いのちと詩と

(一)

消えゆくと知った灯火を
空にあそんでいた掌ふたつで覆い

どうか、どうか揺れないで

風にあおられていた蝋燭は
勢いよく炎をあげていると
おもっていた

明るさと
あたたかさ

代わりに
この手を炎にして

明るさと
あたたかさを
これから


(二)

脱水がきいていないようで
じわじわと滲みでる水が
雫になっておちる時
つゆ明けの光をとおし
おもいでが一瞬
現れては消え
また一瞬
ぽとり
しみは
地を濃くして
はた、と蝉の声
いつのまにかしみは消え
そしてまた、



流るる星
2016年04月09日(土) 00時01分24秒 公開
■この作品の著作権は流るる星さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
去年の夏に書いたものです。

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No.2  流るる星  評価:--点  ■2016-04-23 22:23  ID:YsjZ.3o0GEo
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椎名さん、こんばんは。
真剣に読んでいただいて嬉しく思います。
椎名さんの文を拝見して今後も投稿していきたいな、と思えました。
ご感想ありがとうございました。
No.1  椎名莉音  評価:50点  ■2016-04-15 23:05  ID:hQLqXqXj732
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流るる星さん
こんばんは。
(一)と(二)で、それぞれ火と水という対照的な物質(?)を用いて
詩を仕上げているのが面白かったです。

又、「いのちと詩と」というのは、「いのちと死と」と掛けているのかな?
と推測しました。
自然の循環や、季節のサイクルを表した文章が、いのちと死の循環を
連想させたからです。

僕の解釈が、流るる星さんの意図したモノと合っているかは分かりませんが、
例え合っていなくても、色々な解釈をすることが可能な、素晴らしい詩だと感じました。
総レス数 2  合計 50

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