Re: 即興三語小説 ―バレンタインなんてないさ― ( No.2 ) |
- 日時: 2014/02/09 21:28
- 名前: マルメガネ ID:s4JjS4ik
どっきり倉庫(お題:冬眠 火気厳禁 ミカン箱)
ナギが珍しく従業員に指示を出して、風俗店の『開かずの間』と称される倉庫を片づけていた。 錆びついた鍵を開けた倉庫は薄暗く、隅に蜘蛛の巣が張り、全体的に埃まみれの状態だった。 雑多な私物や怪しげな器具が満ちていて、入った従業員も知らない世界が広がっていた。 次々と処分する品々が外に出されていく。 「こんなモン、見つけたっす」 店で一番やんちゃなハヤテが倉庫の奥にひっそりと埃をかぶったミカン箱を見つけた。 そのミカン箱には『火気厳禁 取扱注意』のレッテルと壊れ物のレッテルが貼られていた。 「なんだ? その怪しいものは」 「わからねぇっす。開けてみるっす」 興味をそそられて、ハヤテが箱の目張りテープを剥がした。 詰められている古新聞を払いのける。 「うぎゃぁぁ」 ハヤテが悲鳴を上げて腰を抜かし、見守っていた他の従業員がドン引きした。 ミカン箱に入っていたモノ。それは、新品の鋼鉄の義手と何かが浮いたホルマリン保存瓶だった。ついでに、黒の眼帯と義眼がコロコロと。 目を疑う。そして誰がこんなものを収蔵したのか。 誰かがナギを呼んできた。 「ああ、これか」 倉庫で冬眠し発見されたグロテスクな品々を見てナギが言う。 「義手は俺のものだ。ホルマリン保存瓶と眼帯と義眼は誰のだろう?」 ナギも首をかしげる。 ミカン箱に入っていた義手以外は、誰かの忘れ物らしい。 「しかし、こうしてみると悪趣味だな」 忘れ物とはいえ、いろいろ集まると珍妙奇天烈怪極まるものらしい。 頭をひねる面々。 「そういえば…。お店を改装したのいつでしたっけ?」 「昨年の秋」 「その前に店じまいのどんちゃん騒ぎしなかったっけ?」 「あー」 記憶が走馬灯のようによぎる。 「そういえば、その前にだ。サツのガサ入れがあったよな」 「そうそう。それで慌ててこの部屋に怪しいもの投げたんだよね」 記憶が一致したところで、結局『開かずの間』の倉庫の片づけはどこへやら、まったく進まず、また元に戻して終わったのだった。 こうしてまた元に戻された品々は冬眠することになったのだった。
======================================================================= またつまらぬモノを書いてしまった。(ノ_;) オチが薄い。
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