あけましておめでとうございます。 ことしのさんごは、れいねんとかわらず、まいぺーすになるとおもわれます。 けっさくせんくらいできるといいかもしれませんが、なんとも……。 ほそぼそとまいしゅうやっていきますので、よろしくおねがいします。 ひらがなでかいてみました ---------------------------------------------------------------------------- ●基本ルール 以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。 ▲お題:『狐』『御神酒』『遅刻』 ▲任意お題:『人工衛星』 ▲表現文章テーマ:なし ▲縛り:なし ▲投稿締切:1/12(月)23:59まで ▲文字数制限:6000字以内程度 ▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません) しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。 ●その他の注意事項 ・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要) ・お題はそのままの形で本文中に使用してください。 ・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。 ・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。 ・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。 ●ミーティング 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。 ●旧・即興三語小説会場跡地 http://novelspace.bbs.fc2.com/ TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。 -------------------------------------------------------------------------------- ○過去にあった縛り ・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など) ・舞台(季節、月面都市など) ・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど) ・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど) ・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど) ・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など) ・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など) ------------------------------------------------------------------------------
与平は稲荷のお狐さまに参るのが日課だった。稲荷は村のすぐ近くにあり、剥げかけた朱塗りの鳥居をくぐると、みすぼらしい姿で鎮座している。与平はその場所へと僅かな御神酒を持参し、毎年の商売繁盛や疫病などのお守りを祈願するのだった。ある日の事、与平が御神酒を持ってお稲荷様の元へと参拝する際、ついつい出来心か御神酒を口にしてしまうという不心得な出来事が起こった。与平はそれは毎年のお稲荷の神通力が身にしみていたので、決して軽んじた訳ではなかったが、生来のおっちょこちょいかつ与太な性格が祟ってか、ついつい手を出してしまった。一杯手を出せば二杯目も欲しくなる。二杯手を出せば、三杯目も欲しくなる。そうして祠に辿り着く頃には、すっかり与平は出来上がっていた。与平は事もあろうか、お稲荷さまの前に殆ど空になった徳利を置くと眠りこけてしまった。さて、そうして遅刻した与平が眠りについた晩の事、丑の刻頃にすっかりお怒りになったお稲荷様が石像の化身を借りて出てこられた。さて怒ったお稲荷様、与平をどうにか懲らしめてやろうと与平の嫌う借金取りの姿へと化けてみた。それから与平を叩き起こすとこうおっしゃる。「やい与平、お主はまだワシの貸した二両ほどの借金が残っておるというのに、神様頼みでこのような所でねそべっておる。どういう事じゃ」与平は驚いて目を覚ますと、目の前の借金取りにたいへん怯え、寝ぼけた頭で意味もわからず口走った。「あいやお稲荷様、どうかその節はお許しくだせえ。おいらは決してお稲荷様の化けるところなんぞみちゃいねえ」そう言い終わると半眼で気持ちの悪そうな顔をして、再び寝入ってしまった。夢の中で夢を見るなんて、なんてえ奇妙な夢だ、とつぶやいている。さすがの神通力を持つお稲荷様もこれには訝しんだが、与平の寝ぼけた顔を見ている内にどのようにでも成れと思ってしまい、与平の袖からいくらかの銀をちょろまかすと、こおん、とひと泣きして人里へと出かけていった。いやはや、責務があるとはいえ、与平が怠惰な時分は、早くこうすれば良かったのだ、とお稲荷さまは一人呟いた。町の灯はお稲荷さまを暖かく迎え、自分の守ってきた町や町人がとても楽しく暮らしているのをその目で見つめた。ああ、このような路銀を盗んで、わしは少々気が短かった、とお稲荷様は後ろめたい気持ちを感じつつも、食べたかった天麩羅蕎麦といなりずしを共にたいらげ、湯屋で一局囲碁を打った。そうしてすっかり町人の享楽を満喫したお稲荷様は、対局相手から飲みかけの徳利をいくばくかで譲ってもらうと、気持ちのよい状態で暗い夜道の帰り道に提灯を揺らした。そういえば、あんたあの借金はもう取り立てたのかい。あんたも悪いね。そういや角に住んでた富吉は首が回らなくなっちまって、文字通り首を釣っちまったそうだね。色々と声をかけられた事が思い出されたが、どうにも物騒な事ばかりであった。そういえば、今わしは一度だけ見た、与平の借金取りの姿をしておったのだ、とお稲荷様は気づいた。見慣れた杜が近づくと、お稲荷様は楽しんできた我が身を忘れて一息つく自分に気がついた。やはり住処が一番落ち着くものだと感じるのだった。しかし、そこからが奇妙だった。大いびきを掻いていた与平の姿が見当たらない。そういえば暗がりでよく見えないが、薄ぼんやりと視界を遮るはずの鳥居も見当たらない。お稲荷様は祠が鎮座していた場所に近づくと、あっと声を上げた。そこには与平の顔によく似た地蔵が座っていたのだ。声もなくただ目を白黒させて驚くお稲荷様の後ろから、人影が近づいてくる。人影は驚くお稲荷様の肩を叩くと、お稲荷様はあまりの寒気と驚きで尻もちを付いてしまった。しかし、お稲荷様のその姿を見て人影は言った。「ああやれやれ、首折りの与平ともあろうものが、最近はすっかり物狂いになっちまった」お稲荷様は与平に似た地蔵を見た。由緒書きには永世(えいせい)地蔵、とだけ書かれており、与平の文字は見当たらなかった。
神官がうやうやしく御幣を振り、祈願祭を執り行っている。 その神事の行われている場所は、宇宙センターの一角であり、発射台には最新鋭の人工衛星が搭載されている大型ロケットが空に向かってそそり立っていた。 人工衛星の名前はアマテラス。古事記に登場する太陽の女神だ。 集まった関係者はみな神妙な顔をして、神事をする神官と最新科学技術の粋を集めて建造した人工衛星アマテラスを搭載した大型ロケットを見やる。 祈年祭が滞りなく終わり、御神酒が振舞われる。 かわらけの盃に注がれた清酒を口に運んだロケット工学者のトキノ博士は、舌を刺すようなそれでいて灼熱感を覚えるようなその味わいに顔をしかめた。「いよいよですね。先生」 御神酒に酔ったのか少し顔を赤らめた所長が言った。「ええ」 短くトキノ博士が答える。「ところで、この前にセンターに迷い込んだ狐はどうしましたか?」 トキノ博士が聞いた。「ええ、無事保護して、野に放ちました。殺生はいけませんからね」 所長が博士に答えた。 ふさふさとした尻尾をした狐がセンターに迷い込んできたのは、ロケットの建造も終盤を迎え、最後の点検が行われていたときだった。 どこから入り込んできたのかは全くわからなかったが、ちょっとした騒ぎになって捕獲することになり、そのために貴重な時間がほんの少し削られたほどだったが、発射日時を順延するほどでもない。 トキノ博士はその騒ぎを知っていただけに、ちょっと気がかりだったのだ。「そうですか。それならよかったです」 博士が胸をなでおろす。 宇宙センターのある島は、もともと誰も住んでいない無人島だった。その無人島には様々な生物が住み、多様性に富んでいた。 宇宙センターの建造にあたっては、近隣の島からかなりの抗議運動が展開され、メディアもこぞって記事ネタに取り上げ社会問題とさえなっていたところである。 候補地もかなり挙げられていたのだが、結局この無人島になった。 トキノ博士は宇宙センター開設以来、この島に移り住んだが、かなりの動物を目にするにつれ、少しばかり心苦しさを感じ始めていた。 人工衛星アマテラスが搭載された大型ロケットが打ち上げの時を迎えたのはそれから数日後のことだった。 遅刻することもなくいつもどおりに宇宙センターに行った博士は、秒読みが開始されるといつも以上に緊張していた。「五秒前…四、三、二、一。発射!」 ロケットが轟音と煙を巻き上げて、発射台から大空に向かって飛び上がっていく。 打ち上げは成功だった。ロケットブースターが切り離され、宇宙空間で展開した人工衛星アマテラスは順調に軌道に乗り、地球の周囲を周回しはじめたのだった。 興奮も冷めやらない人工衛星の打ち上げが終わって、宇宙センターを後にした博士が自宅に戻る。 山荘のような別荘のようなこぢんまりした自宅のログハウスに入ろうとしたとき、床下から狐が這い出てきて、博士は腰を抜かしそうになった。 床下からは何かが鳴いている。「生まれたのか…」 床下を覗くと子狐がいた。 狐は用心深いと聞くが、さしあたってここが安全とふんだのか、博士の知らない間に床下に巣を作っていたらしかった。「お祝いづくしだな」 博士はちょっぴり嬉しく思ったのだった。
場所は種子島、みなさんご存知、日本で唯一ロケットをあげることができる施設がある島です。 そのロケット打ち上げ施設でのお話でございます。 次の日、人工衛星うちあげを控え、ロケットのチェックはおわっているのですけど、不安で胸がいっぱいになり、えんえんと同じとこをチェックしている男がおりました。 田中太助というのですが、この田中がチェックできるのは一部だけ。何度も何度もチェックするのですけど、そんな何度も同じとこをやっても、無駄だと、みんなから信頼されている田中のたずさわる機械が不具合をおこすわけがない、と上司の命令で帰宅を命じられます。 それでもこの田中、そんな何度もチェックしても、満足いかない。落ち着かない男です。けれども施設のもどってチェックするわけにもいきません。そこで田中は神頼みと、神社へお参りしにいこうということになりました。 神社へとむかう道中、田中は手ぶらでいって、少々のお賽銭で神様が願いをかなえてくれるとは限りません。 そこで、立派な一升瓶のお酒をかっていきます。酒がわからない田中、ともかくたかいのを、とかったら名前が「魔王」だったのですけど。 ついでに、道中でおあげさんを買いました。付近で一番大きい神社がですね、そう、狐の奉られたお稲荷神社だったのでございます。 神社につくとですね。少し困ります。お賽銭箱はあるのですけど、おあげとお酒をどこへおけばいいのかがわかりません。 仕方なく社務所にいくと、神主さんがきて、うけとってくれました。 その神主さんがお酒好きでして。 「魔王」にびっくり。これはいいものをありがとう、ちょっとまっててくださいなんていうものですから、待っていたら。神主さんが一升瓶をもってきました。しかしラベルなどはなにもついていません。 神主さんがいうには、それは御神酒といい、一度神様のささげたものをさらに神様からうけとったものだといい、素晴らしい力をさずけてくれるものなのだそうです。 田中はこれはいい、と頭をさげて、心底いたみいります、 田中は神社もでるときも何度もふりかえっては、頭をさげてありがたそうに御神酒を胸にいだき、かえっていきました。 田中は家にかえると、またロケットのことで頭がいっぱいになり、不安でイライラしてしまいます。 夜になり、ねようとしても、ねつけません。 そこで御神酒をのんで寝ようとおもいたち、御神酒を、飲むときのために買った升にいれてのみました。ふと気付くと、田中は意識を失っていました。 朝おきると、寝るのがおそかったのと、お酒をのんだせいか、少し寝坊していました。 遅刻してはいけないと、急いで施設に向かいます。 どうにか間に合い、自分の担当部品をチェックしていると、ずきんと頭がいたみました。 田中の担当はエネルギー注入用のチューブの一部だったのですけど、頭のいたさで、ふと下をみたとき。 なんと、エンジンの一部から、シッポがでていました。 頭をふり、一度水をのんで、もう一度みても、やはりエンジンの一部にシッポはみえます。 基本黄色で、さきっぽが白い、もふもふしたくなるシッポです。 田中は自分の担当部分ではないのですけど、あまりに心配になり、その部分の担当者にチェックをお願いしました。 どうして? といわれて説明にこまります。 相手にはシッポがみえてないようですから、狐がエンジンの一部に化けているかもしれない、などは説明できません。 どうしても、とたのみこんで、チェックしてもらったら不具合がありました。 小さなヒビがあったのです。 ちょっとのヒビでもエンジンはこわれ、打ち上げ失敗につながります。 一度の打ち上げで100億くらいかかるモノであり、失敗すれば、それが一発でぱぁになり、多くのかかわった人間に類が及び、影響ははかりしれません。 それを事前に防ぐことに成功したのです。 みんな喜び、田中に感謝しました。 人工衛星の打ち上げは延期され、後に成功いたしました。 あのことをおもいだすたびに、田中は。 狐につままれたような気持ちになるようです。