Re: 即興三語小説 ―「牡蠣」「初冠雪」「年上」 〆切12/3に延期します ( No.2 ) |
- 日時: 2017/12/03 20:02
- 名前: マルメガネ ID:xEGrzH.c
師走前の休日
亥の子の日の前から、異常に寒暖の差が激しくなり、とある地方の最高峰が初冠雪を観測したとの情報が流れた頃。 使い古しの石油ストーブを出すと、そこには越冬のために飛来したカメムシが掛けたビニール袋に止まっていた。 悪臭を放たれてはかなわないので、そのままそっとビニール袋を外し、愛用の石油ストーブを隙間風の入る部屋に設置し、カートリッジ式のタンクに灯油を入れて部屋に戻る。 対流反射方式のオーソドックスな石油ストーブの天板に、ネットで手に入れた自家発電方式の対流ファンを置き、点火しようとしたが芯が上がらない。 あぁやっちまった、と思いながらレバーが破壊されるような勢いで強引に押し下げると、錆がこすれる音がして芯が上がった。 やれやれとばかりに、点火してそのままいると、やはりどこからともなく隠れ潜んでいたカメムシが数匹出てきて、ぶんぶんと飛び回るのには閉口した。 そのあと、お使いを頼まれて、スーパーに行くと、すでに鍋物用の出来合いスープが販売されており、いよいよ冬がそこまで来ているのだ、と思われたが誰も手にしていない。 「あんたぁ、年上なんじゃからね」 お菓子売り場で、なにかしらのお菓子を巡って始まった兄弟げんかを叱る親の声が聞こえるのを後にしていろいろ回る。 魚介類売り場ではH県特産のボイル用牡蠣が売られていた。 お使いメモにはその旨は書かれていない。 お使いメモに書かれた品々をさっさと買い物かごに入れてレジに並んでいると、今度は大泣きしている子がいた。 どうやら欲しかったお菓子を買ってもらえなかったらしい。 なんだかんだと、買い物を済ませてさっさと自宅に戻ると、やはりカメムシが大量にどこからともなく這い出ていて、暖かい日だまりで歩き回っていた。 今年の冬は厳しくなりそうだなぁ、と思う私がいた。
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