Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.1 ) |
- 日時: 2013/04/30 00:20
- 名前: 霙 ID:VD8eS.xE
とある老人の日常
老人はロッキングチェアーに揺られ、ぼんやりと眺めている。テーブルの上には半分まで空けたグラス、懐中時計が開かれて置かれている。午後の心地よい風に青柳が靡く。時間を忘れそのまま眠気に誘われて…… 老人は既に止まっていた。どんな夢を見たのだろう。または過去の回想。苦痛のないその表情は安らかともいえる。繰り返しロッキングチェアーに揺らされると、腕は垂れていた。 日も落ち、部屋も暗くなる。 老人の額から補助灯が照らすと、老人は起動し体を起こす。溜息一つ。 まだ、まだ死ねないのか…… 機械化した体の自分を呪う。長生きしてねと老人に勧めた家族にも恨みが込み上げてくる。懐中時計を口の中にしまい、家族から送られてくる映像を頭で処理し、スリープモードに切り替える。 味気ないオイルの残りを流し込むと、留守番を頼まれた老人はまた、ロッキングチェアー型充電器に座り、一人揺られる。
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