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RSSフィード [18] 意訳詩
   
日時: 2011/10/31 12:06
名前: 闇の吟遊詩人(闇雅人) ID:Ru30e.qY

昔、私がTCの常連だったころ、管理人の闇さんに提案して拒否された企画(苦笑)。裏でやるならいいでしょう。参加は自由です。ちなみに「外国の詩」を「教科書的に直訳」せず、「意訳して日本語の詩」にする「意訳詩」というジャンルはあります。上田敏の『海潮音』や、佐藤春夫の『玉笛譜』などがその例です。

なお、TCから離れるにあたり、私の記事は全て削除しておきます。私の企画で孤軍奮闘してくれた「うんこ太郎さん」の応援のために「一時的に」投稿したランボーの詩も削除します。では、失礼致します。もう二度とここへは来ません。

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ゴキブリは詩になるか? ( No.20 )
   
日時: 2011/12/23 13:04
名前: うんこ太郎 ID:bukAMnu6

 たとえば日本人同士であっても上司や部下や同僚といった周囲の理解を得ながら仕事を進められるようになるためには、それなりの訓練を必要としますが、外国語で外国人と仕事を進めることは絶望的なくらいに大変な気がします。伝えたいことがきちんと伝わらなければ、単純な仕事であってもいたずらに複雑になってしまいます。
 同じように、外国の詩の訳に関しても、しっかりと要点を掴んで訳すことができないと詩はとんでもない方向にいってしまうのかもしれません。ただし、詩の場合は(趣味のうちであれば)とんでもない方向に行ったところでそれは苦しいというより、楽しいものにちがいないと思いますが。
 さて、ようやく二十回めの詩になりました。決して諦めないで、根気よく訳し続けることで、何かを得ることができれば良いと思っています。貴重なスペースをいただき、というか勝手に使っているのですけど(^^;、ともかく大変ありがたく思っています。
 この意訳詩を開いてくださった皆様、ありがとうございます。まだ少し早いですが、どうぞ良いお年を!

※ ※ ※

 今回の詩はVIVIAN SMITHというタスマニアの詩人の作品です。この詩にはゴキブリが登場するのですが、それがうつくしい光景になってるのでこの詩に出会ったときには新鮮なおどろきがありました。そりゃあゴキブリだって命ある生き物なのですから、偏見を極力排除すればうつくしいにちがいない……。
 まあ、そうなんでしょうけど、やっぱりゴキブリだからいくら大切な命でもちょっとくらいは嫌ですよね。ほんのすこしくらいはねえ。

タイトル:Night Life
作者:VIVIAN SMITH

<意訳>

夜のいのち

午前二時に目がさめると
カラスが窓をこつこつと
つついている音がする
ふと見ると大きな枝が折れている
私はもういちど眠りにつくことができず
あなたを起こさないように
ゆっくりベッドから抜けだす

食べ物をとりにゆき、それから静かに
読書をしようと考える
ゴキブリがキッチンの床を横切ってゆく
うるしを塗ったような背中は素早く
そして種のように乾いている

外では百合の花が月の光をたたえ
コップのような花冠をもちあげる
百合はみずからの存在を
なみなみと満たしてうちふるえ
夜の湿りのしたたりを
ちいさな花の匙ですくう

夜のおと すべてが呼吸をしている
鳥は毅然とする木々の間を移り
ナメクジやカタツムリは落ち葉をそっと食む
蛾はこわれやすさを運んで飛んでいる

夜のいのち 昼間とはちがういのち
私たちが見つめようと見つめまいと
関係なしに続いてゆく
まるで蟻たちがながくながく列をつくり
ここからあそこへと
食べ物を運んで行くかのように

※ chalice lily:ただの百合?それともタスマニアの花でしょうか……。
chalice : 聖杯、杯状の花 lily:百合


¶∴ ¶∴ ¶∴ ¶∴ ¶∴ 


Night Life
BY VIVIAN SMITH

Disturbed at 2 a.m. I hear a claw
scratching the window, tapping at the pane,
and then I realise, a broken branch,
and yet I can’t turn back to sleep again.

Slowly, not to wake you, I get up,
thinking of food, perhaps a quiet read.
A cockroach runs across the kitchen floor,
its lacquered shell as quick and dry as seed.

Outside the chalice lily lifts its cup
in adoration to the mirrored moon,
full of purpose as it trembles there,
collecting drops of moisture on its spoon.

Noises of the night, it’s all alive,
birds shifting in the steady trees,
slugs and snails eating fallen flowers,
a moth freighted with fragilities.

Nocturnal life, the other side of things,
proceeding whether we observe or not,
like rows and rows of brown coastal ants
transporting food from here to another spot.

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