Re: 即興三語小説 ―三月です。出会いと分かれの季節です― ( No.2 ) |
- 日時: 2014/03/09 15:58
- 名前: マルメガネ ID:s4JjS4ik
ある日常
頭をぼりぼり掻きながら、陥ってしまったスランプからの脱却に悩む。目の前には空白の下書き原稿用紙と推敲するためのパソコン画面。そしてゴミ箱からあふれかえった紙屑の山。 無い知恵を振り絞ってみたものの一向に埒は明かず、ため息を漏らしてテレビをつけると、ジャパネットたかたの通信販売の番組が始まっていた。 いったいどのようにして低価格に抑えているのかは不思議な気もするが、解説紹介する文面の技を授けてもらいたいくらいだ。 見ていると嫌気がさし、スランプもままならず、テレビを消して窓を開けた。 冬の気配は薄れ、庭先に春の気配を感じさせる梅の香が漂い、結実はするが小さくて硬い実になる花桃の蕾が膨らんできていた。 四季を愛でる趣味はないものの、徐々に変化する気候、季節の移ろいは心ならずとも感じられる。 春はそう遠くない。されども原稿は遅々として寒く冬将軍が居座っているのかと思うくらい白く、文字の黒さも見えない。 それを埋め尽くすための知恵も浮かばないで、出るのはため息ばかり。 部屋から出ると小春日和が差した縁側に置かれた古ぼけた座布団の上では、猫が日向ぼっこをして眠っていた。 もういいや、とばかりに座敷に寝転がる私がいた。
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短い。非常に短い。 言わずと知れたありふれた(?)光景。
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