Re: 今日も今日とて60分三語! 今週は一週間三語とのコラボです ( No.1 ) |
- 日時: 2011/07/31 23:12
- 名前: 昼野 ID:0ZUAXdfo
川辺に立ち、空を見上げる。夏が過ぎ去り、入道雲が消えて無くなると、空は急に遠く感じる。先日、ウィスキーを飲み過ぎた僕の腹は、遠い空とは相反して、嵐が吹き荒れており、下痢を催していた。しかし、僕はここ最近、下痢をもよおした際に、便所に駆け込む、という行為に疑問を持っていた。地平線の見えるような草原で、堂々と下痢をしてみせる野生動物を思うと、便所に駆け込むことが、滑稽なことに思うのだ。 下痢をするために便所に駆け込むことが歪んだ事に思える。僕はもっと野生動物のように、太陽のように、単純に生きることだって出来る。それが反社会的な行為であると言うなら、歪んでいるのは社会だ。 肛門から出たばかりの熱い下痢のように不可解な生、僕はそれを、肯定する。この下痢を、肯定する。 そう思いながら僕は川の水を眺めていた。下痢による腹痛を感じながら。川の水は、何の形もしておらず、常に変化し続けている、下痢のように。 不意に、僕に話しかけるものがあった。女だった。それと同時に、僕は盛大に下痢を漏らした。女は、ものすごい美少女だった。美少女は、僕が下痢を漏らしたことに気づかずに、「ここのスイミングスクールってどこですか?」と、地図を指差しながら聞いた。この美少女に嫌われたくないと思った。僕は、下痢を漏らしたことを少女に気づかれないように、神に祈った。僕は急に、有神論者になった。ついさっきまで生をしか信じない人間だったのに。社会から逸脱したくないと思った。何故ならこの美少女とリンクしたいからだ。性的な意味において。 僕は下痢を漏らしたことを少女に悟られまいと、平静の表情を崩さずに「ここはですね……」と言った時だった。少女は鼻をつまみ、「臭い……」と言った。僕はこの世の終わりだと思って、その場から走って去った。 ずいぶん走った。川の下流へ向かって走った。目端から涙がこぼれた。このまま走れば海に辿り着くだろうと思った。股ぐらは下痢まみれのままだった。 海には結局、辿り着かなかった、そんなもんだろうと思った。疲労して止まった所は、まだ川だった。川は泥臭かった。海の潮の匂いのようなロマンはひとかけらもなかった。これが現実なのだろうと思った。しかし、と僕は思った。現実を現実として受け入れてばかりいたら、僕はけっきょく悲しみの圏域にとどまり続けることになる。僕は疲労した足に鞭を打って、さらに海の方へと走った。
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