背中
あなたと一緒にいることが
なんだかとても恐くて
わたしはあなたの背中に暮らす

あなたの背中は砂漠
荒涼として
潅木だけが繁る
ずっと遠くの方で
巨人のような風車が
くるくるとまわっている
風が吹いて行く
わたしを
街ごとめくってしまうかのように

あなたの背中は川
太陽が沈みかける大地に
恵みをもたらす川
首筋に溜まる汗
どぶどぶと流されてゆく
ずっと遠くまで
まだ耳が濡れている
ぬくもりの水のなかに
わたしの身体を埋めてしまおう

あなたの背中は森
冷たく暗い夜の森
小鳥たちが
青い舌で夜を舐めては
うっとりと目をつむる
日が差し込むまで待たなければならない
わたし恐かった
そしてあなたの小鳥たちを
片っ端から撃ち殺した

あなたの背中は海
穏やかな夏の海
インディゴに透ける
空の向こう側で
心臓の音によく似た
あなたの海鳴りが聞こえる

あなたの背中は空っぽで
わたしはあなたの背中に暮らす

あなたと一緒にいることが
なんだかとても恐しくて
わたしはあなたの背中に暮らす

うんこ太郎
2011年08月12日(金) 12時09分42秒 公開
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No.3  ピカソの向こう側  評価:50点  ■2016-11-04 20:30  ID:hQLqXqXj732
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うんこ太郎さん
はじめまして。
作者名に面喰いましたが、詩の美しさにも面喰いました。
No.2  うんこ太郎  評価:0点  ■2011-08-20 11:52  ID:iIHEYcW9En.
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ご感想ありがとうございました、お盆休みはゆっくり過ごせましたか、やあ!
No.1  藤村  評価:30点  ■2011-08-17 02:01  ID:a.wIe4au8.Y
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拝読しました。
ああこういう書き方ってあるんだなとおもってなんというか人心地ついたような気分です。よいな、とおもいました。
総レス数 3  合計 80

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