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RSSフィード [10] リライト企画 Vol.1
   
日時: 2011/02/06 20:41
名前: HAL ID:XOUVmzNo
参照: http://dabunnsouko.web.fc2.com/

 ミニイベント板にてお試しで立ち上げてみたところ、思いのほかご好評をいただきましたので、あらためてこちらで正式にスタートさせていただきます。皆様ふるってご参加くださいませ!
 リライトとは……という説明は省略します。リライトってどんな感じなのかな、と疑問に思われたかたは、ミニイベント板のお試し版をご参照くださいませ。


■ 原作の提出について

* 原作の受付期間: 2011年2月6日(日)~2月13日(日)24:00

* 原作の長さ: おおむね原稿用紙20枚以内の作品とします。
「自分の作品を、誰かにリライトしてみてもらいたいな」という方は、期限内にこの板に、直接作品を書き込んでくださいね。
 また、今回は、お一人様につき一本までの提供とします。ほかの作品もお願いしてみたいんだけど……という方がいらっしゃったら、声をかけていただければ、後日第二回を設けますね。

* また、原作を提出された方は、最低1本以上、ほかの方の作品(選択は任意)のリライトをしていただくようお願い申し上げます。
(この制約はお試し版にはなかったのですが、今回から設けることにしました。なるべくたくさんのリライトがうまれたほうが、読み比べるのが楽しいという個人的な欲望です)

* リライトは、文章面の改稿という意味だけでなく、キャラクター、設定、構成等の大幅な改編、二次創作に近いようなストーリーの追加等もあり得るものとします。
 そうした改変に抵抗のある方は、申し訳ありませんが、今回の企画へのご参加は見合わせてくださいませ。

 せっかく提出したけれど、誰もリライトしてくれない……ということもあるかもしれませんが、そのときはどうかご容赦くださいませ。ほかの方の作品をたくさんリライトしたら、そのなかのどなたかが、お返しに書いてくださる……かも?

* 著作権への配慮について
「ほかの方からリライトしてもらった作品を、いただきもの等として、自分のサイトやブログに展示したい!」という方がいらっしゃるかもしれませんが、必ず、リライトしてくださった方の許可を得てからにしてください。
 また、許可がもらえた場合でも、かならず執筆された方の筆名、タイトルを付け直した場合は原題、企画によりご自身の原作をもとにほかの書き手さんがリライトしたものである旨を、目立つように表示してください。


■ リライトされる方へ

 どなた様でもご参加可能です。むしろどんどんお願いします!

* リライト作品の受付: 2011年2月14日(月)0時から受け付けます。
(原作とリライト作品が混在するのを避けるため、原作の募集が終わってから投稿を開始してください)
 書けたらこの板に、直接書き込んでください。

* タイトルまたは作品冒頭に、原作者様の筆名および原作の題名を、はっきりわかる形で表示してください。

* 投稿期限: 設けません。いつでもふるってご参加ください!
 ただ、何ヶ月もあとになると、原作者様がせっかくの投稿に気づいてくださらない恐れがありますので、そこはご承知くださいませ。

 こちらに置かれている原作のリライトは、原作者様の許可を得ずに書き出していただいてけっこうです。ぜひ何作でもどうぞ!
 また、「作品全体のリライトは難しいけれど、このシーンだけ書いてみたい……!」というのも、アリとします。

* 著作権等への配慮について
 この板へのリンク紹介記事などを書かれることはもちろん自由です。ですが、リライト作品を転載されることについては、原作者様の許可を明確に得られた場合に限るものとします。
 また、許可を得て転載する場合にも、オリジナル作品と誤解を受けないよう、原作者様のお名前および原題、原作者さまの許可を得てのリライトである旨を、かならずめだつように明記してください。


■ 感想について

 感想は、こちらの板に随時書き込んでください。参加されなかった方からの感想も、もちろん大歓迎です。よろしくお願いします。

 また、リライトした人間としては、原作者さまからの反応がまったくないと、「あまりにも改変しすぎたせいで、もしや原作者様が怒っておられるのでは……」という不安に陥りがちです(←経験談)
* ご自分の原作をリライトしてくださった方に対しては、できるかぎり一言なりと、なにかの感想を残していただけると助かります。


■ その他

 好評でしたら、いずれ第二回を設けたいと考えています。でももちろん、こちらの板でどなた様か、別のリライト企画を立ち上げられることには、まったく異論ありません。

 そのほか、ご不明な点などがございましたら、この板に書き込んでいただくか、土曜22時ごろには大抵チャットルームにおりますので、お気軽にお尋ねいただければと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします!

メンテ

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リライト作品 薄墨色の歌 (原作:弥田さん『歌と小人_』) ( No.13 )
   
日時: 2011/02/14 00:59
名前: 山田さん ID:44EMoiRA

 原作が持っている雰囲気に共感できる部分が多々ありました。
 なのに中途半端なリライトになってしまいました。

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 薄墨色の歌 (原作:弥田さん『歌と小人_』)



 緑のこびとに出会ったのは夜の帰り道、めまいがしそうなほど広い田んぼの中を通る、一本の田舎のあぜ道でのことでした。林檎のような丸いお月様が、わたしを蒼く照らし出す、酔ってしまいそうなほどに幻想的な夜でした。妙に心が弾むようで、それでいてなんだか無性に寂しい、心に変なもやがかかってしまって自分の気持ちがよくわからない、そんな夜でした。
「そこのお嬢さん」
 暗がりから飛び出してきたその緑のこびとの第一声です。
「歌いたいのかい?」
 その緑のこびとは頭のてっぺんが、わたしの腰の高さまでしかありませんでした。
「ねぇねぇ、どうなんだい? 歌いたいのかい?」
 それは質問ではなく、自信に満ちた、強く念を押すような語りかけでした。緑のこびとは言葉を続けます。
「歌いたいんだろう? 答えなくてもわかっているさ。お嬢さんは歌いたがっているんだよね。ぼくは緑のこびとだからさ。それくらいお見通しなんだよ」
 まるで急流のような早口でそれだけ言い終わると、ゆったりとした、今までに見たことのない踊りを始めました。ゆっくりと、ゆっくりと、両手で大きな円を描きます。両足で小刻みに拍子を取っているんだけど、体は全く上下に揺れていない、まるで空中に浮かんでいるような踊りでした。そんな緑のこびとの踊りを見ていると、わたしの胸のあたりが、わたしの体から切り離されて、まるで緑のこびとと一緒に空中を舞っているような感覚に襲われ始めました。
「さあ、歌いたいんだろう?」緑のこびとが再び訊ねてきます。いや、それはむしろ歌を歌うための合図のように思えました。
 ……そうなのかもしれない。緑のこびとの言うとおり、わたしは歌いたいのかもしれない。いやわたしは歌いたいんだ。
 わたしは深く息を吸い込み、もう少しで空中に霧散しそうになったわたしの胸のあたりの感覚を取り戻すと、今度はわたしが緑のこびとに訊ねました。
「ねえ、緑のこびとさん。それはなんという踊りなの?」
「月の踊りだよ。さあ、お嬢さん。早く歌いなよ。歌詞がわからなくても、節を知らなくても、どうってことないんだよ。思いつくまま気の向くままにさ。どうせ誰も見ちゃいないんだし」
 歌いたい。歌いたい。わたしはこんなにも歌を歌いたかったんだと、自分でもびっくりするくらいにそのことに気が付いたのです。だけど、何を歌えばいいのでしょう。一番好きな流行り歌にしましょうか。それとも学校で教えてくださったお歌にしましょうか。なかなか決めることができません。いえ、決められないのではなく、歌を歌いたいのに、歌いたい歌がないのです。なんというもどかしさ。このままでは、わたしの中の何かが荒れ狂ってしまいそうです。たとえようもない波にさらわれてしまいそうです。そんな何とも言えない感覚に襲われます。それは今までに味わったことのない焦りと恐怖でした。歌を歌いたいのに、歌いたい歌がないなんて……。
 緑のこびとはそんな焦りと恐怖に駆られているわたしを踊りながら無表情に見つめていましたが、ふいに不敵な笑顔を見せるとこう提案してきました。
「歌いたい歌がないのなら、お嬢さん自身が歌になればいいんだよ」
 一体どういうことでしょう。わたし自身が歌になるとは。わたしのことを歌えばいいのでしょうか。それともわたしが歌に変身するべきなのでしょうか。
「さあ、思いついた詞を歌ってごらん。思いついた旋律を歌ってごらん。何も考えず、何も心配せず」
 そう言われてわたしはやってみました。大きく息を吸い、頭の中を一度空っぽにして、そうして思いついた詞を、思いついた旋律にのせ、ゆっくりと歌い始めました。
 先の詞なんて心配することはない。前後のつながりなんて気にすることはない。一言一言、一文字一文字を大切に旋律にのせて。歌う。歌う。歌い続ける。あぁ、いい気持ち。とてもいい気持ち。なんていい気持ちなんだろう。わたしの中にあった焦りと恐怖が、荒れ狂ってしまいそうになった何かが、詞とともに、旋律とともにわたしの体の中から流れ出ていきます。
「なかなかいいじゃないか、お嬢さん」
 流れ出ていく感覚と入れ替わるように、これまた今までに味わったことのない不可思議な感覚が、胸を中心にして体中に拡散していきます。いえ、そうではありません。感覚ではなく、わたし自身が拡散しているのです。わたしの手が足が体が、林檎のような丸いお月様に蒼く照らし出された夜のしじまに拡散していくのです。それは肉体の消滅です。それは精神の消滅です。そしてそれは存在の消滅です。それでも恐怖は全くありません。拡散していく存在に反して、歌が高く高く澄んでいくのがわかります。さぁ、もっともっと冴えわたるがいい! あのすまし顔のお月様に届くくらい、高く高く、もっと高く、ずたずたに切り裂いてやれるくらいに鋭く!
 緑のこびとはわたしの歌に合わせて踊っています。わたしは歌の拍子をどんどんと速くしていきます。緑のこびともそれに合わせてどんどんと踊りを速めていきます。もはやそこには緑のこびとはいません。わたし自身もいません。そこにいるのは「踊り」と「歌」だけなのです。
 いまや月光ですら、わたしたちを照らし出すことはできません。緑のこびとは踊りとなり、わたしは薄墨色の歌になったのです。
 蒼く明るい満月の夜。わたしは緑のこびとと共に世界を祝福します。わたし自身の旋律となり、緑のこびとの踊りの周りを舞います。もっともっと高く透きとおって。もっともっと鋭くなって。みんなを、全てを、ズタズタになるまで祝福してさしあげます。
 林檎のような丸いお月様が、冷たく地上を照らしていました。

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