チェロ組曲 ywv693


いつものように目新しい朝は冷たくて
優しいような厳しいような
タタミが
右の頬をはなれ
より目の鼻先から広がって
縁側のきしむガラス戸が開いていて
庭の空間は花畑

絶対優しいふとんは押入れの中
タタミの中にもぐり込もうにも
あそこの石の下にいるミミズだってむずかしい
にゅう、と力をこめてタタミと対決してみる

陽は庭のシブ柿の木の網目を
まっすぐにくぐり抜け
ふすまに届くと白いまだら模様になって
くものすの壁画

向こうのテレビニュースはこもって聞こえるが
父の声は甲高く、母にお茶を/所望致す!」
母の声はおどけて/オッケーベーリグー!」
顔は見えないが、
お殿様とピエロの表情が小気味よい

何にも変わらない
何にも変わらなかった
タタミの上で



游月 昭
2015年04月18日(土) 11時27分23秒 公開
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No.2  游月 昭  評価:0点  ■2015-05-15 00:13  ID:Uo9G./ERXDk
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陽炎さん、こんばんは。

十分返信の内容を考える余裕が無く、かなり時間が経ってしまった事をお許しください。
「たたみ」が基礎になりますが、題名からすれば、板張りの方がしっくり来るのでしょうが、どうも畳で育ったもので、そこから広げさせていきました。

チェロの演奏を目の前で聴いたことがある方は、天から降り注ぐヴァイオリン演奏とは違って、地を這ってくる振動の上に身を置くことになる感じが分かると思います。

純和風の家族模様とチェロ組曲が合うかどうか。
私は自分の子供の頃の光景を思い浮かべました。


ywvはbwvをモジリました。
単に私の詩の693作目(単なる作品番号)という意味で使いました。

コメント感謝します。
No.1  陽炎  評価:40点  ■2015-05-08 18:40  ID:fyQPGnl9bAM
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遅ればせながら、感想を

朝の風景を「タタミ」を中心に?描いているんですけど
縁側があって、朝陽が当たっていて
庭には春の花が咲き乱れていて

タタミは、フローリングにはない味わいがありますよね

多分、お父さんは座椅子にあぐらをかいて
「お茶を所望」し
お母さんは前掛けかなんかしながら朝ごはんの支度をしていて

この二人のキャラクターを想像すると、とても面白いな
と思いました

ごくごく日常的だけど、陽だまりな感じがいいですね

タイトルの意味はちょっと解らなかったですが(^^;
総レス数 2  合計 40

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