Re: 即興三語小説 ―夏の終わりに、ちょっと切なくなってます― ( No.5 ) |
- 日時: 2012/09/12 18:27
- 名前: お ID:LRMf9E5g
街の外れにある一軒家。 カズオミとカズミは、依頼によりその家を訪れていた。 が、呼べど待てど返事がない。 で、不法侵入することにした。 独居老人と聞いている。何かことがあって返事ができないと言うことも考えられる。まぁ、それだと話しがまるで変わってくるが。 「おじゃましまーす」 ピッキングで開けたドアから、礼儀正しくカズミが挨拶し入る。何というか、微妙な話しだ。カズオミが後に続く。 「で、そのオカメなじいさんが不老不死っていうのはどういうことなんだ?」 「ちがう。じいさんのオカメインコが不老不死」 「そう言わなかったか?」 「言ってない。ほんと、おじさんて好い加減だよね」 「まあな」 そこそこ大きな家だ。ダイニングを含めて一階だけで六室もある。 「さて。不老不死のじいさんはどこにいる」 「だから、さ。じいさんが不老じゃ意味ないでしょ」 「まぁ、そうだな。細かいことを気にするな。背が伸びないぞ」 「そんなの、かんけーないーー!」 「他人様の家だぞ、静にしろよ」 しかも不法侵入だ。 「おじさんにまともなことを言われた。悔しい」 「うるせぇよ」 どうやら一階にはいないようだ。 二階を捜しに階段を上る。 「なぁ、妙な臭いがしねぇか」 「うん。何だろ、これ」 血だろう、とは答えなかった。冗談じゃない。 「それで、淫行じいさんがオカメで不老不死だったら何か問題あるのか?」 「わざと言ってない?」 「今頃気付いたか」 「おじさん……」 軽口で少し気が紛れた。 厭な予感がどんどん増幅される。 階段を上がりきると、開け放たれた扉がみっつ。 閉じられた扉がひとつ。 臭いはそこから漏れている。 「なぁ、依頼なんだが、じいさんが自分の飼ってるインコは不老不死だと言い張るのを本当かどうか確かめてきてくれと言う親族からの依頼なんだな」 「うん、息子さんからの依頼……なんだけど……」 扉の前。さすがにここまで来ると自分を誤魔化すのも限界だ。 「血、だよね。この臭い」 「だな。……、開けるぞ」 「……、うん」 せーの、で思い切って扉を開ける。 そこには、すっ裸のじいさんと、セーラー服を乱す女子学生。 異様なのは、じいさんの頸筋から二筋の血が滴り落ち、女子学生の口元が真っ赤に濡れている。 「おいおい」 淫行じいさんがオカメな女子学生を押し倒したら不老不死の吸血鬼だった……てオチか。 「見たな」 しゃべったのは……、インコだ。なぜ、インコ? 人まね? 「我は十六億光年先の星団からやって来た。お前たちの星を征服するためにな!」 ……。こいつぁ、とんだトンデモ展開だぜ。 「この女の意思を乗っ取り、他の者どもに支配物質を埋め込むのだ。そうすればお前たちは皆、我の思うがまま」 丁寧な解説ありがとう。しかしなぜオカメな女子学生なんだ? とか言ってる場合じゃない。 「ひょっとして、あんた、不老不死かい」 「お前たちの基準で言えばほぼそれに等しいな。我々は、お前たちの時間感覚で言えば一億年ほど生きる」 とりあえず、依頼は果たした。 「おじさん、それどころじゃないと思うよ」 カズミが真っ青な顔で口をぱくぱくさせている。金魚かお前は……なんて言ったら後で殺されるな。さて、どうしたものか。 カズオミは、横たわるじいさんの横に膝を突き、おもむろに……、鼻をつまんだ。 ふがふがと苦しがるじいさん。まるっきり老人虐待だ。まぁ、ゾンビじゃないことは証明されたろう。 「じいさん、冗談に付き合うのもこのくらいで良いだろ?」 「何だ、バレとったのか」 むくりと起き上がるじいさん。女子学生が支える。 「バレるも何も、こんな話し誰が信じるよ」 若干ひとり信じていたヤツがいるようだが。 「こっちのオカ……女学生さんは誰だい?」 「孫じゃよ、孫」 「つまんねーこと吹き込むんじゃねぇよ。あと、インコもな」 この孫とかいう女子学生が合図を出してあらかじめ憶えさせていた台詞を言わせていたのだろう。 しかし、いくら孫だからって全裸さらすな。それだって虐待じゃねぇのか。捕まってもしらねぇぞ。 「すまんすまん。年を取ると刺激がなくてな」 「だからって善良な探偵をひっかけて遊ぶんじゃない」 「報酬はちゃんと払わせるから」 「分かった。じゃあな、じいさん」 そして、ふたりはその家を後にした。
一週間後…… 人類はオカメ星人に征服されました。
BAD END
†------------††------------† やらなきゃ良かった……orz ほぼ一時間。最後はチカラ技。 短時間で書こうとするとギャグにしかならない! まったく期限過ぎてまでやるこっちゃない(;。;)
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