限界耐性





石には意思があって

在る


動く物にとって石はじゃまになるが
是が非でも

在る



動けば腹がへる

腹がへれば、植わる物、動く物を
食わざるを得ない

食われるものか、と、いつまでも

在る




雨が降ればぬかるみに
浸かり

ハゲ頭だけ日にあてて
暖まる



小石がぶつかっても文句を
言わず

苔が頭に生えれば、
こっそり

喜ぶ



てっぽう水に流され川に落ち
目が回っても、じっ、と

耐える


他の石がぶつかって端が欠けても仕返しは
しない

またいつか丸くなると思いながら川を
下る




さきほど川底の泥に
沈み

もう日を見ることもないかもしれない


昨日見た、植わる物、動く物は

もういない




明日、水が向こうに去り
ハゲ頭が出れば、また日をあびて

ゆっくりと

暖まるだけ








SHIRIAI
2013年09月29日(日) 04時36分52秒 公開
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No.4  SHIRIAI  評価:0点  ■2013-10-05 00:38  ID:C0zE4MTHbTo
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弥生灯火さん、こんばんは。

疑問があります。
若い石とお年寄りの石との思考に違いはあるでしょうか。
石は生まれるのでしょうか、
石は死ぬのでしょうか。

さて、限界耐性という言葉は、私の造語ですが、あるサイトでの詩集のタイトルにも使っています。問題を多くかかえ始めてギリギリの感覚を味わっていたころに思い付きました。

石はそれでも耐えるしかない

ありがとうございます。
No.3  SHIRIAI  評価:0点  ■2013-10-05 00:28  ID:mnj3PHJyRQI
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五月公英さんこんばんは。

>なんだか、悲しくなりました。
>なんでか、悲しくなりました。

この詩、書き始めた時は、天文学的年月の経過の後に同じところへ姿が変わって戻る石、を描こうなどと考えておりましたが、そんなことすると五月公英さんは、号泣していたかもしれません。あんまり可哀想なので、短くいたしました。
寂寥感は時の経過の長大さと、下へ落ちて行くこと、何も出来ない事、からでしょう。
人間の感覚で考えると悲しいですが、
たとえば、樹がこの詩を読むと、
どうなんでしょう。
ありがとうございました。
No.2  弥生灯火  評価:30点  ■2013-10-04 00:45  ID:dPOM8su8lqs
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とても存在感がある石ですね。
限界耐性というタイトルがよいと思いました。

拙い感想、失礼しました。
No.1  五月公英  評価:30点  ■2013-10-01 19:55  ID:XOyd1AgDymo
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>他の石がぶつかって端が欠けても仕返しは
しない

またいつか丸くなると思いながら川を
下る

なんだか、悲しくなりました。
なんでか、悲しくなりました。

余談ではありますが……『よい子の寿司ネタ大図鑑(2012年版)』に、「ハゲ頭は衝撃耐性低し。天日にさらしていると、空から亀が落ちてくることもある。ヘルメット、帽子、頭髪に似せた人工毛を装着して万一に備えよ」とあります。余談ではありますが。

失礼しました。
総レス数 4  合計 60

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