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RSSフィード [33] ふかみどりいろのおじさん
   
日時: 2011/08/19 01:10
名前: 端崎 ID:OVU5DC5Q

つるべおとし、だそうです。どうでしょう。

二時半まで。

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すないぱーぐりーん ( No.2 )
   
日時: 2011/08/19 03:28
名前: 影山 ID:ZbXzgunM

 苔むしたゴブリン、それがアンヌルギスの第一印象である。彼の一族は代々、将軍家に仕える兵士であるという。話の途絶えた時、彼はいつもその話をしていた。遡れば十代以上昔の祖先から、忠義を誓っているんだ。と。元々は槍の名手であった一族は、尖兵として名を挙げ、やがて武器を勲章代わりに与えられた火筒に持ち換える。
 初期は弾道定まらず、爆弾に近いモノだったものを、長く研究して改良を加え続けた結果、それは王国唯一の射撃武器と変わったのだ。アンヌルギスの背負った愛筒はその中でも随一の性能を誇るという。装填数は六発。射程は早駆け十分の距離。骨に当たれば骨を砕き、腹に当たれば腸をほどく、つけた名前は『ねじり槍』。
 予想地点が良く見える位置に、岩盤を大樹が砕いたようなくぼ地があった。丁度岩と岩の隙間に挟まるように、アンヌルギスは身を沈めた。体を折りたたむと、まるで岩場に隠れた亀や蜥蜴のようだ。両の肘と肘がねじり槍を支え、窪んだ頬が角度を調整する。
 瞳の大きさと銃星の大きさが一致して、直線を描くと完了する。
 彼は水一滴飲まずに一週間でも二週間でも固まって、敵が道を通るのを待つのだ。

 彼の祖先は代々将軍に仕える一族であったという。
 名鑑を捲れば確かに初代は勇猛な武将として名を連ねている。
 だが、頁を捲るごとに彼の祖先は様相を変えていく。
 人より小さい体に、まるで火筒を抱えるために生まれたような長い腕。
 森の中で溶け込むような、緑の肌。
 彼の口から母のことを聞いたことは一度も無い。

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