サバイバル
三枚に下ろしたから死んだのではない
お前が私を食べたいと舌舐めずりした瞬間に
私の棺桶がお前の中で形作られた
後はいかに速やかに棺桶の中に入れるか
ただそれだけだったのだろ?

私のお腹のタプタプとたるんでいた脂肪は美味しいかい?
別にお前に食べさせるために育ててきたわけではないが
殺しておきながら不味いとか口が裂けても言うなよ
捨ててしまうなどもってのほかだ

私はいつくるとも知らぬ不確定な死を危ぶみながら
それでも綱渡りを必死でしてきた
その結果としてここまで生きてきた
それをお前が終わらせたんだ

自覚があるか?
責任なんて軽い言葉ではない
確かな信念を持って殺害という行為に及んだのだな?
その食材…じゃなかった
贖罪を受け止めてくれると信じていいのだな?

でも私は決してお前を許さないよ
お前が苦しみ抜いて無残に死んでいくことだけを
心の底から願うよ
私の未来を奪ったことを
ぜっっっっっっっっっっっったいに許さない

私の血肉を取り込んで形作られた
お前の体の隅々まで
私の慚愧の念とお前の罪で構成された
「永遠の罰」に蝕まれると知るがいい

               サバより
虎竜
2020年09月01日(火) 22時06分24秒 公開
■この作品の著作権は虎竜さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。

この作品の感想をお寄せください。
No.2  虎竜  評価:0点  ■2021-01-20 06:40  ID:g3emUcYnoi6
PASS 編集 削除
今更ですがお返事を。久々に開きました。
何か、生きることの感情を吐露したくてサバに代弁してもらったのを覚えています。
気に入っていただけたなら何よりです。
ここで生きてるんだぞ。蔑ろにするな!!そう自分に言い聞かせてたのかもしれません。
No.1  sooomen  評価:50点  ■2020-12-07 22:55  ID:n4dfsvWekvU
PASS 編集 削除
最後の「サバより」でなるほどなと腑に落ちました。
面白かったです。
個人的に、こういうユーモアな視点とタイトルの遊び方好きです。
総レス数 2  合計 50

お名前(必須)
E-Mail(任意)
メッセージ
評価(必須)       削除用パス    Cookie 



<<戻る
感想管理PASSWORD
作品編集PASSWORD   編集 削除