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RSSフィード [151] 即興三語小説 ―そろそろ一体何回目になったんだか?-
   
日時: 2013/12/08 22:37
名前: RYO ID:fnS/FKDw

2013年もいよいと12月だけですね
ま、そんなことは関係なく、仕事は次から次に来るわけです。
そろそろ三語もどうにかしたいと思うわけですが、
これもずっと前から言ってますね。
……そういえば、クリスマスを忘れていました。
予定立ててないやw
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「暗証番号」「個人情報」「遁走」
▲縛り:なし
▲任意お題:「にわか雪」「歯型」
▲投稿締切:12/15(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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Re: 即興三語小説 ―そろそろ一体何回目になったんだか?- ( No.1 )
   
日時: 2013/12/14 00:55
名前: げたのはがた ID:aM6K3UbA

 孝紀が大学をひけて下宿先の最寄り駅から原付に乗ったのが午後一時頃。にわか雪が降りだし、ほどなく已んだ。空はうす曇りのままである。郵便局に寄って三人待ちのキャッシュコーナーに並び、きょうは暖かいのにと不思議に思う。朝方の冷えこみは少々厳しくなってきたが日中はまだそれほどでもない。手袋を何枚もかさねる程ではない。雪をみるのは今年初めてだが、これで初雪ということになるのだろうか。天気予報によれば東北以北ないし北陸の幾県かはもう既に雪だるまが逗留しはじめている。
 やがて順番がまわってき、常日頃からあやふやになりがちな己の生年月日を確かめるように必要な手順をこなした。暗証番号は元号の下一桁と誕生月・日との組みあわせからなるが、孝紀にはこれがうまく憶えられない。生年月日のみならず、氏名、住所、所属といった所謂個人情報がまるで出てこない場面が頻繁にある。自分のことだろうと友人からからかわれるのはともかくとして、初対面の人間を相手におのれの名前を思いだせず「なんだっけ」を連発して眉を顰められたにはさすがにわがことながら閉口した。孝紀自身はひそかにこれをなんらかの疾患であろうと踏んでいる。いつからはじまったという自覚はないが、中学校を出る頃までは少なくともこんなことはなかった。ひろく取ってここ五、六年……あるいは三、四年ほどを境に、症状が出始めたということになる。受験・面接各種をなんとかのりきってきたはきたが、実生活に影響をきたしていることは否めない。
 もっとも孝紀はそういう症状を愉しんでもいる。自分でも意外ではあったが、そういうふしがあると発見したときは心躍った。――脳わずらい、と自虐的にわが身を規定し、そのことばのもつ侮蔑的なニュアンスに酔った。酔っている自分を醜悪だと思いこそすれ、ずぶずぶとやり場のない後ろめたさの吹溜りへ気分を追いこんでゆくのは堪らなかった。まっとうに生きられるところを歩んでいるのだから、これからもなんとか生きていくつもりならいつまでも続けていられない、そういう種類の遁走であることは自覚しつつも、腐臭のする桃色の脳味噌がなにか得体のしれない条虫に食いあらされていく様を想像する時間は増えつつある。
 郵便局を出てしばらく走ると曇り空からこんどは雨が落ちてきた。
 はじめはしとしと降りだったのが、次第に雨脚を増していく。アパートの駐輪場に原付を停めるときにはすっかり濡れ鼠となっていた。ヘルメットボックスに仕舞ってあった鞄から鍵を取りだすと二階へ通じる階段をのぼりかける。と視野の右手に違和感を覚えて立ちどまる。
 隣家と階段とのあいだには猫の額ほどの庭があり露出した土にあれこれと孝紀には名前のわからぬ草花が植わっているが、その庭土に下駄の歯型らしき足跡をみつけたのである。
 ――ははん、爺さんか。
 すぐさま管理人である老爺の姿が脳裡に泛んだ。まだ下駄を履いているらしい。つっかけだとするにしてもいい加減寒かろうに。それともあの齢になるとこのくらいはへいちゃらになるものなのか。しかし泥濘んだ土のうえを歩きまわれば素足も汚れる。それとも指股の割れた靴下でも穿いていたんだろうか。
 きらいな人ではなかったが、どこかよく思えない感がぬぐえずにいた相手を慮るようなことを考えているのに気づき、不思議に思う。身内でもないのにと考えると同時に、身内ということばのこそばゆさに顔が半分ゆるみ、半分ゆがんだ。老爺、という属性一点に因って、かつて懐いていた九州の祖父を思いだしているのかもしれない。ずいぶん小さい頃に死別したが、背の高い、飄々とした人だった。中折れ帽が好く似合った。家族ぐるみで本州に渉ってきてからもことあるごとにあちらへ戻っていたようで、孫である孝紀はそのたびキーホルダーを貰った。金属性で持重りのする、小児には適当でないかもしれないものが大半だったが、孝紀はむしろそのことを喜んだ。ひんやりとして重厚であることがなにか誇らしく感ぜられた。桜島の溶岩なる小さな黒い石片をごてごて盛りつけたコンパス附きの一品を孝紀はいまもって机の抽斗にしまっている。出せといわれればすぐに取りだせるだろう。形見分けには昭和新山のキーホルダーを貰った。短絡とはしりつつ、これは北海道のものだからもしかすると火山が好きだったのかもしれないとも孝紀は考えている。
 昭和新山といえば――と連想が孝紀の実家附近に住んでいた眼科医のことに至ったとき、濡れたままだった身体がひとりでに顚え、柵状をなす手摺子にしたたか膝をぶつけた。
 妄としていたうちも雨は已まず、くだんの足跡はあとかたもなかった。

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