす。という展開がほしいですね。 人間の欲のすべてを知り尽くした「邪心の神」がごちそうを出したり、美形の女性を出したり、財宝を出したり、名誉が手に入る約束をするとか……。 それで洞窟の中の高層は誰一人として邪心の神に逆らう事が出来なかった。 それで毎年、天災が世界各地で起きる、という展開にすればなるほどと思うのですけれどね。
――――――――――――――――――――――――――――
■しんさま 「無の境地」読みました。
なかなか楽しかったですし、読みやすかったです。 「ラブ」きっちりと描かれています。 ただ「神」という彼が出来すぎているような感じがしますし、「神」が苦労するところも見たいですね。 御作は主人公のミキを中心にしてドラマが展開しています。 どちらかというと「ラブコメ」という作りです。 そのなかで「神」に対抗する役目に「榊」がなるわけですが、展開がすんなりと流れてしまって、盛り上がりがもう一つだったような気もします。 ここは、神と榊が二人きりになり、離れた所からミキが見ているようですが、神が榊に対してミキと遊びならやめとけという言葉に対して、榊が賭けをしたというようなことを言うのはよいのですが、彼が神に対して腕力で勝っていて「文句があるならかかってこい!」といって、神が一方的に殴られるという展開にした方がドラマとしては面白いと思います。 でも、神は殴られても、痣がついても、唇を切って血が出ても、一歩も引かなかった。 最後までミキに手を出すなと言い張った。 それで榊が根負けした。 そういった展開にすれば、「起、承、転、結」の「転」の部分で、説得力が出ると思います。 無人島に持って行きたいものは「神」であり「無人島」=「無神島」というラストはよかったと思います。
オチの A>>これが私がいたった『無の境地』。<< ですが、「無人島」については、クラスで何を持って行くかの伏線がありましたが、「無の境地」はまったく、それまでに伏線がないので、最後の一行で『無の境地』を出す必要はないと思いました。これをやるのなら、途中で『無の境地』についての伏線が必要でしょう。 たとえば「神」が僕はいつでも「無の境地」になれる「テストとか大事な時は無の境地になって、難題を乗り越える」と前もって伏線を張っておけば、「榊」に殴られていた時は「無の境地」になっていたのかとミキが尋ねられます。ちなみに「いや、ミキのことを考えていたので無の境地になれなかった」というと、彼の、人間らしいというか彼女のことを大切に思っていることが読み手に伝わります。 そしてオチで「A」をミキがいうと、話が締まります。
――――――――――――――――――――――― ●しんさま。追加です。 5月20日(月曜)0時45分。
導入部に書かれているミキ(主人公)の『無の境地』についての意見は、説明になっています。 そして次にはラストで『無の境地』に話が飛んでいるので、小説としては成り立ちにくいと思います。 エピソードで『無の境地』について描かれていれば、よかったということです。
――――――――――――――――――――――――――――――
■Azu様 「軍人」
「太平洋戦争」での孤島で敵と戦うお話ですかね。 作品全体にバランスが取れていて、よかったです。 導入部すぐに戦闘に入り、「だから俺は、愛銃のSIG SG550をケースから取り出す。」この辺りから敵との戦い方と言うか、文章が慣れていますね。
>>「ケース」「リズム」「ピックアップ」「アドレナリン」「センチメンタル」<< この辺りの横文字は一人称の「太平洋戦争」物では、使わない方がよいでしょう。敵国語を使っているのがわかると、上官に殴られますよ。 というか、太平洋戦争でのことだったら、基本は日本軍人が「普段」横文字を使うと、読み手は、違和感を覚えます。
●戦闘描写以外でよかったのは、ラストの次の文章ですね。 >>俺らしくないと思いながら、妻子に気持ちを傾ける。 手紙でも書けば喜ぶだろうか。 そんなことをしたら妻が怒るだろう。 「まるで遺書じゃない!」と言いながら。 俺には、不甲斐ないが妻子を喜ばせる方法が思いつかない。 だから、せめて妻子に手がいかぬようこの最前線で耐え続けようと思う。<< ●「この思い」は、読み手に伝わります。
――――――――――――――――――――――――――――――
■toriさま 「お手つき」読みました。
なかなかドラマのある作品でした。 夜のオフィスで主人公の女性が一人で残業と称して、残った時間を「A4の紙に赤字で「OL」と書いて、それをシュレッターにかけている。」まさに呪詛だ。 ということで、そこから上司の男がアルコールの入った姿で現れ、セクハラされかかるが……。 二人のドラマが作品にちりばめられていて、ラストは上司の男は携帯のアドレスを主人公と交換して帰っていく。主人公は自分では気が付かないが微笑を浮かべていた。
気になった点 A4の紙に赤字で「OL」と書いて、それをシュレッターにかけている。」まさに呪詛だ。という事ですが、枚数が十枚を超えているということから、それほどの数ではないということになります。 また単に「書いている」ではなくて、ストレスが溜まっているのなら「書き殴っている」とか「OL」の赤字を細かくワードで何万、何十万とプリントアウトして、それを「シュレッターにかけている」のなら、「まさに呪詛だ」だと、感じますけれど。
ところで田中が持っていたイラストの「嗜虐的な笑みをうかべている田中そのひとだ」というのは、夏子が描いた物ですか? そのあたりがはっきりと書かれていないのでわかりませんでした。また、夏子が描いた物なら、どうして田中が持っていたのか? そのあたりの理由がわかりますと、田中は「S」で夏子は「M」と言うことになるので、イメージは膨らみます。
ほか 「・・・帰るか」=「……帰るか」 段落の書き始めは全角で一字下げる。 あたりまえですが、各段落の文頭は一字下げましょう。基本中の基本です。 (ちなみに、これは感想文なのでここに書いてある文章では、私はしていません。作品ではしています) ●このサイトのトップにある「一般的な文章作法」のところに、わかりやすく書いてあります。一読すると、次からは完璧です。
A>>夏子はただ、まっすぐヒールの踵で田中の革靴を踏みぬいた。田中が飛びあがる。 「セクハラですよ?」 「思わず」 そういって悪びれたふうにつぶやく田中は、何というか様になっていた。<<
Aの文章、少しおかしいですね。 「セクハラですよ?」をどちらが言っているのかが、わからない。 「思わず」が、会話文に読めるが、会話文ではない。 Bのように書くと、話は分かります。
B>>夏子はただ、まっすぐヒールの踵で田中の革靴を踏みぬいた。田中が飛びあがる。 「痛たぁ! ひどいことするなぁ……」 思わず、悪びれたふうにつぶやく田中は、何というか様になっていた。<<
作品の作りというか、構成などは問題なくて、内容もしっかりしていると思いました。面白かったです。
=========================== >>感想の返信<<
■toriさん
孤島の異聞 卯月さん >>いいですね! エロいし恐いし、ゾッとするし。 短いながらに伏線も十分あって読み応えがありました。 面白かったです。<<
●ありがとうございます、狙い通りに読んでいただき、喜びです。
■しんさん
・卯月 燐太郎さん 題名:孤島の異聞 >>私はストーリーメインでよんでいますので。これは、私がここで初めて投稿させていただいた時に、卯月さんが書いておられた話とほぼ一緒ですね。お題が使いやすい分、前のより完成されていますが。<< >>次回作に期待です。<<
●老婆の語りが似ているので、基本の形は同じかもしれませんね。 ありがとうございました。
●「次回作に期待です。」ほとんど、出来上がっていますが、後半手直ししないと、話がまとまらないようなので、遅くても22日までには完成品を投稿したいと思っています。 ちなみに6000字近くなりそうですね。
●私の作品に感想等が書かれた場合は、このレスにて、返信します。 よろしくお願いします。
みなさま、お疲れ様でした。
|
|