夏鳥

 秋はまだまだ先
 のはずなのにシギチたちが
 黒々とコントラストを成し砂浜に佇む

 途方もない労力と危険を冒し
 日射し射す真夏に南へ帰るシギチは
 途方もない北で番いを得られなかったモノモノと言う

 泣く蝉より鳴かぬ蛍が身を焦がすと誰かが言った
 節理=神より脱落してしまったオスメス

 せっせせっせと
 番いを得られなかったイワツバメが余所者の雛へ餌を運ぶ

 とうとうたらりとうたらり
 高架下で涼む通りすがりの老夫婦
 ほら
 いろんな鳥が飛んでいるねと微笑む
楠山歳幸
2016年08月08日(月) 22時26分17秒 公開
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