Re: 即興三語小説 ―梅雨明けも間近、本格的な夏がやってきます!― ( No.2 ) |
- 日時: 2014/07/20 17:31
- 名前: しん ID:owr.GRZc
題:夕立
少女はどしゃぶりの雨に遭遇した。 雨は地をうちつけるように、音をたてている。 先ほどまで、日差しで肌がやけどしそうなほど暑さだったのに。 空をみると、かき氷のように分厚い積乱雲が、あたりをつつんでいた。 雨宿りをして、天気予報をみようとスマホをひらくと、ひとすじ、水滴がふえた。
夕立のなかへと、とびこんだ。
少し先を隠してしまうほどの雨が、いろいろなものを隠し、洗い流してくれる。 そう信じて、雨のカーテンをつっきる。 ひとにあたり、とまってしまう、 謝罪をして、逃げようとしたら、手首をつかまれて、つかまってしまった。 知り合いのお兄さんが優しく声をかけてくれる。 前もまともにみずに走っていた少女がわるいのに、一切せめようとはしてこない。 目をあわせれない。お兄さんの話し方から、自分の状態はばれているはずなのに、それでもまだ抵抗しようとする。 自分は泣いていないのだ、とおもわせようと、おもいたいと。 家までお邪魔して、タオルで水分をぬぐい、あたたかいココアをだしてくれた。 フリーズドライ製法なんだよ。っていってもインスタントのことなんだけどね。 面白くなかったけど、その冗談は、優しさなのがわかったので、自然とわらえた。 お兄さんは、コーヒーをのんでいる。子供あつかいされたと、すこしむくれた。 少女がおちついたのをみて、お兄さんは、一応傘をわたした。
もう、ふられないといいね。
その言葉がずきんと胸にひびいた。 自宅へ帰る途中、スマホの待ち受けを、クラスで人気の男の子から、お兄さんへとかえた。
雨はもうやんでいた。この年頃の少女の「好き」というのは、夕立のようなものなのかもしれない。
--------------------------------------- 題名がかぶりましたごめんなさい。
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