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RSSフィード [56] 即興三語小説 ―第121回― 第103回のリサイクルですよ
   
日時: 2011/10/23 21:57
名前: RYO ID:ZRk4SU2.

いい加減、誰も投稿しなかった回をリサイクルしようと思いまして、
まずは、第103回です。
過去のお題を再構成しなおすこともあると思いますが、よろしくお願いします。 

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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「体重計」「ジレ」「銀のスプーン」
▲縛り: なし
▲任意お題:「ビジュー」「冷蔵庫」「ウィスキー」「聖書」「拳銃」

▲投稿締切:10/30(日)21:59まで
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週土曜日の22時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

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祝福と嫉妬のジレンマ ( No.2 )
   
日時: 2011/10/30 21:54
名前: RYO ID:qDBwvIgo

 お風呂から上がると携帯がなった。メールを受信したらしい。テーブルの上の携帯を横目に、戸棚からグラスを取り出す。間接照明だけの薄暗い部屋。これから一日で一番癒される時間。濡れた髪をタオルで拭きながら、グラスを手に冷蔵庫へ。冷蔵庫から氷を取り出してグラスに入れると、リビングのイームズのラウンジチェアに腰を落ち着かせる。背もたれに体重を預けるとイームズに包まれるような感触に、目を閉じて大きく息を吐く。テーブルの脇に置いてあるウィスキーを手にして栓を開ける。瓶の口を鼻に近づけて、そのスモーキーな香りを味わう。そっとグラスに注げば、琥珀色の液体がとろりと滴り落ちて、氷がパキッと音を立てたあと、ビジューと息を吐くように鳴った。
 そうやって、一息ついたところでテーブルの携帯に手を伸ばして、メールを確認する。
 幼馴染の妙子からだった。無事に出産できたらしい。女の子だった。ほっと安堵したのと同時に、湧き上がってきたのは黒い感情。どこかで、自分と同じことが起きれば良かったのに、と思っていた。
「聖書を持って平和を訴えるよりも、拳銃を手に引き金を引く方がよほど人間らしい」
 それが、この一年の結論だった。
 離婚したは三ヶ月前。流産したのは、半年前。妊娠したのは、七ヶ月前。結婚したのは、一年前だった。何がどうして、こうなったのかは分からない。
 離婚した旦那は妊娠したことを話すと、一瞬苦虫を噛んだ顔をした。ほんの一瞬で、一瞬だから見間違えだったのかもしれないけれど、その表情は頭から離れない。思い返してみれば、すでに気持ちはなかったのかもしれない。旦那の両親は流産したことを責めた。もともと結婚に反対していた人たちだったから、何かつけいる隙を探していたのだと思う。烈火のごとくというのは、ああいうことをいうのだろう。旦那が助けてくれるわけもなく、ただ堪えるしかなかった。離婚できたとき、ほっとしたことは覚えている。子どもがいないことにも感謝した。でも、そこ最近の一ヶ月くらい前の記憶は、ない。まったくなかった。ただ、なぜこんな簡単なことができなかったのか。そう思った。
 そんな苦しみと並行して、妙子の結婚と妊娠、そして出産――わかっている。そうわかっている。頭では分かっている。でも湧き上がってくる感情はどうしても黒い。どす黒い。どす黒くて、理性とせめぎあう。祝福と嫉妬のジレンマ――。
 震える親指でメールを返す。
「おめでとう。無事生まれてよかった。私も安心した。退院したら教えてね。お祝いもって、お邪魔するから」
 短い。苦笑する。それができることの精一杯で。
 まだ氷の解けていないウイスキーを飲み干す。
「お祝いは、なんにしたらいいかな? どうせなら、お金に糸目はつけないほうがいいわよね」
 ふわふわする。アルコールのせい?
「銀のスプーンとかは月並みかもしれないけど、それくらいのがいいかな?」
 ふふふ、と自然と笑みがこぼれる。
「せっかくお邪魔するんだから、失礼がないようにしないといけないしね。何来て行こうかしら? どうせなら、病院にでも押しかけようかしら? 妙子には妊娠したことは話したけど、離婚したこととか話したっけ?」
 私が私じゃないみたい。何かが頭の中から浮かんでくる。ふわふわして、気持ちがいい。ウイスキーをグラスに注いで、さらに一口。
「今日は、まだ測ってなかったわね」
 イームズから立ち上がる。気分が明るい。ふわふわして、踊るように足を弾ませながらに洗面所へ。洗面台の鏡を見ると口角を上げてにっこりと笑う自分がいた。上機嫌で隅においてある体重計に乗ったら、体重はやっぱり減ってなかった。

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久しぶりの投稿です。
1500字もありません。90分くらいです。お題はいちおう全部消化しました。
まぁ、こんなものか(笑

メンテ

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