Re: 即興三語小説 ―GWはゆっくりしていってね― ( No.3 ) |
- 日時: 2013/04/26 02:33
- 名前: しん ID:6XVGcwaE
お姫様の幸せ。
とあるお城に、それはそれは見目麗しい姫がおりました。 その光り輝くような容姿を人々は褒めそやしましす。 両親である王と王妃の愛情にも恵まれ、何不自由のない生活をしていまた。 けれども、いやだからこそ、そんなお姫様にも欠点がございます。みんなが甘やかすものですから、我侭になってしまったのであります。
部屋には三人が額をつきあわせて、うーんと唸っておりました。 「お姫さまももうお年頃、お国のためにもそろそろ・・・・・・」 「ふむ、でもあれが頭を縦にふらぬでのお」 「そうです。かわいそうですよ。好きな人ができるまで待ってあげることはできないの?」 王、王妃、宰相が、姫のお相手探しについて、真剣に探しているのであります。 姫もお年頃を迎えて、いつまでも相手が見つからなければ、行き遅れとして悪い噂もたちますし、城の発展の為に他国の王子や、自国の有力者との絆の為に婚姻するのが一般的でありました。 けれど王様も王妃様も、お姫様に甘く、嫌といわれたら何もいえません。 それが宰相の悩みの種でございました。 幾度となく、それはもう小さな軍隊にも匹敵するほどの、宰相が用意した良縁を悉く鎮圧してきたのは、全てお姫様の「嫌よ」の一言であったのであります。 お姫様の器量があまりに良いため、まだまだ引く手は数多なのではありますが、当の本人が納得してくれる相手が見つかるとは思えません。 もう宰相としては、問題のないところへ嫁いでさえくれれば、どうでもよいという気分になっておりました。 「あら」 扉が開かれる音とその声は同時でありました。 それは、中で三人がいることをわかっていて、わざとであったのは本人の不遜の笑みをみれば、宰相にはわかってのですが。 王と王妃は本来であれば三人の会議に乱入者に怒号を響かせるところだったのでありますが、その姿を見た瞬間二人の目はとろんと垂れ下がり、いつもの威厳はどこにやら。 宰相だけが鎮痛の面持ちです。 「姫、会議中でございますぞ」 「ごめんなさいね」 その言葉に一片の謝罪もはいっていないことに気付くのは宰相だけです。 「おうおう、姫よどうしたのじゃ」 「なにかあったかや?」 二人は上機嫌な猫なで声です。これで余計宰相は頭が痛くなります。 「いえ、なにをはなしていらっしゃったの?」 年頃の男がみれば、みな蕩けてしまいそうな笑顔でそんなことをいう姫。 「あなたの、嫁ぎ先についてですぞ」 宰相にはもう慣れたものです。姫の色香に惑わされることはありません。 まぁ、といいつつ、悲しげにする姫。 宰相はなれたもので、それが演技であることを見抜いているのですが。 「おぉ、姫よいいのじゃぞ、お主の嫌なとこには嫁がなくてもいいのだから」 「そうですそうです。そんな悲しまないでおくれ、そのうち良い人が現れるであろう」 「そうはいきませんぞ! 行き遅れなんぞと言われる前にどこでもいいので嫁いでいただかなければなりません!」 姫は宰相のその言葉に、よよよと泣き崩れます。 それをみて、王と王妃は、可哀想にと慰めようとしました。 「いい加減演技はやめてくだされ! 本当に、本当に! 貴方のために、この城や家臣、そして領民の評判が下がってしまいますのがわかりませぬか!」 今度は宰相が膝をつき涙を流します。その涙は血のような温かさがありました。 王も王妃も宰相のことは、非常に信頼しておりますので、こうなると、どうしていいかわからずにおろおろしていまいます。 これにはお姫様のほうが困ってしまいました。いつも豪胆で口うるさい宰相は、鬱陶しいのでありますが、それが城や王を始め領民のことを深く考え、そしてその中には姫自身のことも含まれているのはわかっているのですから。 「では・・・…」 こうなると、我侭であるお姫様もとうとう折れて妥協案をだすしかありませんでした。
しばらくして、城内外が一際わきました。 立て札がたち、号外が発行され祝賀気分です。 立て札、号外には、お姫様の婚約が発表されておりました。 結婚相手は実はまだ年端のいかない子供だったのでありますが、それを正確に知る者はお姫様を含め四人しかいません。 お姫さまの妥協案は『とりあえず婚約をする』というものでありました。 婚約しているのであれば行き遅れと後ろ指をさされることはありません。そうして時間を稼いでいる間に本当に好いた者が現れたら、結婚してもよいということでありました。 これにて玉虫色の決着をみたのであります。 めでたしめでたし。 だと思われたのですが。
その冬は厳しく、病が流行り、婚約者が還らぬ人となってしまいました。 宰相の悩みは逆戻りになったのはいうまでもありません。 お姫様”は”幸せに暮らしましたとさ。
----- 初参加、というより飛び入り参加です。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうこと はありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。
↑が書いてあったので、気分で小説サイト巡っていたら、三題をやっているようなので、参加させていただきました。 感想書きは、とあるのですが、この掲示板に直接感想を書くのですかね? 飛び入りなので何も分かりません。なにかルール違反とかあれば申し訳ありませんと前おきさせていただきます。
では失礼します。
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