久しぶりのミニイベントです。今回は、五指の中から一本を選び、それをテーマに一作書いてください。ジャンルは問いませんので、ご自由に想像力を膨らませてくださいね。文字数は2000字程度を目安に。締め切りは夜の11時。遅れそうな場合は、チャットでその旨をご報告いただけると助かります。それでは、執筆をお楽しみくださいませ。
痛痒い 左手親指が何か変だ。 強烈な猫キックを食らってひっかき傷を負って一週間経った頃。 指関節の付近に発疹が出ていて、最初は煙草の点火の際に火傷をしたと思っていたが、そこからどんどん膨らみ関節を中心に楕円形に膨らんでいった。 押すと痛みはないが、痒い。 痒すぎてかき壊し、出血。そのうち体が怠くなってきた。 患部がどんどん膨らんでソラマメ大になった頃、病院に走った。 診察時、神妙な顔つきで資料を調べる医師。「ああ、それなら猫ひっかき病と思われます。抗生剤を出しましょう」 医師が資料を調べ、現物の患部を診てそのように言った。 処方された抗生剤を欠かさず飲むと、膨らんでいた患部がまた痒くなってきた。 厚く皮が張り、中心から裂けて剥がれ落ちる。痒い。 処方されて一週間後にまた病院に行くと、とりあえずは落ち着いたらしく抗生剤は処方されなかった。 だんだん元通りになってゆく親指。新しく新生した皮膚が張ってきている。 あかぎれになったときどうしよう。
その人の左手の小指に触れたとたん、私は小さく声を上げた。もっていたやすりが転げ落ちて固い音をたててテーブルとぶつかる。店内の視線が一斉に集中するのがわかって、頬が熱くなった。「申し訳ありません」慌てて謝ると、その人はいいんです。とふわりと淡い笑みを浮かべた。初めてみる顔だ。準急までしか止まらない中途半端な大きさの駅のテナントに入っている小さなネイルサロン。訪れる客の8割は常連さんだ。飛び込みのお客もいないわけではないがひどく珍しい。その人は年の頃は20半ばだろうか。薄化粧しかしていない様子なのにきめの細かい白い肌に形の良い目鼻。十分に美しいはずなのに、まるで日陰に咲いた花のようにはかなげで寂しげな印象ばかりが際立っている。着ているものもシンプルすぎるワンピースだ。注文は爪の甘皮のケアとカラーリング。彼女の選んだ色はベージュピンク。元の爪の色とほとんど変わらない。そして、彼女の左手の小指は恐ろしく冷たかった。指によって多少の温度差があることは珍しくない。しかし彼女の小指はその一本だけ長い時間氷水にでもつけておいたかと思うほど冷たかった。「最初に言っておけばよかったですね」彼女はそう言って小さく頭を下げた。「いえ、こちらこそ」曖昧に返事をして改めて冷たい指を手入れしていく。細かいやすりで皮膚を擦り、爪を整えネイルを塗る。さっとはけをつめにすべらせると、広がった色は暗い赤。「申し訳ありません!!」悲鳴にも似た声で私は叫んでいた。よりによって色を間違えるなんて。しかしはけにのこった色は間違いなくベージュピンクだ。では、爪を傷つけてしまったのか。「大丈夫、あなたは悪くありません」暗い赤色に染まった爪と指をそっと胸元に抱えるように隠して彼女はもう一度寂しげに微笑む。「指切りをした私が悪いんです。マニキュアをすればもしかして、と思ったんですけど。ありがとうございました」私が何か言うより早く女性は席を立ち、会計を済ませてしまった。店を出る時彼女は冬でもないのに黒い手袋をつける。その手袋は奇妙なことに左手の小指の部分だけがきりとられ、露出するようになっている。暗い赤色ニ染まった爪と冷たい小指を出したまま女性はあっという間に雑踏に消えてしまった。終わり
彼女の足には六本の指がある 死んだら誰だかわかるのでとてもよいと彼女はいう ――という歌がある。ほんとうにあるので信じてほしい。いや信じなくてもいい、ちょっと思いだしただけだから。 友人の知人に(つまり私自身は彼のことを直接は知らない。彼も私のことを直接は知らない)片手の指が四本しかない男がいる。 ありがちな話か? そのとおり。 二十代の半ばに勤務していた工場で機械に巻き込まれ、指一本を失った。 いまは保険をうけながら自宅でアニメをみながら暮らしている……と四年前に聞いたのである。現在どうしているのかは知らない。その友人とも離れてしまったから。 友人というのは女である。そしてこの私は女ではない。 つまりそういう事情があるのだから、おそらくこの先指を失った男の話を彼女から聞きなおすこともあるまい。そもそも彼女自身が未だに男と連絡があるのか定かでない。男と彼女とは六歳ほど歳が違う。むろん彼女が年下である。私と彼女とは三歳違う。これは私が年上である。つまり男と私と彼女の順に三歳ずつ離れている。そのことについての話は、ない。 聞きなおすというのは、男の失った指が五指あるうちのいずれであったのかということ、そもそも右手左手のどちらの指であったのかということ、持っている障害者手帳の等級はどの程度のものであったのかということ、およびそれらに準ずるような下卑た興味もろもろである。なぜそんなことを考えるか――私もつい最近彼同様の手帳を持つようになったからである。こんなことになってから会うひと会うひとに愕かれたりものすごい目でみられたりするようになったが、仔細を語ったことはない。よくあることだから。 はじめは思うようにいかなかったことどもに困ることも今となっては殆んどないし、かつてあったものがない生活にも、もう馴れてしまった。 指のない男について話していた女に触れていた私のほんの一部が喪くなったのを、時折思いださせられるというばかりの話。
エレベーターが五階に着くと、息子の隆弘は毎度勢いよく飛び出す。隆弘曰く、おじいちゃんに会えるのがうれしいのだそうだ。私の父は、もう二年以上もH病院に入院している。毎週水曜日になると、私は隆弘を連れて見舞いに訪れるのが習慣になっていた。母は十年前に亡くなり、他の兄弟はほとんど見舞いに来ない。ただ住まいが病院と近いという理由だけで、私たちに見舞いが押し付けられている。そう、押し付けられているのだ。 隆弘は、下履きをスリッパに履き替えると、エレベーター正面にある看護師詰所にパタパタと足音を立てて近づき、近藤です、いつもお世話になります、と慣れた口調で云い、五階の隅にある病室へと駆けて行った。走っては駄目だと毎度注意はするのだが、隆弘は一体何が楽しいのか、笑みさえ浮かべて父の病室へ急ぐ。 隆弘に遅れて私も病室のドア開いた。 そこにはやはり父がいた。大がかりな医療機器に繋がれた父。歩くことはもちろん、しゃべることも、排泄することも、息をすることさえ一人ではできないわが父。そう、私の父は交通事故で脳に重症を負い、今は脳死状態でいる。『楽にしてあげようよ』 そう云ったのは誰だったろう。私の兄か、義理の妹か。いや、口にはしないだけで、家族や親せきの誰もがそう思っている。回復の見込みはないと、医者からさんざ云われ、残った決断はいつ生命維持装置を外すかということだけだ。私が許せないのは、その決断を、暗に私に委ねているということ。おまえが一番面倒を見ているんだから、最期をいつにするかはおまえが決めたら良い、などと云われた。そんな薄情なことをよく云えたものだと怒り狂うように云うと、自分たちはもう心の準備ができているとあっけなく返された。「ママ、おじいちゃん今日は嬉しい、って」 私の逡巡に、隆弘の声が割って入った。見れば、父の左手に頬を当てている。「何がうれしいって?」 今となっては隆弘の優しさがかえって辛くなる。数週間前から、隆弘は時々、父の言葉を代弁するようなもの言いをする。当然私を気づかっているのだろう。この病室に来るたびに、そして父の哀れな姿を見るたびに、私はさぞ悲壮な顔をしているに違いない。そんな私の気持ちを和らげようと、おじいちゃんがこんなことをいっているよ、と話しかけてくるのだ。「水曜日は、ママと僕が来てくれるから嬉しいんだって。この前義信おじさんも来たけど、面倒くさそうにしているばかりだったって」「あら? 隆弘、先週おじさんが病院に来たことどうして知っているの?」「え? 知らない」「だって、今そういったでしょう?」「おじいちゃんがいった」 いや、そんなはずはない。どこかで私の電話を盗み聞きしていたのだろう。いやまて、私が兄が見舞いに来たと知ったのは、先日の昼、隆弘が幼稚園に行っている間のことではなかったろうか。では、なぜ。「ねえ、たかちゃん、おじいちゃんは、他に何かいっている?」 腑に落ちないままに、私は聞いてみた。隆弘はいったん首をひねるが、父の左手に自らの頬を押し当てると、眼を瞑って集中するようなしぐさを見せた。「庭のマリーゴールドは枯れていないか心配だって」 おもむろに告げられた隆弘の言葉に私は絶句した。 確かに父の家の庭には、マリーゴールドが植えられていた。定年を過ぎて家庭菜園に凝りだした父が、色合いがはっきりしていて良いと気に入っている花だと聞いたことがある。しかし、そんなことを隆弘は知っているはずはないのだ。隆弘はまだ満足に字も読めないし、マリーゴールドなどという花の名を私からも一度たりとも話したことはない。「どうしてそんなお花の名前を知っているの?」 私は問う。「おじいちゃんがいってるんだって。ねえ、ママ、マリーゴールドって何?」 混乱してしまった私は、突然知りもしないはずのことを口にするようになった息子をじっと見つめる。ベッドに横たわる父の左側に立ち、左手の、その中指あたりを頬にペタリとつけている息子。その中指が、一瞬、ほんの一瞬動いたように見えた。「ねえ、たかちゃん、おじいちゃんの指が動いているの? それを感じるの?」「よくわからない。でもね、こうしてると、おじいちゃんの声が聞こえる気がするの」「ママにもできるかな」「やってみれば?」 私は息をのんでわが父の元へ歩み寄り、隆弘がするように、父の左側で腰をかがめ、最早意識の通わないはずの父の左手、その中指あたりに頬を当てた。 どれほどそうしていただろう。どれほど神経をとがらせただろう。しかし私には、父の指の動きを読み取ることはできず、ただ細い指の冷たさばかりが感じられた。「ねえ、父さん、私よ、みどりよ。わかる? 父さん。わかりますか?」 私はボロボロと涙を流しながら、何度も語りかけた。本当は分かっている。すべては偶然に違いないのだ。奇跡など起きるはずもない。しかし、ろくな会話もできないままに脳死状態となった父と、ほんの一瞬でも言葉を交わせるなら、それがなんであれすがってみたい。 どれだけそうしていたのか分からない。傍らにいる隆弘が心配そうに私の足に抱き着いてこなければ、そのままずっと茫然自失としていただろう。隆弘は、声を殺して泣いていた。「ごめんね、たかちゃん。ママには上手く聞こえないみたい。たかちゃん、もう一度さっきみたいに、おじいちゃんの言葉を教えてくれない?」 隆弘は、こくりと頷き、父の左手の中指に頬を当てた。「おじいちゃんはなんて?」「えっとね、もう十分だよ。これまでありがとう、だって」「ねえ、それってどういうこと?」 私の問いかけに隆弘は答えない。頬を当ててはいるが、首をひねるばかりで、もう何も聞こえないというふうに、「わかんない」とだけこぼした。 父の葬儀が行われたのは、それから十日後のことだった。ーーーーーーーーーーーーー色々粗いけど、とりあえずこの状態で。おじいさんが昔通信技師をしていた、とか伏線でいれられたら良かった…。後半も、もうちょっとドラマティックにしたかったなあ。でも、今はこれが精一杯でした。
ムラタ辺境公が大の子供嫌いということは広く知られていることだった。幼少時代には良心の愛を弟に取られ、また周囲の悪ガキ共にいじめられる毎日。船上で過ごした青年時代には少年兵のミスで二度も生死の境を行き来するはめに陥った。親を継いで辺境公になってからは浮浪児問題や、養育関連の公的福利のために頭を抱える毎日。とうとう出た言葉が「子供など、今の五分の一ほどに減っても困るどころかありがたい」となった。彼は決して悪い人間でなく、むしろ軍人としても為政者としても評判が良かった。それ故にこの発言は少なからず周囲に驚きをもたらした。口さがない人間は「上等な果実ほど悪劣な腐り方をする」とも言ったそうだが。 その彼が溺愛する妻が懐妊したというので、はてムラタ辺境公は我が子を愛するのか粗末に扱うのかという話題は、四方山話の一つではあるが、その中でも最も人の口に登った話題であった。 彼と妻の蜜月もやはり有名な話で、妻となる人の告白に「君の一つを好きになれば、君の全てを愛してしまう」と熱く言って指輪を送ったという。さてその子供にはどのようであるか。妻の子供を愛さぬ訳がなかろうと言う噂好きの人が半分、妻の愛を子供に取られて憎むだろうというのがもう半分。 出処も知れぬ噂では、側近のものが辺境公に内心恐る恐る尋ねたそうだ。「元気なお子様が生まれると良いですね」 辺境公は「ああ」と頷き、「跡継ぎにひとりは必要だからな」 とだけ答えたそうだ。暗に二人目はいらないと言ったのだと、噂の最後に付け加えられる。 妻のヒグレは旧姓を斎院といい、近隣領土にある家格確かな神社の娘だ。夫が子供嫌いという話は、彼女の耳に届いており、実は彼女も心配をしているひとりだった。 ある夕食。たまたま彼女が付き合いで出払っているとき、ムラタ前辺境公が言った。「おまえ。ヒグレさんの故郷では男女が生涯を一緒に過ごす誓いを立てることを『結ばれる』と言うそうだ。お前たちの婚儀で子指を結びあって誓い合う光景は大層ほほえましかった。その末にできた子供をムス女、ムス子と呼び、大切にする。お前が子供を苦手なのは周知の事実だが、それでヒグレさんに心配をかけさせるんじゃない」 隠居してからというもの、息子へ滅多に口を出さなかった父だったから、よほど見かねるほどにヒグレの心を悩ませる日々があったに違いなかった。だがこの小言に辺境公は素っ気なく答え、父や居合わせた兄弟達を呆れさせた。 人の口にとは立てられぬと言う通り、小間使いが喋ったのか、それとも父が友人に愚痴ったのか、この出来ごとも噂として世に出回ることとなる。「妻と子に掛ける愛情良く似てる。子のゆび結んでちぎるゆえ」と、三味線で誰かが唄ったそうだ。 実際のところ、公が子供嫌いは事実であったが、かと言って蔑ろにしていたわけではない。浮浪児の増加や孤児院の人身売買などに関して、問題が解決には向かわないものの決して拡大もしていないのは彼の奮闘があったからだし、子供関連の福利厚生が財政の負担になっているわりに無くさないのも彼の決定だ。むしろ真剣に向き合ってるからこそ、冒頭のような愚痴が漏れたのかも知れない。それでなくても、この領土は多くの問題を抱えていた。近隣領土との関係も、決して全てが円満に言っているわけではない。 冬入りし、妻の出産も間近に迫った時、国境付近で自国含めて四国が睨み合う小競り合いが起きた。湖やその関連河川の漁業権に纏わるいざこざが発端で、二国間同士でない分、却ってすぐに戦争沙汰とはならなかったが、問題の解決が難しいことには変わらなかった。 ムラタ辺境公と協調路線をとるのは、キタヤマ美髪公と呼ばれる美丈夫で、互いに旧知の友人であった。「今度のことは、単純な諍いに見えて根が深い。上手く振舞わねば長引いて戦になるな」と美髪公が二人だけで杯を交わし合う席でぼやいた。「私はこういった出来事が嫌いではない。だがお前には厄介なことだな。奥方が身重の時期なのに、いざとなってしまえば本拠から離れることになる」 この友の懸念は果たして実現してしまった。ムラタ公は冬を国境で過ごし問題の解決にあたることとなり、その間に妻は出産を迎える。彼が息子と始めてあったのは歳が開けてから更に三ヶ月が経った頃だった。 前領主や兄弟、妻、部下、そして国民が、とうとうムラタ公が子供にあう日が来たと息を飲んでその日を迎えた。公が館に戻り、妻と新生児の待つ部屋へと出向く。彼は妻に近寄ると「待たせてすまない」と謝り、それからようやくわが子の顔を抱き上げまじまじと見つめてから「子供とは厄介だな」と、ため息と共になにかを呟いた。その拍子に抱かれた子供が泣き出したので、あわてて乳母が子供を取り上げ妻へと返す。近くの者たちが「やはりこうなったか」と言わんばかりの顔をし、気をきかせて穏便に主人を部屋から連れやった。 部屋にいたムラタ辺境公の母が、妻に聞いた。「あのどら息子は何て言ったんだい」 妻は少し頬を染めて、「子供とは厄介だなと言いました。それから私に、お前に似てれば愛しさを感じぬわけにはいかぬと」 やれやれと母は肩をすくめた。「本当、どこまで父に似たんだか」と言った。***********大遅刻。。。!!!書く力、なくなったなあと思いつつ投稿です
1さん話の内容はよく分かります。文章には、独特の硬さがあって、それが味になっていると思いました。気になったことといえば、物語性が薄すぎるかな、ということ。こういうことがありました、そしてこうなりました、というだけで終わっているように読めてしまうかなあと。起承転結でいうなら、起承、で終わってしまったという印象。別にそれもありだとは思いますが、もうちょっと人物背景を書くなり、心情を掘り下げるなりすれば、印象もがらりと変わったかもしれません。ご参加ありがとうございました。また遊んでくださいませ。剣先あやめさんクオリティが高いですね。この文字数のなかでよくこれだけまとまったものが書けるものだと感嘆します。過不足ない文章、表現ってこういうものなのだなあと。女が言うところの指切りとは一体どんなものだろうと想像が膨らむ〆も良いと思いました。小指の描写で、読み手の皮膚感覚に訴える感じもまたいい。つくづく、スタイルとして確立されたものをお持ちで、うらやましいです。ご参加してくださって、うれしかったです。また遊んでやってくださいませ。6さん五指のうちの一本をテーマに、ということでしたが、こういう解釈もあるんですね。話の内容は重めというか、ひねくれた暗さのようなものを感じました。文章も、そこで描かれる思考も、諦観を含んだ理屈っぽさのようなものがあって、男の人物像に奇妙な魅力が生まれているように思いました。いわゆる人間っぽい感情が欠落している感じあるのが、この作品の面白いところかな、と。あえて、こういった作品の中に、かすかに残った人間っぽさ(漠然とした言いかたですが)が見え隠れすると、また違った面白さが出るようにも思いました。ご参加ありがとうございました。飛び入りはいつでも歓迎ですので、ご機会があれば、またご参加くださいませ。星野田さん迷っている、と感じました。どういえばいいだろう、方向性が定まっていない感じを受けるという感じでしょうか。国家がどういうものであり、どういう情勢で動いているか、さらにそこの公である男の人となりが前半説明されるわけですが、それを説明するところに力を入れ過ぎている印象があります。この話の核は、子供嫌いの主人公が、愛する妻に似た我が子を見て、彼なりの愛情を抱く、ということだと思うのですけれど、そこに至るまで脇に逸れ過ぎているようにも思えました。ディテールへのこだわりは、凄く良いと思うからこそ、取捨選択があれば、ぐっと良くなるんじゃないだろうか、というのが僕の感じたところです。ご参加してくださって、うれしかったです。また遊んでくださいね。自作。生命維持装置ってなんなんだとか、後半のドラマ性の薄さとか、色々粗い作品になってしまいました。文章ももうちょっとシェイプアップできればいいなあ。でも、楽しく書くことはできました。
今週、いそいろあって感想を書くつもりが遅くなってしまいました…!!久々のイベントで、ウンウン唸りながら書きましたが楽しかったです。> 1さん> 左手親指が何か変だ。 日常……! なかなかこういう物に対して、感想を書くのは難しいのです 個人的には、日常ものの作品には、小さな気づきとか、ちょっとした観察があるとなんかいいなとか思ったりします> 剣先あやめさん> その人の左手の小指に触れたとたん、私は小さく声を上げた。もっていたやすりが転げ落ちて固い音をたててテーブルとぶつかる。 ふわっとした感触で終わる物語だったのですが、二度読んでまた違う感触があるというか。 片桐さんの言う通り短い時間と分量でこれは、かなりの高クォリティですね……ずるい(?) ネイルサロンという舞台は、指をテーマにしたイベントで出てくるのは当然なのですが、自分にはこの発想がなかった……> 6さん> 彼女の足には六本の指がある 今回のイベントで一番好きだったというか、印象に残ったというか、うお、と思ったというか。そんな作品でした。 なんというか、効果的なかんじで、文章や世界がぐらんぐらんとしているというか。作品そのものに、気持ちいいというか、気持ち悪いというか、そんな酩酊感がありました。よかったです。 片桐さんもおっしゃってますが、あえてどこの指と指定せず、しかし「ある一本の指」というテーマを外してないのも、なかなか巧みだなと思わされました。> かたぎりさん> エレベーターが五階に着くと、息子の隆弘は毎度勢いよく飛び出す。 まず初めに、片桐さんっぽい作品だなって思いました(笑。とくに含むところはなく、素直に。 短いながらも、話としてよくまとまっていたと思います。話の終え方を意識して最初から作られているというか。筋が通っていて、読みやすいですね。爺ちゃんの意思を子供が伝えるというシュチュエーションは、ある意味で在り得ないできごとなのですが、それを母親が納得するまでの過程が短いながらにちゃんと描けているのも良いと思います。 関係無いですが、最後のところを「父の葬儀が行われたのは、それから十日後のことだった。(にやり)」とか改造すると、なんか話がガラッとかわりますね。というどうても言い話し……!!! > 自作 自分でも迷子だと思います(笑。今読み返して、ああ、どう書こうか悩んでる悩んでるというのがありありと見えます・・・!