渾身の右ストレートとATM怪獣
ロボがピピピと爆破した。
ひよこのようによちよちと歩いたあと爆破した。
国家創成技術機械ソフトウェア工学第一課西田らは呆気にとられた。
(研究員の一人だけ妻のことを考えていた)
四月の快哉に、女子高生みたいな言い訳を誓約書に書かされる西田らは、桜を見ない。
桜を見ないのだ。かえって、愉快だ。
愉快なのは、週休二日で来るサラリーマンみたいな怪獣だ。
(気が狂ったように夜のバッティングセンターでスイングいている任意のおじさんを16倍してもらいたい)
呪詛みたいな怪獣が踏み倒すのはATM。
誰もが、コンビニを踏み抜く怪獣だと勘違いしていた。
「怪獣にもプライドがある。それを理解しないとこの問題は理解できない」
日本国民は要人のその名言に「は?」と言いたいのをぐっとぐっと、堪えて、行き場のない感情を忘年会に費やした。西田らを除いて。
西田らは学生時代に一度だけ喧嘩をしたことがある。
それは、本当の本当に世界の終わりに誰も救えないとされ軽蔑され孤立無援のクラスメートのために、
なけなしの勇気を持って、10人のヤンキーとか魔王とか、ゾーマとか、そういう奴らまとめて、世界をまたにかけた喧嘩をしたことがある。

ボロボロになった西田らは、何度負けても笑った。打つんだよ、渾身の右ストレート、鋭い。
怪獣は来る。西田らは打つんだよ、右ストレート。本当に救いに来たんだよ。
詩歌敗北者
2020年02月20日(木) 18時44分44秒 公開
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■作者からのメッセージ
えっ笑

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