Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.13 ) |
- 日時: 2013/05/07 00:36
- 名前: 卯月 燐太郎 ID:vSjIZM8Q
「三語」感想9人分」
霙様 「とある老人の日常」読みました。
近未来の物語で「尊厳死」に近い物が描かれていますね。 SSなので、ABのようなユーモアが描かれるのでしょうか。
A>老人の額から補助灯が照らすと、老人は起動し体を起こす。< B>懐中時計を口の中にしまい<
C>老人は既に止まっていた。どんな夢を見たのだろう。または過去の回想。苦痛のないその表情は安らかともいえる。繰り返しロッキングチェアーに揺らされると、腕は垂れていた。<
Cは、よく、出来ていました。 この時点でオチに気が付きませんでした。
>まだ、まだ死ねないのか…… 機械化した体の自分を呪う。長生きしてねと老人に勧めた家族にも恨みが込み上げてくる。<
これは、「尊厳死」とかを考えると、よくわかります。 また老人は「味気ないオイルの残りを流し込むと」と言うことで、体をスムーズに動かすためにオイルが必要なのですね。 いかにも、家族は老人を長生きさせたいようですが、自分たちはどこかに出かけ、老人には「留守番」を頼んでいる。 >ロッキングチェアー型充電器に座り、一人揺られる。< この締めが近未来型を思わせます。 短いのに、よく描きました。
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●霙様への返信 (私の作品「死刑執行」) >>長編小説の出だしですよね。Aの過去などを深く掘り下げてと、真相を期待してしまう内容でした。<< ●掘り下げたら、どんどん深く掘れそうですね。 長編は自分の実力では無理でしょうね、短編(100枚以内)とまりと言うところです。
お疲れ様でした。
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Azu 様 「ドリーム・タイム・デット・トラベル」読みました。
>お題小説初めてですし、時間制限もオーバー(75分)し、内容むちゃくちゃかもしれません。<
話の展開のさせ方がうまいですね。 次々と、主人公が危機に陥る。 そして白い光と共に脱出。 また、この作品の良いところは、説明ではなくて、エピソードで描いているところです。 だから、迫力があります。
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●問題はラスト近くのAのあとですね。
A>>目が覚める。俺の部屋のベッドだ。体は健康そのもの。刺されたことが嘘のように。 刺した男はいないか目回してみるが、いなかった。 終わった。そう感じた。懐中時計は引き出しの奥深くに押し込んだ<<
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●Aのあと、こうすると、ドラマはまとまると思います。
主人公は危険を感じて懐中時計を質屋とかに売る。 なかなかの骨董物で高く売れる。 それからは平和な日々が続いていたが、テレビのバラエティ番組で「世界の変わったニュース」という特番で、殺人事件のニュースを知る。 殺人事件がテレビで「再現」される。 それは人が殺されるのだが、その前に犯人は別の者を殺そうとしていた。 ところが、殺すその瞬間に相手は白い光とともに消えて、別の者が現れたが、すでに銃の引き金を引いていたので、間違った相手を殺した。 そして犯人の実際の写真がテレビに映る。 その番組を観ていて主人公は驚く。 これは俺が経験したことではないか。 俺は確か、この写真の男に追われていた……。 しかし、その事件は50年前のことだった。 自分の年齢はまだ30歳。 計算は合わないが、太平洋戦争の爆撃直後の火災も経験している。 どうも、不思議だが、すでにあの懐中時計は売り払って手元にないので、もう何も起こらないだろうと思っていた。
●ところが、すっかり忘れたころに街を歩いていると横断歩道の方で悲鳴が上がった。主人公とは30メートルほど離れている。 見ると大型トラックが信号を無視して突っ込み、歩行者を跳ねようとしていた。 次の瞬間歩行者が白く光り消えたと思うと、主人公がその場にいた。 主人公は亡くなるわずかな時間に「少女の呪われた時計の真相を聴く」。
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こんなところで、いかがでしょうか。
お疲れ様でした。
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zooey様 作品読みました。
時間に対する観念と言うところでしょうか。
私たちは同じ時間の中を生きていますが、一〇歳の子供が感じる一年と三〇歳の大人が感じる一年とは違うのですよね。もちろん七〇歳の老人が感じる一年も違う。
どう違うかと言うと、脳科学の問題だと思いますが、一〇歳の子供の脳は物を吸収するのが早いです。ところが三〇歳の大人になると、子供のころと比べると、物覚えが悪くなる。 七〇歳の老人になると脳が老化しているので、ますます物覚えが悪くなる。 その結果どうなるかと言うと、時間の感じ方が子供と大人、そして老人とは違ってくる。 子供は一年を長く感じて老人は短く感じる。 「もう、一年たったのか……」 てな、感じです。
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御作は、そういった時間と年齢の関係を描いた作品だと思います。
>>時がたっぷりあると見せかけ、奪い去った後、その残された僅かの時間を、スローモーションで進めていく気だ。<<
だから、これは逆ではないですかね? 年を取るほど、時間の経つのは早くなるので、早送りで時間が動いているような感じではないですかね。 子供のときは時間がスローモーションでなかなか前に進まない。
お疲れ様でした。
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しん様 「優しい柳」読みました。
なるほどとラストまで読んで納得しました。 たしかに優しい柳ですね。 話の入り方から展開の仕方と柳を中心にしてドラマが見事に進みました。 太くて、折れるはずのない柳の枝がなぜ折れるのか……。 とうとう最後の一本も折れてしまい、柳は丸裸になりますが、それには筋の通った理由がありました。 ある紳士が柳を丸ごと買い取り再生させるために努力をする。 町の者が次々に柳の再生に協力してくれる。 >一人の身なりの貧しい男が近づいてきます。体格が細く、頬もこけていて、満足に食事もできない立場であることがわかります。< こんな男まで柳の再生に力を貸したいという。 ラストまで読んで驚きました。 この作品は、構成がよく出来ています。 タイトル通りの作品でした。 小学校高学年の国語か道徳の本にでも掲載されるような作品でした。
お疲れ様でした。
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霙様 「懐中時計は思う」読みました。
小説と言うよりもエッセーという感じかな。 主人公が「懐中時計」のエッセー。 時計店での彼らの会話が聴こえてきそうですね。 アンナさんは目立ちますね、売れ残りのお局様か(笑)。 豪華な時計はそんなところでしょう。 一番大きい百年時計の青柳さん。 >青柳さんとアンナさんの売れ残りは鉄板間違いなし。< これが結構笑えるなぁ。 ラストで主人公である懐中時計の「蓋が付いている」の話。 「私は閉じられるその日を夢見る。」なるほど、たしかに、時計店ではふたは開いているでしょうね。 「眠ることなんてなかった。」そりゃあ、時計が止まったのでは役目が果たせないけれどたしか時間を確認する時だけ時間がわかる時計があったような気がします。 普段は止まっているのですよね。
全体に温かみが伝わる作品でした。 それにしても、よく観察していますね。
お疲れ様でした。
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葉月あや 様 「カエリタイ」読みました。
この作品はタイトルの「カエリタイ」がどんぴしゃですね。 修理に出した懐中時計が捨てられたと勘違いしているのですよね。 「いぶし銀の腕時計」のお兄さんが一発かましてくれるし(笑)。 「ああ、足があれば走っていくのに。」で、ラストで懐中時計からは、二本のひょろりと細い足が生えている。
>それは無言のまま、彼女に向かおうと店主の手のひらの上で、ばたばたと不気味にうごめいていた。 店主と女性は神妙な面持ちで言う。<
>>「捨てましょう」<<
なかなか、想いは伝わりませんね(笑)。
●気が付いた点 懐中時計の持ち主は女性なのですよね、それで修理に出されているわけですが、女性で懐中時計を持っている方は少ないと思いますので、そのあたりの説明はしておいた方が作品に奥行きが出ると思います。 話はユーモアがあり、面白かったです。
>>飛び入りです。<< また、「飛び入り」でご参加、お待ちしています。
お疲れ様でした。
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昼野様 昼野ワールド全開――――(笑)。
しかしこの書き手の良いところは、作品が壊れているように見えるが、うまくバランスを取って、逆立ちしてチンチンを見せている。それにも意味があるところが、立派です。
ちなみにわからない人がいるといけないので説明すると「逆立ちしてチンチンを見せている」というのは、この作品でいうところの、「A」と「主人公と青柳の会話文のやり取り」になります。
主人公と青柳との友情の深さが「B」で伝わるようにオチている。 HNを書かなくても、だれの作品かわかってしまう、個性の持ち主だ。
A>>「おい、馬鹿野郎」 と声がかかった。振り向くとそこには青柳がいた。思い出したくないが、こいつとは中学生の頃、好奇心で何度かアナルセックスをした。いまでは「馬鹿野郎」とか「この野郎」とかを、ふつうに言い合う、ふつうの仲だ。お互いに27歳のニートであった。<<
B>>複雑な事も、青柳と会話することで、解消され、救われると思った。こいつを大切にしようとつくづく思う。<<
お疲れ様でした。
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マルメガネ様
老夫婦の田舎での生活ぶりがうかがえますね。 青柳の枝が障子に影を映して揺れていたりで初夏を思わせます。 先ほどまでうるさかった孫たちの声。 それが軒下での燕が子育に代わります。 「まだまだ死ねない」という老人は燕のひな鳥のことを思っての発言でしょうか。 老婆との会話は孫の話から「おじいさん。燕のヒナが大口開けて、待っとる」と燕のひなの話に代わる。茶とすすりながら残りの人生を数える。
なかなかよか、話ですたい^^ なかなかええ話でんな^^ ええ話でおますがな^^
お疲れ様でした。
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「は」様、読みました。
「バカガイの記憶」というタイトルにしたらよいかな。 この文体は味がありますね。 書いてあることは日常のから非日常の話で取り立ててどうと言うことはないのですが、人間という者は、頭の片隅にある記憶をふとしたことで思い出す時があります。
この作品はそんな話です。 浜名湖でバガガイを取って食うのですが、それにはいくつかの伏線が張られていて、子供がバカガイを取り、30いかぬ父親が笑いながら捨てろと言う。子供は捨てるときに湖面の飛沫が口のなかへ撥ねかえってきて、驚くがそれが笑いにつながる。 こういうのって、想い出としてはごく小さなものですが、ふとしたことから思い出すことがあるのですよね。 きっとこの子供は30の父親とバカガイを取ったことが想い出になることでしょう。 また子供の団体を引率してきてうんぬんの話では懐中時計が出て来るので湖水に落とす可能性とかいろいろと考えさせられました。 どちらにしろ、ここに出て来る大人たちはみんな優しいですね。 主人公もバカガイを取って食べるのですが、味を覚えていない。 >肝心なところを憶えていないせいでかえって気にかかる。< が、本当のところは、人生にとっては、大した問題ではない。 ふとした瞬間、舌にその記憶がよみがえる。それで満足してしまう。いいじゃないか。ふいとそういうときが訪れるかもしれない。望むところだ。 >まだまだ死ねない。<がラストに来る。 これって、人生は小さな記憶の積み重ねから創られるからなのだろうか……。
時間ぎりぎりに創りましたね(笑)。
お疲れ様でした。
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感想、終わり。
>>私の作品の返信(しん様以降)は、後程入れます^^<<
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