エロなしグロなし♪ ( No.4 ) |
- 日時: 2011/11/07 00:44
- 名前: 弥田 ID:DUEu0/u2
少女は肉まんを食べていて、ときどき美味しそうに顔をほころばせる。僕はその内容物について聞くこともなく、少女のやわらかい臀部の下で、じっと椅子になったままかたまっている。動くと鞭がとぶから、みじんとも動かないままかたまっている。 「おいしいよ」 と少女は言う。きみも食べる? と差し出されたのを、舌で舐めて、それ以上はどうしようもない。それだけで胃が痙攣して、内臓がもつれてこんがらがったような、肺の空気がどろどろと溶けて粘液と化したような、強い吐き気をおぼえて苦しい。 瞬間、空気の裂ける鋭い音がして、右のももが熱く焼ける。遅れて冷ややかな痛みが来たので、ようやく鞭でたたかれたことを理解する。 食べないの? と少女が聞く。今度は鼻先にまで差し出されて、なんとか囓ろうとするのだけれど、くちびるに触れたとたん硬直する。吐き気が苦しくて、ふたたび鞭。いぎ、と痛みに声が漏れ、それでもどうしても身体が拒否するので、ただ左右に首を振っている。 「食べれないんだ」 の言葉にうなずく。じゃあ、いいよ。と少女は笑って、肉まんにかぶりつく。ほ。と安堵した隙に、キスされて、十分に咀嚼した肉の塊が、唾液にまみれて、口移し……。思わず飲みこんでむせるが、げほげほと咳き込むばかりで吐き出せない。からえずきばかりして、嘔吐の感覚が静かに繰り返される。 少女が笑っている。哀れげにひきつる僕を見て、くすくすと少女が笑う。みるからに楽しげで、バッハなんかを鼻歌いしながら、やたらに鞭をせなへと振り下ろしてくる。臀部がもぞもぞと動いて、そのたびに、素肌と素肌がこすれあう感覚。熱さと冷たさと、吐き気とやわらかさと、繰り返される連続がからえずきして、死んだ誰かの肉だけが、胃の中でじっとかたまっている。 「おいしかった?」 首を振ると、少女は笑うのをやめ、愛しげな目つきをする。 「じゃあ、もう一口食べようか」 ちいさく赤い唇がかみつく。白い生地はどこか女の肌にもみえて、それがきもちわるい。先ほどここで泣いていた彼女も、そういえばこんな色をしていた。いまはもう、じっとかたまっている。 少女の顔が近づいて、口内でよくこねられたのが、ふたたび、……。 再度はげしくからえずきしていると、ふいに冷たい風が吹く。開け放された窓から流れ込んできて、火照った素肌を撫でていく。 「交代だね」 「交代だね」 と、僕らは言う。 「なにがしたい?」 「えっと、うんこはもういいや。もっと優しくて気持ちいいのがいい」 「そっか」 少女の手足を縄でしばると、身動きも取れないようで、じっとかたまっている。芋虫のようにうごうごしながら、小首をかしげる。 「なにをするの?」 「ないしょだよ」 鞭をあてると嬌声があがって、あとは熱にうかされたまま、風を待ちつつ、少女と永遠に繰り返す、夜。
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