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RSSフィード [28] 真夏のスマイリーホラーイベント!
   
日時: 2011/08/15 22:56
名前: 片桐秀和 ID:SuER3296

今日は趣向を変えて、ホラーイベントを行います。
誰もが笑顔になれる戦慄のホラーイベント(?)、ということで、「笑顔」というお題を作品に盛り込み、作品を仕上げて下さい。
締め切りは本日0時。
なお、このイベントに投稿した作品を、後日一般板に投稿しなければならない、という縛りをもうけます。再投稿の際に、推敲、改訂をするのは自由。あまり気負わずに参加できますよー^^。
では、スタート。

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真夏のスマイリーホラーイベント! ( No.1 )
   
日時: 2011/08/16 00:00
名前: 水樹 ID:fddo6PRo

スマイル女


スマイル女って知ってるかい?
女はストローでコーヒーをかき交ぜていた。白と黒とが混ざるとなぜ茶色になるだろう。そんな事を思っているのかもしれない、男の言葉は届いてはいない。交差する人々をただ見ている彼女に、
「スマイル女って知ってる?」
たいした話題で無いのは男も分かっていた。会話を求めていただけだった。
「何それ? 面白いの?」
と言いたげな目線だけ送る。
「ちょっと怖い話だね、都市伝説みたいなもんさ、聞く?」
遠慮がちに尋ねる。彼女は興味を示したのか男に顔を向けた。
「スマイル女、文字通り笑顔の女だね、この人はただ笑っているんじゃないんだ」
そうなの? と表情で返事はない。男は続ける。
「人には色んな表情があるよね、その女の人は今まで一度として笑った事はないんだって、ずっと真顔のままだったんだ、嬉しい時も悲しい時も」
なぜ? と疑問に思わせるのに成功した。男に目を合せる彼女、
「それはと言うと、彼女の素顔を誰も見たことがないんだって。彼女は誘拐されたのか出生は秘密なんだ、父親と言われる男性にずっと監禁されてたんだ、血の繋がりは定かではないけど。ある日、父親と言われる男性の死体が見つかった、捜索した警察によると、生活していたのは二人、父親とスマイル女さ」
彼女は少しイライラしていた、本題には触れていなかったからだ。
「まあ、そんな目しないで焦らず聞いてよ、その家からは夥しい血だまりが二つあったんだ。一つは台所で顔がグチャグチャの父親の血だまり、もう一つはベッドでの血だまり、検査の結果、ベッドの血だまりからは、二人の人間からだというんだ、なんでもスマイル女は身ごもっていたらしい、その父親の子供を」
彼女はただ男を見ていた。怖がっている風にも見えない。
「精神状態とかは分からないけど、父親は無理心中を図ってわけだね、だけど、刺されたスマイル女は、身籠っていた子供のおかげで、助かったってわけさ、自分を刺して、自殺したのを確認すると、父親の顔をグチャグチャに切り刻んでは鼻を削いで、耳を削いで、唇を削いで、何度もフライパンで叩きつけた後、スマイル女は姿を消したってわけさ」
彼女は俯いていた。男はちょっと怖がらせたのかなと、
「もうやめる?」
「続けて」
彼女の腹の底から声が聞こえた。
「それからさ、スマイル女が人気のない、夜道に現れるようになったのは、見た人の話だと、ああ、これはネットでの噂だと、腹から腸をはみ出しているんだって、だけど、それはスマイル女の腸なんかじゃなくて、刺された赤子の脳味噌なんだ、自分の腹からはみ出た赤子の脳味噌を振り回すスマイル女、顔がグチャグチャでけたたましい笑い声を発しながら、追っかけているスマイル女、聞いた人はスマイル女が笑っているじゃない、お腹の赤子、脳味噌を振り回されている赤子が笑っているんだって、自分の脳味噌を玩具にして楽しんでいるって話さ」
途中から彼女は聞いているのか男は分からなかった。自分の話に夢中になっていたとも言える。
「つまらない話してごめんね」
「そんな事ないわよ、面白かったわ」
頭からではなく、彼女のお腹から声が聞こえた、寒気がして貧乏ゆすりする男の足から、水溜りに入るビチョビチョと音がしていた。

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