Re: 即興三語小説 ―冬はもうそこ― ( No.1 ) |
- 日時: 2013/11/11 20:42
- 名前: マルメガネ ID:cE6mLuuc
隠れ家の山小屋
斧で薪を割り、それを薪ストーブの一種であるロケットストーブにくべて暖を取る。 ただそれだけでもかなりの労働だ。 ロケットストーブを焚きつけるのにも一苦労する。 「ビッグボーイの調子はどうだい?」 掘立小屋のような隠れ家にやって来た製作者が聞きに来た。 ビッグボーイとはアメリカの巨大かつ強力な蒸気機関車であるが、それにあやかってネーミングしたのかどうかは知らない。 「ああ、調子いいよ。焚きつけの時、送風機回さないと炎を吸い込んで燃えないのが難点だがね」 私はそう答えた。 「よかったら、燃えているところ見たいが、いいかい」 と、製作者。 「どうぞ」 私はそのように言って、掘立小屋のような隠れ家に案内した。 ワイルドで隙間風が吹き込む粗末な造りの隠れ家には、ロケットストーブは強烈な威力を誇る 「ふんふんふーん」 と、鼻歌混じりに製作者が見回し、欠点を書き留めてゆく。 製作時にそれらの欠点を考慮し、そして改善するのに使うのだろう。 外はまた天候が変わって、荒れ模様になってきた。壁の隙間から容赦なく風が吹き込み、トタン屋根を雨が打つ。 それでも優秀だった。欠点があっても。 私はコーヒーを一杯、製作者にふるまった。 寒い時にはまたこれがうまく感じられるのである。
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