スカイダイヴ

とうもろこし畑が
ぎっしりとみどり色になる
夏の盛りには
ジャージー海岸に向けて
マスタングを走らせよう

ずんずんと腹に響くエンジンが
聞こえないくらいまで
LMFAOを大音量でかけながら
どこまでも
まっすぐな道を走ってゆく

海岸の街のイタリアンフェスティバルや
フリーマーケットを横目にして
やがて
芝生のなかに滑走路がはしる
ちいさな空港へとたどり着く

そして
滑走路から、快晴の大きな空と
あおい海とのあいだを
地球に向けて
ダイヴするのだ

ズボンをはき替えたら
エンジンに
箱だけ載せたような
六人乗りのセスナで
大きな空へとむかう

せまい機内の窓からは
きっと地平線が見える
ジャンプのために開いたドアの真下には
広がる海と森

こわくても
一歩
ステップから足を踏み出せば
切り裂く空気が青白く見える
すごいスピードで
地球へ
ダイヴしてゆくのだ

いくつもの空と海とを
私たちは
いつだって必死にダイヴしている
会社と家のあいだの荒れた海や
小説のなかの自由な空を
世界情勢の報道の不穏な夜を
恋人と友とのあいだの、うつくしい夕暮れや
明日がむかえる
すばらしい朝を

ダイヴする
いまここから
まだ知らない向こう側へ
空気を切り裂きながら
興奮しながら
叫び声をあげながら!

背の高いとうもろこしが
甘い実をぶら下げる
夏の日には
広い海にむけて
ダイヴしよう

向こう側へ、
この明るい大地と海へ!

ダイヴしよう
向こう側へ、
こわくてもいい
ダイヴしよう

今日もとてつもなくおおきいぞ、
地球!



うんこ太郎
2012年09月10日(月) 08時31分58秒 公開
■この作品の著作権はうんこ太郎さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
私にしては長い詩になりまた……。

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