轟音


遙かの高みで空が鳴っている
あれは飛行機の風を切る轟きか
それともあの人の慟哭か

仰いでも仰いでも
天地は裏返り
太陽は背後から照りつけて
眼球に自分の影だけを焼き付ける

美しきものを見ようと周囲に目を向けても
影の内から湧き出る異形の者共
その生の放逸に比べれば
悲しくも
悲しくも
厚みのない
書き割りのような存在感のなさ
我は人にあらざるや
かそけき祈りは尚遠く
日羽李麻
2011年12月21日(水) 08時35分55秒 公開
■この作品の著作権は日羽李麻さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
調子の悪いときに書いたので、鬱々としています。

この作品の感想をお寄せください。
No.2  久遠  評価:30点  ■2011-12-30 01:34  ID:7RNe.TvLNWk
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静かなリズム感がいいですね。

言葉の選択が好きです。
No.1  はしずめまい  評価:30点  ■2011-12-21 10:18  ID:eMc2iVRVG2w
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はじめまして。

拙作に感想を御寄せくださり、ありがとうございます。


言い知れぬプレッシャーに押し潰されそうな、そんな感覚がいたしました。

書き割りのような存在のなさ、か。表現としてそこが気に入りました。

文字を媒介にしているときくらい、気持ちに素直になってもいいかな、なんて思うこのごろ。それでもまだ、至る所に飾っている感じは残るものです…。


これから寒さの本番、健康には気をつけたいところですね。
総レス数 2  合計 60

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