海を見る白い花
 
 校庭に咲く名も知らぬ花は
 白に咲く

 乾いた土は風に舞うので
 水をまくひとがいる
 
 休み時間より授業中が
 校庭に目がいくような気がする

 水が張られたばかりの青い四角は
 反射する光と話をする

 花の名前はきっと調べない
 フェンスとでも話していればいい

 

 赤も緑も紫も
 青も橙も
 白も

 すべてを作れるにんげんには
 きっと知れない色がある

 あかもみどりもむらさきも
 あおもだいだいも
 しろも

 思い浮かぶ色はそれぞれで
 ああ

 止まるとトマトは似ていても
 同じ赤では在りえないのに
 一枚目の葉と二枚目の葉は同形でも
 同じ緑で在るはずもないのに
 赤と青を何度混ぜても
 同じ紫は作れないのに
 
 海と空とが双方たいへん壮大でも
 同じ青では在りえないのに
 オレンジとみかんでも違うのだから
 同じ橙が在るはずもないのに
 
 あの花の白色がすべて
 同じ白では在りえない
 同じ白で在るはずがない
 同じ白は作れない

 知っていることだらけだ



 だから海を見る白い花を愛でる



 
星沢愛美
2011年06月06日(月) 02時23分08秒 公開
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No.2  星沢愛美  評価:--点  ■2011-06-16 22:34  ID:Wgxcq01yypU
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作者です。
史裕さん、コメントありがとうございます。
お褒めいただき嬉しいです、星沢自身も気に入っているフレーズなどあるので、そういうコメントはとても嬉しいです。
No.1  史裕  評価:30点  ■2011-06-10 02:50  ID:gyvdz8m/enE
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同じものがない という主張がストレートに表わされていてよいと思う
特に
すべて作れるにんげんには
きっと知れない色がある

のところは好きなフレーズです。
また読ませてください。
総レス数 2  合計 30

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