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RSSフィード [119] 即興五語小説 ―もう一日休みが欲しいGW明け―
   
日時: 2013/05/08 00:32
名前: RYO ID:4B/WpCTM

 ある日、オレンジが食べれなくなった。
「それは病気です!」
 看護師の妹が力説した。雑草が食べられなくなったカエルのミイラにそれを言うなら、兄として理解してもいいかもしれないと返してみたら、
「どっから湧いて出てきた、このクソ兄貴!」
 妹の右回し蹴りが飛んできた。ひとを呼んでおいてそれはないと、二の腕に心地良い痛みを感じながら、その場にあえて倒れてみる。妹のミニスカートから垣間見えて色はピンクだったが、そこはあえて、そうあえて口にしない。
「さっさとそこの画面から帰れ。二度と這い出てくるな!」
 そんな実の兄をテレビの画面から出てきたキチガイのように言うなんて、立派にオタクへの理解が深まっているではないか? まったく兄のことをよく理解してくれている。
 ま、オレがオレンジが食べれなくなったのと、妹の先輩がオレに惚れたという事実はまったく関係もなく、それを病気と評した妹の感覚はまったくコメントする気もなく、とりあえず問題なのは、この場にオレが同席していることでもなく、なんというか、晴天の霹靂という妹の受けた衝撃であって、妹の憧れる先輩の、「でも、好きになったんだから仕方ないじゃない」という言葉が妹の止めを刺したあたりで、とりあえず、先輩が女性で、オレがその手の趣味もなく、妹もレズではなかったことは救いであり、妹の先輩はとりあえず美人であったことが、その事実がこの場ではいかんとも場違いであったことだけが、間違いなかったことだった。

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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「オレンジ」「雑草」「カエルのミイラ」「画面から出てきた」「それは病気です!」
▲縛り:なし
▲任意お題:なし

▲投稿締切:5/12(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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Re: 即興五語小説 ―もう一日休みが欲しいGW明け― ( No.2 )
   
日時: 2013/05/07 02:19
名前: 星野日 ID:6iPjUQoI

 眼を覚ますと、曇りガラスがオレンジ色に光っていた。時計を確認し、もう午後三時なのだとわかった。布団から這い出す。
 立体テレビの電源を入れると、画面から出てきたアナウンサーが今日起きたいろいろな出来事を報道していた。
『さて皆さんは、ゴールデンウィークをどのように過ごされましたか』
 と彼女が言うので、ああ、今日で連休も最後なのかと気がつく。
 明日からまた仕事だと思いだし、ついでに今日が月曜日で、燃えるゴミを出しそこねたことにも気がつく。ゴミ箱から溢れているティッシュやらを拾い、スーパーの袋に無理やり詰め込んで口を縛った。金曜日の燃えるゴミの日には、出すのを忘れないようにしなければ。
 腹が減ったが恒温庫にはなにも食料が残っていない。近所のハンバーガーショップで昼を兼ねた夕食をとりにでかけることにした。
 ここのハンバーガーショップにはカトーさんというアルバイトがいつもいて、キラキラした笑顔で「いらっしゃいませー」と迎えてくれる。もう顔なじみの客ということで、「ども」と頭を下げると「あ、こんにちは!」と元気よく挨拶を返してくれる素敵なカトーさんだ。この笑顔に釣られて足繁く通ううち、注文も「いつものやつ」で通じるくらいの常連客になってしまった。
「カエルのミイラバーガーのAセットですね」
 カトーさんが注文内容を確認する。頷いて答える。
「これ頼むの、お客さんくらいですよ」
「ハエとミミズでつくったハンバーガーの方が、気持ち悪いと思うんだけど」
「美味しいのになあ」
 カトーさんは首をかしげて不思議がりながら、厨房の方に注文を届けに行ってしまった。
 店内の平面テレビに、部屋でも見たアナウンサーのお姉さんが写っている。専門家を呼んで、隕石特集なるものをやっているようだ。
「五月って、時間の感覚なくなりますよね」
 注文の品を持ってきたカトーさんが、向かいの席に座りテレビを見る。カエルのミイラバーガーは、カエルのミイラをパンに挟むだけなのでとても簡単に作れる。美味い早い栄養満点の完璧なファストフードなのである。
「ニュースやってましたけど、海外でも、ゴールデンウィークを採用する国が増えているそうですよ」
「へえ」
 この店はいつも空いていて、暇を持て余したカトーさんがこんなふうに話しかけてくるようになった。
「実感わかないけど、外国も五月は夜が来ないんですよねえ」
 テレビに映る何かの専門家が『五年前に地球に衝突した隕石により、地軸がずれ、』と、誰もが知っているような事を話している。
「もう五年かあ」
 と、欠伸をしながらカトーさんが呟いた。「私も歳を取るわけだ」と。
 テレビではニュースが終わり次の番組になり、中年のアナウンサーが『奥さん! それは病気です!』とツバを飛ばしてしゃべっていた。
 食べ終わったトレイを渡し、レジで精算をして店を出た。相変わらず空はオレンジ色で、たぶん今週いっぱいは二十四時間ずっとこんな感じであろう。
 帰宅して玄関のドアを開けると、置いてあったゴミ袋を蹴飛ばしてしまった。次の金曜日が待ち遠しい。

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