Re: 即興三語小説 ―あけましておめでとうございます― ( No.4 ) |
- 日時: 2014/01/12 20:34
- 名前: み~君 ID:eKvHgYhY
幸せの幸
「私の幸せの幸は、ペンギン。ペンギンが食べたいの、繁殖期前の一番脂に乗ったペンギンの唐揚げを、梅肉をつけて食べてみたいの」 食事に誘う為の、何が食べたいとの僕の問いに、彼女の答えはこうだった。初詣の願掛けも同じだという。彼女の真っ直ぐで綺麗な瞳は、嘘などなく大真面目だった。今更ながら、海の幸、山の幸、大陸の幸、空の幸、何でもいいさと聞いて後悔だ、後で悔やむと書いての航海だ。グーグルサーチでの航海とも言える。 船酔い防止の薬局の胃散が大活躍の航海。なんやかんやでペンギンの群れに僕はたどり着けた。 ごめんよと僕は涙を流していた。愛する彼女の為に犠牲になってはくれまいか? 一羽ぐらいいいだろ? コクンと頷いた大人しそうなペンギンをリュックに詰めた。そんなこんなで無事に帰国。 「こんな美味しそうなペンギンをありがとう。でも可哀想」 ペンギンはコクンと頷いた。 彼女が付けた名前は「マル」 マルを捌く事も出来ず、飼うのが面倒だった為、水族館に行き、リュックに入れたマルをそのまま置き去る事にした。 後日のペンギンコーナーでは、品種の違う、丸々太った一羽のペンギンが目立つ。 美味しそうに悲しそうに、彼女は幸せの幸をうっとりと眺めている。
パソコンが機能しなくなり、久しぶりにスマホで投稿しましたが、段落下げが出来ませんでした。申し訳ございません。
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