旋律
初めから怠慢で、終わっていたもので、それを風船のように膨らますので、結末は知っています。
春のサーカスは滅んで、あるいは移ろいで夏とも言えない微妙な愛想笑いを祖父がした。十秒前に思い浮かんだ言葉を並べて、知ってる言葉とうそのことばに分けて、知ってる言葉をゴミ箱にクリックした
(ただし、ゴミ箱は仮想上に実在する)
あなたらしくないわと世界から自分の生き方から、囁かれ馴致された馬のように盲目に草を食べる
約束されたのは僕のいない間のことで、不在は心を痛める
もういいよ…うんざりだよ…才能なんて無いよ…旋律だけが聞こえてきて、ずれた慰めだけが無意味な人生に極端な鼓舞を与える。
誰もが賢いと思ってる。僕も君も。なんだか、知らないことばかりじゃない。本当は…。
真言を言おうとして逡巡して、人になる。全部わかってたことだから。
この恐怖も痛みも侮蔑も呪いも、いい言葉を生み出そうって神秘主義者みたい。
柔和な感覚だけが、妙に残り、凝り固まった詩を、僕の詩を、やさぐれた僕に詩を、
ずるいと考えながら、一つの唄にする。
もう二度と作れないって、ごめんなさいって、これっきりなんだって、独白する。
心根は死んでる。書いてるのは死んだ惰性。
情熱とかもうそういうの、安売りしたから、僕にはたちよってもくれない
数あるうちのひとつの生で、ここまで、贅沢で傲慢になれたなら、僕はきぅと背徳者。
でも、ね、耳に残るのはずっと   あの旋律。
詩歌敗北者
2019年05月13日(月) 14時25分56秒 公開
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No.1  僅夜  評価:50点  ■2019-06-22 23:10  ID:/2wa7C7PCIQ
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>ただし、ゴミ箱は仮想上に実在する
良いなぁこの語幹、素敵です。
存在するのか、そう思いたいだけなのかわからないけど
確固たる何かがきっとあって否定されることに慣れちゃったんだろうな。
自分だけは肯定する、それだけですよ。
総レス数 1  合計 50

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