●基本ルール以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。▲必須お題:「城塞」「工房」「日曜日」▲任意縛り:王様が裸で殺される なミステリー小説にする ▲投稿締切:10/23(日)23:59まで 基本的に毎週日曜です。連休のときは連休の末日。投稿がない場合、延期することがあります。▲文字数制限:6000字以内程度▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません) しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。●その他の注意事項・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)・お題はそのままの形で本文中に使用してください。・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。●ミーティング 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。●旧・即興三語小説会場跡地 http://novelspace.bbs.fc2.com/ TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。
疑心暗鬼 ミッドランドの王都であるミッドガルドの城下は大変な騒ぎとなっていた。 町の場末にある石工から鍛冶工にいたる諸工房はひたすら兵器の製造を手掛けていて、日曜日もへったくれもない状態。 町の場末よりはるかに望む王城は、城塞とすべく増築が急ピッチでなされていた。 それにはギルドの石工そのほか農民に至るまで駆り出され、怪しげな魔法使いや錬金術師は火薬の製造に駆り出されて、のほほんとした日常はきな臭い空気に置き換えられた。 さてしも、どうしてこうなったか、といえば、この国、つまりミッドランドは西に軍事大国のミリティア、東に多民族大帝国のオルティアが控え、その中間に挟まれていて、常にいずれかの国に侵略を受ける危険があった。 くしくも、軍事大国ミリティアからの使者が来て、多民族国家のオルティアを討つべく加担してほしいとの国王に親書が渡された。 ミッドランド国王のシルビア女王はその親書を開き見るなり、破り捨てた。 次の日にはオルティアから使者が来て、ミリティアを討つべく加担してほしいとの親書がシルビア女王に渡されたが、シルビア女王は怪訝な顔をして却下した。 いずれの使者も驚愕し落胆して帰っていった。 国を守るには…。 それが発端だったのだが、あまりの過酷さにギルドの親方たちは怨嗟の声をあげた。「ミリティア、オルティアの王死すべし」 緊張が高まったある日、ミリティアの国王が変死を遂げた。パンツいっちょで、青銅の杯を手に、畑に埋まっていたのである。 ミリティア国内においても不穏分子がいるらしく、もっぱら国王は暗殺されたのだという噂が広まった。 それはミッドランドにも届いた。 オルティアは喜び、ミッドランドは警戒感を強める。 そして国交が途切れ……。 王城の城塞化は完了し、もはや要塞となり果てた。 国民総動員で来るべき日に備えた種々の兵器もそろった。 ミリティアが五万の兵を動員して攻め込んできた。 それを狙ってオルティアがミリティアに十万の兵を動員して襲撃した。 不意を突かれたミリティアは半数の兵を引き揚げさせた。それでも二万五千あまりの兵である。 対するミッドランドの兵は一万人ばかり。 なにがなんだかよくわからない三国戦争がここに始まったのであるが、ミリティアの騎兵隊が攻め込んできたとき、ミッドランドの砲術長が叫んだ。「われわれとしたことがうかつであった。新型の大砲の弾を作るのを忘れておった」 しかし、その大砲が巨大な大砲であったためにその視覚効果は抜群で、騎兵隊が引き返した。 そのミッドランドの巨大な大砲の存在は、オルティアにも及んで、オルティアも驚いて攻めて来なかった。 むしろ、ミリティアのみを攻め続けていた。 ミッドランドはその間にも作り忘れた大砲の弾丸を怪しい錬金術師を総動員して作らせ、中に毒を仕込んだ。 その毒は強烈で三十年は草木も生えないという手の込んだ毒だったし、なによりも開発した錬金術師が死ぬ有様。 あんなこんなで月日は流れ、何がなんだかよくわからない三国戦争は終結したが、勝者はどの国でもなかった。 三国とも疲弊して、立ち直れなかったのである。 猛毒の大砲の弾丸は使われることもなかったが、忌まわしいものとして地中深く埋められ葬り去られた。 ミリティア国王の変死の件に関しては、酒に酔っぱらって下着一枚で城を飛び出し、たまたま畑に掘られた穴に落ちた衝撃で頓死したというのが真相らしく、その事実は三国が滅び去ったあと、残された文献によって明らかにされたのだった。 歴史家は言う。 ほんの些細なことで、ことは非常に大きくなるものだ、と。_____________________________________ 思いつくまんまに書いたのでこれといったオチはないです。
墜落「城塞?」 メガネ工房の年取った職人は俺を振り向いて怪訝そうに言った。「今日は日曜日だぞ?」 「しかし」と俺は言い募る。「城塞で王様が裸で殺されたのです!」 終わり! おっと間違えたつづく。「これは重大なテロ事件です。王様の後継者は今、地方巡幸中で不在。この時期によからぬ考えを持つ輩(やから)が国を転覆させようとしているのではないかと」 俺はメガネ職人に力説した。次第に職人も俺の話を真摯に聞き始めたらしく、何か考え込む様子をしている。 やがて職人が俺に問うた。「お前には、犯人の目星がついてるんじゃないのか?」 俺を見据える鋭い職人の目。これが、マイスターの目というやつか。俺は内心舌を巻いた。「いいえ、今のところは皆目。しかしマイスターが現場をご覧になれば、何か閃くものがあるはずだと、俺は直観したのです」「ふむ」 職人は製作途中のメガネを作業机に置いて、軽くため息をついた。「では城、ではなかった城塞へ参ろうか」 俺は職人を連れて城塞に来た。謁見の間の現場は塵一つ動かさずに保存されていた。 職人が、血反吐を吐いて仰向けに倒れている裸の王様──パンツも履いておらず何もかもむき出しのふるちん──の遺体を仔細に眺め回す。これはいささか不敬ではないのか。いかに職人とはいえ、こともあろうに玉体をそのように無遠慮な眼差しで冷然と観察してよいものか!? 衷心から俺はそう思ったのだが口には出さなかった。 やがて職人が顔を上げた。「犯人は分かった」「何ですと? もう分かったのですか!」「簡単だよ。犯人はお前だ」「! ば、バカな、それは濡れ衣です!」「濡れ衣も濡れ犬もあるか。なぜなら今この世界には、お前と私、それからこの王様しかいない。そしてお前の、その格好は何だ」 職人の鋭い言葉に、俺は初めて思い当たった。俺は、王様の衣装を身に着けていたのだ!「ばかたれ。そしてこの世界に衣装といえば、王様の衣装と、マイスターたる私の衣装しか存在しない。その、二つしかない衣装のうち一つをお前が身に着けている以上、お前が王様を殺してその衣装を奪った以外にあるまい。お前が犯人なのだ。この大逆人め!」 ようやく俺は悟った。裸であった俺は、大逆人となる宿命を負っていたのだ。何という呪われた運命。本意ではなかったとどれほど悔いたところで何になろう。大逆人となるのが、俺の星回りであったのだから。 メガネ職人が浴びせる厳しい視線は、俺を焼き尽くさんばかりだった。「いいか。この世界はな、『城塞』『工房』『日曜日』という三本の柱で支えられている。王様も私も、三本のうち二本の柱に関係しているのだ。しかるにお前は何だ。単なる『俺』。『俺』とは何だ? 何を根拠にお前は、この世界に存在しているのだ?」 なるほど。今こそ理解した。俺にとっては、この世界自体が一つの陥穽でしかなかった。しかし、喉元に湧きあがってくるこの妙な笑いは何だ。「そうですかマイスター。俺はどうやら、自分の罪を自分で裁く以外にないようですな」「さよう」 メガネ職人はニヤリと笑った。俺は身を翻し、職人を残して謁見の間を飛び出した。城塞の最上階への階段を駆け上がる。涙が両目からあふれ出た。ありがたい! おのれ自身を裁くに当たって、あまり恐怖を感じていない。むしろ、長年の重荷を下ろせるという解放感すら感じる。 屋上に出た。石を敷き詰めた広々とした屋上で、俺は踊り出したいような気分だったが、気紛れもここまでだ。俺は、はるか地上まで死の深みが口を開けている端へ歩み寄り、眼下に広がる平原を見下ろす。 何のことはない。この世界には王様とあのメガネ職人、そして俺しかいない。そして着るものといえば、王様と職人の二人分しかなかった。俺には着るものがなかったのだ。 俺はまっぱだかの、ふるちん男としてこの世に現れた。俺は王様でも職人でもなかった! そんな「俺」とはいったい、どんな存在だったのだ! 着るものは王様かメガネ職人のどちらかを殺すことでしか手に入れられないとは、何という残酷な現実! 俺の目から、再び涙が滂沱と流れ出す。ああ……なぜ俺は、王様でも職人でもない、ただのふるちん男としてこの世界に現れなければならなかったのだろう? だが、すぐにこの悲しみにも終止符が打たれる。間もなく俺は、自分で自分を裁かなければならないからだ。 俺は深呼吸をしてニヤリと笑い、両足のバネを思いっきり利かせて身を躍らせた。「ヒャッハー!」 とても残念だった。生涯の最後に当たって、自分の口から出た末期の叫びがこれなのだ。俺は墜ちていく。なぜ俺は裸だったのか。そして、裸の自分をどうして、大逆を犯すほどに恥じねばならなかったのか。 王様の衣装を着けた俺は墜ちていく。ああ墜ちていく。哀れな道化。 その時、真っ逆さまに墜ちていく俺の目に、謁見の間の窓が映った。 死んだはずの上半身裸の王様が、メガネ職人と一緒に俺を指差して大笑いしていた。
決戦▲必須お題:「城塞」「工房」「日曜日」▲任意縛り:王様が裸で殺される なミステリー小説にする 日曜日の昼下がり、たまに吹き上がる風が清々しい秋晴れ、洗濯物ならすぐに乾くだろう。どこに行くにも最高の行楽日和になるだろう。結婚を申し込むのにも最高の日になるだろう。乾燥した大地に対面し、陣取る女王様と王様。雌雄を決する最後の戦いに双方の陣営は固唾を呑んでいた。 不毛な戦いが始まろうとしていた。 女王様。沈着冷静、冷酷無比、その美貌から、氷の智将、スノーホワイト、クールビューティーなどと呼ばれている。 王様。一騎当千で皆の信頼も厚く、親しみを込めて女王の玩具、裸の王様、脳筋馬鹿、水虫などと呼ばれている。 女王様と王様、二人は幼馴染だった。「私が勝ったら、私の婿になりなさい」「俺が勝ったら、今後一切俺に構わないでくれ」「いいわ。私が負けたら、貴方を無傷で殺して、工房で綺麗な剥製にして、裸のまま毎日蹂躙して一生大事にしてあげる。キャッ♪」「納得してないですよね? 言っている事に照れる要素が全くありませんからっ。怖いって、それ俺が勝つ意味があります? お題無理矢理使ってません?」『全ては女王の為に! 全ては女王の為に!』 決戦の時間が近づき、女王の陣営からの掛け声が空気を震わす。『……』「え? 君達。掛け声とかないの? というか勝つ気あるの? しかもこっちの陣営から向こうの掛け声に賛同したのが聞こえたけど気のせい?」「こっちが勝った所で別にね。向こうが勝った方が面白くね?」「あんな綺麗な女王様の好意を嫌がる意味がわからないよね?」「どうする? 痛いの嫌だし、このまま王様裸にして差し出す?」「まあ、こんなろくでなしの王様でも俺達の為に頑張ってくれたからな」「そうだね」「今回だけだぞ、この糞が」「あはは、俺の扱い酷くない? 何だか目から汗が止まんないや」「うわー、王様泣いてるし、引くわー」「無駄話はそれぐらいにして、そろそろ決着付けない?」「う、うん」 王様には秘策があった。ポケットに入れてある光り物を再度服の上から触り確かめる。「目指すは敵将、女王ただ一人。他は蹴散らせ、全軍我に続け!」 双方の雄叫びがぶつかり合い、大地が震える。 一騎当千、馬に乗った王様を先頭にVの字で進撃する。対する女王は二枚の壁で守られた城塞で待ち構える。「一点集中、壁を崩せ!」「どうやら貴方だけのようね。ここまで辿り着いたのは流石、私の愛する人と言った所かしら」 王様以外全滅し、王様は無傷で捕らえられていた。「最後は私の手で終わらせてあげる」「ま、待ってくれ、せめてちゃんとプロポーズさせてくれ、こんな決着で結婚を決めたくないんだ。実は勝っても負けても結婚を申し込もうとしていたんだ。指輪を用意してある」 あら、いつもなら表情に出ない女王が頬を染めていた。「いいわ、離しなさい」 ポケットから王様は小箱を出し、女王の前で片膝を着き、箱を開ける。女王の目を真っ直ぐ見据え、「貴女を一目見た時から、私は心を奪われ、貴女に全てを捧げようと心に誓いました。永久に愛すると皆の前で誓います。どうか受け取って下さい」 女王は目に涙を溜め、「ふつつかものですが、よろしくお願いします」 王様は指輪を手に取り、女王の左手の薬指に指輪を、「隙あり!」 女王の頭の白い鉢巻を王様は奪った。「やったー! ヒャッホー! 赤組の勝利だ! ウヒー! あれ?」 王様の小躍りも束の間、『うわー、やりやがった。最低。鬼畜。この外道が、カスが、下衆が、クズがろくでなし。水虫。糞虫…etc』 全校生徒にボロクソに言われ、王様の心は裸にされて殺されていた。と言っても過言ではない。 鉢巻を返し、自分の鉢巻と指輪を差し出し、心からの謝罪と改めてプロポーズをする王様。 ここまで全て計算通りと、女王は冷徹な微笑みで承諾した。
マルメガネ様。拝読しました。歴史の一部分で本当にありそうな感じが素敵です。しかも投稿早っ。寺泊遊月様。拝読しました。ミステリーしてて素敵です。ミステリーが書けるって羨ましい。自分。ええ、何でしょうこれは。