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RSSフィード [20] 一週間三語百回記念、突発一時間三語。って、もうよくわからん。
   
日時: 2011/03/27 00:06
名前: 片桐 ID:sTKqH49U

さーてやります。一時間三語。

「運河」「明かりに誘われて、ノコノコ出てきた貴方が悪いんですよ」「飢えている」「生きるということ」「世界が回っていることに気がついた、酔っ払い」

上記のお題から三つ以上使って作品を仕上げてください。締め切りは1時。多少の時間オ-バーは問題ありません。途中までしかかけなくても、とりあえずの成果として投稿するのもありです。

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一匹ヒツジと群れるオオカミ ( No.3 )
   
日時: 2011/03/27 01:10
名前: 片桐 ID:sTKqH49U

群れることをきらう羊がいた。柵のなか、群れなす仲間からはずれ、一匹で空ばかり見つめている。彼の名はヨードリ。

 ヨードリは考える。生きているということを考える。そうすると少し偉くなって気分になって、何も考えずに餌を食べ、排泄し、子供を産んで育てる周りの連中が愚かしく思えたのだ。しかしヨードリはあくまで羊だ。かれの持つ習性はどこまでも孤独を嫌う。危険を感じたらそそくさと仲間のもとに帰り、困難の中で震えるよりなかった。そんな自分がひどく情けなく、格好わるい存在と思えてしかたない。
だからヨードリはまた独りになって、夢想する。そんな時、ヨードリが眺めるのは、遥か遠く、ビリジアン色をした山だった。

 ――あの山には狼がいるという。独りで狩りをして、独りで眠り、死ぬ時さえ独り。僕はそんなモノになりたいのだ。

 ヨードリはある日、柵が壊れた一角に気づくと、ついにかれが数年暮らした世界から抜け出した。柵を一足でれば、ヨードリは震える。かれのぬぐいがたい習性が、危険信号をけたたましく鳴らした。

 ――怖い。今すぐにでも引き返したい。だけど、きっとこんな気持ちを抱えて狼たちは生きているんだ。僕は狼に会いたい。あって確かめたい。生きるこということはどういうことか。そして、死んでいくとはどういうことか。狼ならばきっと教えてくれる。

 ヨードリはこれまで多くのことを考えてきた。しかし考えることによって失ったこともある。ヨードリはそんなことに気づかず、ただ狼にあって、かれらの話を聞きたいという一心にだけとらわれていた。

 一匹羊ヨードリの長い旅。
 草原を進むと、運河に行き当った。ヨードリは渡り方がわからず、何日も右往左往して、ようやく橋を見つけ、緊張した足取りで渡っていく。その橋の欄干に、一羽の渡り鳥が止まってヨードリを見ていた。
「ねえ、きみ、きみ」
 ヨードリははじめ自分に声がかかったとは思わず、そのまま通り過ぎようとしたが、目の前に渡り鳥が羽ばたいてきて、ようやくその声が自分に向けられていたのだと気づいた。
「なんでしょう?」
「なんでしょうって、きみは羊だろう」
「羊です」
「じゃあさ、どうしてこんなところにいるんだい? 羊ってのは、いつも柵の中で仲間といっしょに暮らしているものだろう」
「僕は他の羊とは違うんです」
「ああ、確かに違うだろうさ」
「僕は狼に会いたくて、これから橋をわたり、山に向かう途中なのです」
「やはー、これは相当の変わり者だ。旅をするというならまだしも、狼に会いにいこうとは! きみ、それがどういうことか分かっているのか?」
「僕は知りたい。狼にあって色んなことを尋ねたい。考えているのはそれだけです」
「ふーん、まあきみの命さ、止めやしない。しかし忠告するよ。狼という連中はきみが思っているようなやつらじゃない。きっと後悔することになる」
「ありがとう。でも、僕は行くことにします。もう引き返すことはできない」

 ヨードリは渡り鳥と別れると、橋を渡り、ついに山の麓へとたどり着いた。
 薄暗い山道を少しずつ登っていく。
 高くそびえる木々。絡まったつた。ヨードリは体中に傷をつけ、身体にまとった毛さえ抜け落としながら、それでも彼は、ひた進んだ。
 そこでヨードリは狼に出会う。しかし、彼が見たのは、孤独に生きる狼でなく、群れ成して寝そべる狼たちの姿だった。
 ヨードリは訳がわからず混乱するが、もう引き下がることはできない。
 一匹の狼のもとに近づいていった。
「こんにちは。狼さん」
 その狼は、まさか羊が一匹でこんな山の中にくるとは思いもしなかったのだろう、見たこともない生き物をみるように、ヨードリを睨んだ。
「なんだ、奇妙なやつがきた。おまえはいったいなにものだ?」
「僕は羊です。名をヨードリと言います」
「名前? それはいったいなんだ?」
「僕自身を示すもの。僕が自分で付けました」
「ほう、で、そのヨードリ羊が、いったいこんなところの何用だ?」
「生きているということ、死んでいくということを教えてください」
「そんなこと俺が知るもんか」
「でもあなたは狼でしょう。狼は一匹で生きて、一匹で死ぬ。あなたなら僕に答えをくれると思ったのです」
「流行らない、流行らない」
「え?」
「俺たちは確かに狼さ。昔は独りで狩をした。独りで眠り、独りで死んだ。だがな、今はもう違う」
「いったいどう違うんです?」
「そりゃ昔はそんなことを格好よく思ったやつもいたがね、今ではなんでも効率よく、さ。狩をするのも、子供を育てるのも、死んでいくことさえ独りじゃない。誰かがいつもそばにいる。面倒ごとを考えるのもやめだ。俺たちは腹いっぱいになったら、寝るか遊ぶか。今おまえを喰わないのも、腹いっぱいになってるからさ」
「じゃあ、じゃあ、僕の知りたいことはわからない?」
「考えもしたことがないね」
 ヨードリは言葉を失って、その場に佇むよりなかった。

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途中です。

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