Re: 即興三語小説 ―「ある法則」 「高温」「変化する時代」―3/3で定期は終了します ―〆切を3/3まで延期します ( No.2 ) |
- 日時: 2019/02/27 19:22
- 名前: 1 ID:up96CynY
現代はめまぐるしく変化する時代である。 それもある法則に従って。 そのある法則とは、古代インドの大哲学者あるいは大賢者と呼ばれた人たちにより唱えられた説であり、車輪の法則と呼ばれる。 それはどういうことか、といえば自動車のタイヤの一点に印をつけ、車が走りその一点が同じ位置に来るように、歴史もまたそれがごとく回り巡る、というものである。 文明の発祥が農耕であれば、それは力の時代とされ、次に科学が発達し、その先に商業や文化が発展し、やがて芸術が誕生したのちに衰微し、そしてまた農耕に戻る、ということなのだろう。 科学の発展からしても、子供のころにはなかったものが普及し、末代にあっては高温になって熱帯になろうが低温になって氷河期が訪れていようが全くわからぬ。知りようがないが、いずれかの環境に立たされていても生き延びるなんぞの知恵を身に着けていることだろう。
西暦二千三百一年某月某日。 ネオ・東京。 日本の国名は「皇国」あるいは「扶桑」と改名した。 ネオ・東京は大東京または大帝都と呼ばれていた時代よりも前の人口であり、規模は年々縮小し、国家としてぎりぎり成り立つくらいの首都になり下がった。 気候は温暖湿潤気候より亜熱帯に近くなり、年間平均気温は二十二度前後あり、高温というよりも半分リゾート地となってしまった。 そんな街頭で見受けられるものは “産めよ増やせよ”とか“食糧増産基地建設 大造成事業” といった類の、まさに我々が知る過去の戦時中のようなスローガンである。 “研究員募集中 年齢問わず。前歴不問” そんな張り紙まであったりする。 世界に名だたる大物理学者のトキノ博士は、そんな張り紙を見るにつけ近い将来についてある種の不安を覚えていた。 小さな紛争やいさかい事があちこちで起きている以外は、特段世界大戦争に至ることもなく平穏な日々が長期間続いていた。 しかし、そのせいか生産は飽和状態に陥り、経済環境はどん詰まり。雇用もなにもかも停滞していて、怠惰な日々が蔓延していたためである。 博士のある種の不安は、不幸にも的中してしまった。 大華国とパブリカ、ミリティアという大国家間で、ほんの小さな紛争、武力衝突が火種となって、瞬く間に枯野に火を放ったように、全世界に波及し世界戦争に発展した。 中立を保っていた扶桑国にまでとばっちりが及び、巻き込まれた。 博士がつぶやく 「我々の預かり知らぬ、深淵の隠されたある法則が発動した」 世界戦争そのものは電脳戦に始まり、どんどん退行してゆき、騎馬戦となり、やがて白兵戦となって終結。 博士もまた戦争の片棒を担がされ、平和利用を考えていたものは、軍事用に徴用され、業火あるいは煉獄ともいうべき高温の超兵器が生み出され、それぞれの国家と首都を焼け野原に変えた。 そ の焼野となり果てたネオ・東京は不死鳥のごとくよみがえろうとしていたが、復興の歩みは残された人々の手により農耕から再び始まっていた。 再び文明の元祖からになったのである。 ______________________________ この期に及んで中途。 三語 万歳! 玉砕
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