あぶく
 


木々のざわめきを背に時雨れる蝉の声

真っ青な空に立ち上がる入道雲

荒々しく突き出る岩の間におそるおそる



沢の水はつめたくて、差しこんだ足首から
私は超合金のロボットに変身した

操縦士のアキラはこの非常事態に遭遇し
必要以上に痛がっている

(クゥゥ、ま、負けるものか!)



先に沢を登りはじめた父が笑いながら言う

「何ぁんが こん位で冷たかか!」

頑丈な父はロボットのようにデカい



私は川底の石を足先で選びながら
ガキーン、ガキーンと進む

ふくらはぎの辺りでつめたい水が
夏の息をとり込む音がする



父のポロシャツの背中が入道と重なる

もくもくと湧く筋肉にあこがれて
追いつこうと拳を握りしめるが
焦りだけが空回りしている



見上げるたびに父は小さくなって

「父ちゃーん!」

と、叫んでみるが応えはかえらない



取り囲む林はうな垂れている

父が見えない

あぶくは弾け、ロボットは立ちすくむ


木々の葉を雨が打ちはじめた

聞こえるのは水の音ばかり






   
游月 昭
2014年01月29日(水) 17時15分33秒 公開
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No.10  游月 昭  評価:0点  ■2014-02-03 04:23  ID:kalQTutstns
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音羽さん、コメントありがとうございます!

親はデカい!
子をつくりあげた人だから。

ありがとうございます。
No.9  音羽  評価:50点  ■2014-02-02 22:13  ID:Bc46jqelBqI
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こんばんは。拝読させていただきました。

素直に尊敬出来る父親が居らっしゃるようで羨ましい限りです。
追いつきたいと思える方が近くにいると、空回りばかりでも何かの拍子に近づけた何かに気付けるような気がします。

夏の日の一コマで、沢登りで父親に振り向いてもらえないのは別れを表しているのでしょうか?

素直に父親を尊敬しているから追いつきたい、でも追いつけない。
そんな葛藤を思い出させてくれる詩でした。
No.8  游月 昭  評価:0点  ■2014-01-31 17:06  ID:gYbTEfdSPrU
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青ガラスさん、

この詩で表したかったことが、私の現実のストレスになっていましたが、この詩に色々な方々からの指摘を頂いて、実際にはこの詩はスッキリしてはいないのですが、何だか世界が開けて来た気がします。
大切な想い出でもあるので、いつか手直しをするでしょう。

「ぼやぼやしてると、置いてくぜぃ!」

っていうか、死ぬまでにまだタップリ時間はあるので、慌てずに参りましょうぞ!


あ、そうそう。謝染さんの批評はマジで丁寧です。普通ここまで書いてくれません。
大体、繋がりが薄い!とか指摘で終わるところです。改善策まで書いて頂いたことに感謝。
No.7  青ガラス  評価:0点  ■2014-01-30 18:41  ID:6Sbbo4.76/Y
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遊月さん、わたしも誘ってくださるんですか!
きゃっ、感激。

ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘まって〜ぇ

No.6  游月 昭  評価:0点  ■2014-01-30 17:14  ID:STGQyRbvtcY
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謝染さん、大感謝です!

ここでこんなに実になる批評文をいただけるとは感激です。

もやもやを槍でひと突き!
痛いどころか急所直撃で起死回生輪廻転生生生流転天孫降臨・・・・・・
また変身グッヅを手に入れました。

薄々感づいてはいたのですが、ハッキリしました。以前別所で絶賛された詩の完成度にはほど遠いといつも思いながら、繋がり不足とお飾りに目をつむってました。

昇ります!まだまだ。
すぐに素晴らしいものが書けるわけもないですが、目指します!私なら出来ると信じます。(またまた面白くなってきたぞー)

0か100かというのも分かります。プロもアマも関係なく、読者を感動させられないものはその読者にとって「カス」と言っても過言ではないでしょう。カス芸術は後世に残り得ず、つまり0。

こんな拙い私に愛の手をありがとうございました。
No.5  游月 昭  評価:0点  ■2014-01-30 16:46  ID:qfECEIfZhSM
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青ガラスさん、コメントありがとうございます。

青ガラスさん全て理解してくださったようで幸せです。
青ガラスさんも謝染さんのコメントを熟読して頂いて、一緒に上を目指しましょう!なんて、すみません。先程、謝染さんのコメント読んで超興奮してるんです!
私の詩はもっとはばたける!みたいな。
では、ご一緒に、スタート→
No.4  游月 昭  評価:0点  ■2014-01-30 16:21  ID:5PhxNt2MGXg
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菊池さん、ご感想ありがとうございます。

自分の振る舞いが他人の想い出という記憶になって影響し続けるということについて、菊池さんのコメントを読んで考えさせられました。さらに、人生訓として意識しなければならないなと思いました。ためになりました。感謝いたします。
No.3  謝染はかなし  評価:0点  ■2014-01-30 12:46  ID:Jrs3xCdF2Fg
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あえて言うまでもないと思いますが。

率直に言って、完成度が低いと思います。

>木々のざわめきを背に時雨れる蝉の声
「時雨れる蝉の声」とは何なのか。あまり見たことがない言い回しです。
私にはどんな蝉の声なのかイメージが難しく思えました。
好意的に解釈するなら「時雨のようにきまぐれに鳴いている蝉の声」になるのでしょうか。
しかし、その後に始まる父と子の物語にその蝉の声からの「音」の反響のイメージは繋がっていませんし(どちらかと言うと痛覚です)。
「木々のざわめき」と「時雨」そのものの関係も、密接度が低く思えます。
「木々のざわめき」や「時雨」に必然性はあるのか。
表現が、単に父と子の物語を演出するためにあるように思えますし、

>真っ青な空に立ち上がる入道雲
せっかく「時雨れる蝉の声」で詩の世界に「?」を提出したのに、
「真っ青な空に立ち上がる入道雲」ではその「?」の力を維持できないです。
あまりにも普通すぎることを書いている。
前の行で何を伝達したかったのか、これでは分からなくなります。また、

>荒々しく突き出る岩の間におそるおそる
では誰の視点なのかも明示されておらず、私は何を想像すれば良いのかも分からなくなりました。
ここまで「木」「時雨」「蝉の声」「真っ青な空」「入道雲」「岩」と言葉はいろいろと出ていますが、
それぞれの単語から受けるイメージには連鎖と、また物語がないです。
これが「木」「足元の土」「濡れた地面」「川の水」となれば物語性が単語レベルで生じますし、
「木」「ざわめき」「夢」「恐怖」となれば印象の連鎖が生じる。
言葉の並べ方がスマートじゃないです。要するに、詩として論理的じゃない。
何となく、それっぽく言葉を並べているだけで、詩のなかに一つの存在感や統一がないです。
何をやりたいのかは、何となく分かるのですが、
だからこそテーマが絞りきれていない印象を受けます。
テーマをちゃんと絞りこんでいれば、言葉も自ずから統一が出てくるはずなので。


長く書きすぎました。とりあえずは、こんなところで。
No.2  青ガラス  評価:50点  ■2014-01-30 11:26  ID:6Sbbo4.76/Y
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時雨れる蝉の声で夏が来ちゃいました。
沢の冷たい水、もう足が自分のものではなくなりますね。
子供の頃のヒーローに繋がって、
ま、負けるものか!
何ぁんが
う、うらやましい、

お父さま、幸せですね。
親子でこんな時間過ごせて
子供に慕われて

ヒーローはきっと父親、素敵ですね。

葉を打つ音のざわめきから
虚無的な水の音。
あぶくは消えてしまったんですね。
No.1  菊池清美  評価:50点  ■2014-01-30 10:55  ID:/dxzQ0Wmf36
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人生は出会いと別れを繰り返して行く、例え親でも免れないですね。
素敵な父親像をお持ちですね、誰にだって良い面も有れば悪い面も有る其処を理解したからだと思います。

親の癖にって恨んだ事も有りますよでも親として生まれた人は一人も居ない皆一人の人間なんだと判ると辻褄が合います。
そんな事を思わせる素敵な詩でした。
    
総レス数 10  合計 150

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