はるか


――仔猫がニャアと ないている


音が沸き立つその場所で
それぞれの時間を歩いているの
同じ空間に居るというのに
違う時間を生きているのよ

――ひとつ 涼やかな響きをもって

青い瞳は私のものよ
他の誰にも見えはしないの
ポケットからなる鈴の音
その耳まで届くのかしら

――仔猫が ニャアと ないていた

赤い金魚の空中遊泳
ゆるやかに おだやかに
そうして私は歩いていくの
仄かな灯りを手に持って

――こちらの空へと ないていた


幾枚か 一筆箋を唇に
彼の言葉をかみ砕いたわ


二月五日

 雪散れば 視界に映る
 花弁の 様も愛しき 心重ぬる

 二月六日

 君知らぬ 心は今も とらわれて
 今も先にも 夢に現る

 三月三十日
 冬過ぎて 日差しが示す 道筋は
 色も香りも 君の季節へ

 四月二日
 桜咲く 心を映すせせらぎに
 明日を見渡し 息は溶けゆく

 四月二十日
 風そよぐ 昔の友を 懐かしみ
 夜の窓辺で 贈る言葉は
    』


文法が正しいかなんて
気にも留めずに描いたのね

――その柔らかな白さをもって

青い世界に心は消えて
光の海を漕いでゆく
貴方の香りに醒めるのよ
そして私は微笑むの

――空いた心を癒すまで

ヤエ
2015年10月24日(土) 00時09分11秒 公開
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■作者からのメッセージ
頭が冷えるまで、なかなか時間が掛りそうです

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No.4  ヤエ  評価:--点  ■2015-10-30 00:57  ID:Uf7XqFVsX0k
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笹竜胆さん
読んで下さりありがとうございます
やはり、読みにくかったでしょうか……
題、そうなんです。最近ちょっと題が、思いつかなくて
仔猫の、もといここに出てくる彼の名前にしました。難しいですね
女っぽさがわざとらしいのは仕様です!と言えたら良かったんですが、私自身、女らしい話し方というのがよくわからなくてこうなってしまった次第です。もっと他の人の作品を読まないといけないと思いました。または日常生活で女性らしさを意識してみます。
お気に入りの表現を褒めて頂けて嬉しいです
ありがとうございました
No.3  笹竜胆  評価:30点  ■2015-10-26 19:35  ID:bolQDReDrOk
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初見ではちょっと重い感じですが、読み返すと馴染みますね。
題はもう少し近くに置くといいかも。
女っぽさが気持ちわざとらしいのは仕様かな。
一筆箋を唇に/光の海を漕いでゆくに華がありました。
No.2  ヤエ  評価:--点  ■2015-10-26 00:54  ID:Uf7XqFVsX0k
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spoonさん
はじめまして!コメントありがとうございます
伝えたいことがきちんと伝わっていて安心しました
描きたいことを詰め込んだ上で遊び心を働かせた結果、読みにくいものになってしまったのではとヒヤヒヤしていました
暖かさを感じていただけたなら幸いです
No.1  spoon  評価:30点  ■2015-10-24 03:56  ID:Erb3OD3fd5o
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はじめまして。大切なものをなくした後の喪失感が伝わってきました。
その一方で、仔猫、鈴の音、金魚、一筆箋などの可愛いらしい要素が散りばめられており、この喪失感の中でも、暖かさや女性らしさを失わずに前進している様子が印象的でした。
総レス数 4  合計 60

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