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RSSフィード [11] 即興三語小説 ―第94回― 明日が休みだったらいいのにね
   
日時: 2011/02/05 23:07
名前: RYO ID:.8ZgBvqE

明日が仕事の主催者です。
ああ、不規則な仕事だ。
さて、なんか任意の多い回ですが、全て使う勇者が登場するんでしょうか?
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲必須お題:「野ざらし」「立春」「八百」
▲縛り:「コミカルなシーンとシリアスなシーンを両方いれる」
▲任意お題:「ホットアップルシナモン」「桃」「有給休暇」「眩惑」「誘惑」「独り言」「何もかもが終わった」「レアアース」

▲投稿締切:2/13(日)23:59まで
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週土曜日の22時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

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眩惑と誘惑の違い ( No.3 )
   
日時: 2011/02/14 02:07
名前: つとむュー ID:1eTDKxHs

「ねえねえ、ホットアップルシナモンとホットピーチシナモンの違いって知ってる?」
 八百屋の前を通り過ぎてしばらく行くと、隣を歩く智美さんが僕を見上げるように聞いてきた。立春を過ぎたばかりのぽかぽか陽気が、智美さんの笑顔を明るく照らしている。
「材料の違いだけなんじゃないですか?」
「じゃあ、どっちが好き?」
「実物を見たことも食べたこともないから分かりません」
 僕は正直に答えた。
「どちらかと言えば?」
「そうですね。どちらかと言われれば、ホットアップルシナモンかな」
 なぜなら僕はホットピーチシナモンという単語を初めて聞いたからだった。
「ふうん、透くんって意外と草食なんだね」
「だから、どうしてそこで草食って言葉が出てくるんですか? 第一、草じゃなくて果物だし」
 智美さんは、サークルの中でもちょっと変わった先輩として知られていた。少し発想が飛んでいるから気をつけろと先輩方から聞いている。
「これは一種の心理テストなのよ。林檎のような頬っぺたの女の子と桃のようなお尻の女の子のどちらが好きか、このテストで分かるらしいの」
 僕はちらりと智美さんを見る。智美さんは、ちょっと田舎風で背が低いけれど、出ているところはしっかりと出ている女性だった。つまり、林檎のような頬っぺたと桃のようなお尻の両方を兼ね揃えている上に、胸もとても大きい。
「はははは。草食……かもしれませんね」
 僕が引きつった笑いを見せると、智美さんはいきなり僕の腕にしがみついてきた。
「ちょ、ちょっと先輩。からかわないで下さいよ」
「怒った顔の透くんも素敵よ」
 僕が智美さんから離れようとすると、逆に智美さんは強引に腕を組んできた。
 智美さんの胸の柔らかい感触が腕を通して脳に伝わってくる。その信号はビビビと僕の下半身を熱くした。
 ――これはピンチだ。
 そう判断した僕は、別の話題を切り出すことにした。
「じゃあ、先輩に聞きますが、今話題のレアアースとレアメタルの違いって知ってます?」
 金属の冷たさは、熱くなった僕の頭も冷やしてくれるだろう。
「知ってるわよ。レアアースは希土類元素のことで、レアメタルは希少な金属のことでしょ?」
 僕の作戦は一瞬で撃沈した。
 腕に柔らかな感触を与えている智美さんのあの豊満な物体の中には、きっと豊富な知識が詰まっているに違いない。そう考えるとさらに意識してしまっていた。
 ――ダメだ、ダメだ。こんなんじゃダメだ。
 いつのまにか僕は独り言を呟いている。
 そんな僕を見上げながら、智美さんはますます密着度を高めてきた。
「透くんだって健全な男の子でしょ。もっと本能に素直になったら?」
 僕はたまらず智美さんを突き離す。
「嫌なんです。そんなことで先輩と親しくなるのは!」
 声を張り上げてしまい、僕は慌てて辺りを見渡す。幸い僕達二人は、人気の無い路地に入り込んでいたようだった。
「……」
 智美さんはびっくりしたような顔をした。そして静かに俯いてしまう。
 二人は向かい合うようにして、しばらく路地裏で立ち尽くしていた。
 ――ああ、何もかもが終わってしまった。先輩とはいい雰囲気だったのに。
 僕がそう思った時。
「そんなに私って魅力無い?」
 智美さんが顔を上げた。
「田舎くさい女って嫌い? 私の体って全然ダメ?」
 ちょっと涙目だった。
 僕は真面目な顔で智美さんの目を見た。
「胸の大きさとかそんなことで先輩を好きになりたくないんです。ほら、先輩はちゃんと知っているじゃないですか、レアアースとレアメタルの違いを。そういうところに先輩の魅力を感じたいんです」
 臭いセリフだとは思ったが、智美さんの涙を見たからには言わずにいられなかった。
「よかった……」
 智美さんにゆっくりと笑顔が戻る。
「ねえ、透くん。本当の私を見ても、嫌いにならない?」
 そして僕を見つめる目に力を込めた。
「ええ、決して嫌いになりません。僕を信じて下さい」
 僕は男らしくきっぱりと言い切る。
 すると智美さんは少し考えた後、意を決したように上着の中に手を入れた。そしてしばらくゴソゴソとやった後に服の中から拳大のクッションを二つ取り出す。
「実はね、私の胸ってフェイクなの」
 目の前には胸がぺったんこになった智美さんが居た。そして真っ赤な顔で「みんなには内緒よ」と言い残して、走り去って行ってしまった。
 僕はしばらくその場に立ち尽くす。
 ――やっぱり胸の大きい先輩の方が良かったかも。
 僕の心はまだまだ冷たい風の中で野ざらしになる。
 今度先輩に会ったら、眩惑と誘惑の違いについて問うてみたい。放り出された僕の気持ちがそう告げていた。


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遅刻した上に、ただお題を消化しただけのような不自然なものを書いてしまいました。
最初から反省ばかりで恐縮ですが、折角時間を使って書いたので投稿します。
うーん、まだまだだなあ……

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